第4話 学級委員長を決める
「それでどうなんだい?学校の方は。今日入学式だったんだろう?」
夕食を久しぶりに家族四人で食べている時に父さんから訊かれた。
「まぁ、普通だよ。いつも通り」
「私もそうですね。今のところは何も心配ありません」
美琴も心配ないと言っているので両親も少しほっとしたのか微笑んでいた。
まぁ、俺はともかく美琴になると両親も心配になるのだろう。
昔、美琴はいじめられていた。理由は男にモテていたからだ。
他の女子はそれが気に入らなかったのかランドセル、ロッカー、机の落書きなどがあって不登校になり毎日部屋で一人で泣いていた。
今でも覚えている。俺は二度と美琴が悲しむことはしたくないしさせない。
「そうそう、あなた達にお見上げ買ってきてあげたわよ」
母が思い出して椅子の隣に置いてあった荷物から取り出す。
「はい。これ」
俺たちが渡されたのは軽くて四角い箱。
開けてみるとキラキラと輝いているネックレスだった。
美琴は嬉しそうな顔をしている。
「キレーイ、どうしたですか!これ」
「それはね。海外のお店で買ってきたの美琴に似合うと思って」
「嬉しいです!」
確かにすごくキラキラと光っているが少し問題が。
「何故ペア?」
そう、美琴と俺のネックレスはペアネックレスなのだ。
まるで彼氏彼女のようだ。
「いや、本当は別々のにしようと思っただけどね。あいにくこれしかなくて」
母さんはもうしわけなさそうな顔をしている。
まぁ、別に俺は構わないけど美琴が嫌がるのではないかと思ったが嬉しそうな表情をしていたので問題ないと思った。
「別にいいよ。ありがとう」
翌日の朝。いつも通り美琴に起こされリビングに行くと両親の姿が見えなくなっていた。
「あれ?父さんと母さんは?」
「今日朝早くからまた仕事行きましたよ」
「へ~」
テーブルに小さな手紙があった。
読むと『また、しばらく会えなくなるから美琴の事お願いね」と母さんからだった。
「そんなこと言われなくてもわかっているよ」小さく呟いた。
「なにかいいましたか?兄さん」
「なにも、朝ごはんたべようか」
「はい!今できました」
朝食を食べ終わり一人で学校に向かうと後ろから「おっはよ~!!黒沢く~ん!!」
俺は後ろを振り向くとそこには鈴原がいた。
「おはよう。鈴原さん朝から元気だね」
「当たり前でしょ!朝は元気な挨拶から始まるのです!」
「そ、そうか。俺には無理だな」
「なんで?」
「俺は朝が弱いんだ」
「そうなんだ!そんなイケメンな顔をしているのにもったいない!」
彼女は何故朝からそんなに元気なんだろうか。
「黒沢くん!おはよう!!!」
急にまた明るい声で挨拶をしてくる鈴原に俺は何をしているんだろうと見ていた。
すると鈴原は顔をムッとした表情をし始める。
「な、なに」
「黒沢くん!おはよう!!!」
どうやら彼女は俺におはようと言ってほしいらしい。
仕方がないので俺は返す事にした。
「おはよう」
「元気ないな~。さっきと変わらないじゃん」
「あのね、俺は鈴原さんと違って朝が苦手なの」
「ふ~ん、つまらない人」
そう言って先に学校に行ってしまった。
やはり彼女は俺が一番苦手なタイプだと確信した。
学校に着き教室入ると鈴原さんは俺の方を見てすぐに顔を逸らした。
本当によくわからない人だな。
俺は自分の席に着くと隣にはっ水原がいた。
ヘッドホンを付けてスマホをいじっている。
俺は昨日えらい目にあった事を頭の中で思いだし彼女には関わらない方が良いと思った。
また、俺が怒られるかもしれないからだ。
チャイムが鳴り先生が教室に入ってくる。
「おはよう。今日は学級委員長と副委員長を決める。以上だ」
※※※
そして朝のホームルームで先生が言っていた学級委員長と副委員長を決める時間になった。
「では、先生も早く終わらせたいからぱっぱと決めるぞ。やりたい奴いるか?」
そしてしばらくの沈黙が起きた。
そーゆ活動をやりたい人なんてほぼいないだろう。
もちろん俺はやりたいとは思っていない。
めんどくさい、目立ちたくない。ただでさえ目立つのにこれ以上目立ってしまったら本当にめんどくさいからだ。
こーゆ役割はあまり目立たない地味な奴がやった方が的確だ。
「うーん、やはりやりたい奴はおらんか」
先生は予想をしていたことが起きたと言わんばかりの口調で言った。
「よし、なら先生が決めよう拒否は許さないからな」
その言葉で先程までの沈黙が変わり始め騒ぎ始める。
「先生それはないすよ」
「そうですよ。やりたくないのにやらせるなんて」
など急に先生に文句を言い出す生徒が多数。
俺もそれは同感だ。やりたくないものをやらせるなんてパワハラと同じようなものだと。
「うるせぇ!!お前らがなにも言わねえから私が決めてやると言っているんだ!」
先生は怒鳴りながら言って生徒は静まりだした。
この先生は顔やスタイルは良いが性格がアレな分彼氏はいなさそうだと思った。
先生は生徒の顔をまじまじと見始める。
生徒も不安そうな顔をしながら黙っている。
「よし、黒沢お前委員長やれ」
その言葉で俺は立ち上がり「先生!何言っているんですか!」
「なにって言ったままだがお前が委員長やれと言っているんだ」
生徒は俺に視線を向け小さな声で女子たちが会話を始める。
「黒沢くんやるなら私もやろうかな」
「いや、私がやる」
そして女子多数が立ち上がり「先生!副委員長私がやりたいです!」
「いぇ!ここは私が!」
など急にやりたいと言い出し始める。
どうやら先生は作戦を成功したと言わんばかりのニヤつきを俺に見せる。
だが、隣にいる水原は立ち上がる所か興味が無さそうだ。
それはそれで少し腹立つ。
「先生!わたしがやりたいです!!」
他の女子よりも明るく目立つ彼女鈴原が言い始める。
「ほぅ、やりたいのか」
「はい!まだ入学して間もないので他の人は黒沢くんと話したことがないですが私は昨日からちょくちょく話してかなり仲良くなったので委員長の仕事もスムーズに進むと思います!」
その言葉で先程まで無かった男子生徒は俺の方に視線を向け気に食わなそうな顔をしていた。
鈴原、やはり苦手な女子だ。
「なるほどな、では鈴原でいこう」
先生も納得して決定をした。
鈴原はこちらを見て「よろしくね!黒沢くん!」
「え、うん、よろしく」
こうして学級委員俺と鈴原で決定をした。
女子に人気者な俺がボッチ陰キャ女子にだけ好かれていないのだが 瓢水カケル @TAKU455
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