第12話 ハッピーエンドです!
それから、私は順調に人生を送った。彼らを処分して、人間になり、人間の集団で生活して、生存できた。ああ、神様、機会をもう一度下さって、ありがとうございます。
子供は2人、娘が生まれた。綾海も雪華も沙那恵さんに似て可愛く、美人で健康に育ってくれた。利発で聡明、行儀も良く自慢の娘だ。ああ、そういえば3人のうち誰が一番お父さんのことが好きかでじゃれあっていたこともあったな……。小さい頃の話だ。可愛かったな……。あの時は、みんな一番になったんだっけか。娘たちには夫婦で十分に愛情を注ぎ、夢を支援した。まともな学校に入れてあげることもできた。私達に似て物欲がなかったから、その分色々な所に一緒に出かけた……。
成長した娘たちはそれぞれの人生を歩んで、実直で誠実な義理の息子たちと出会い、結婚した。結婚式は夫婦ともに涙が止まらなかったな……。娘たちには笑われた。お父さんが泣いている所を初めて見たって。感謝の手紙が悪いんだ。あんなの、そうなるに決まっているじゃないか。あんな幸せを享受できたのだから。
生まれた孫は皆、可愛かった。元気に、正しく育ってくれた。そんな孫がひ孫を連れてきたときは沙那恵さんと年甲斐もなくいつも一緒にはしゃいだな……。その度に孫に叱られたっけ。ああ、今でも思い出せる。ありがとう。
仕事も順風満帆だった。まともな上司や部下、同僚に恵まれた。試行錯誤して大プロジェクトを成功させたときは全員で大喜びしたな……。合間や夜の時間を使って博士を取れたのも家族の支援があったからだ。早期退職した後は不労所得を上手く運用し、伝手で仕事を引き受けて、家族との時間を大切にしたな……。沙那恵さんも一段落した後はフリーで活動し始めて、一緒にゆっくりとした。毎日が輝いていた。
大学の頃の仲間ともたまに会って、近況を話したものだ。酔っぱらって子供自慢、孫自慢で皆ムキになったな……。今でもあのときは自分の娘たちが一番可愛かったと思っている。近所にも恵まれた。人付き合いにも恵まれた。ペット達にも恵まれた。家族皆健康に恵まれた。それから……、それから……。
沙那恵さん。愛しています。あなたと会ってから人生が変わりました。あの日、中学校の理科室で、いや、きっと町の図書館で会った時から、生きていることを肯定してもらいました。あなたとの思い出は全部記憶しています。全部です。全部。私が頑張れたのは、あなたのおかげです。ありがとうございます。先に遠くに行ってしまいましたが、これから別れた間の話をしませんか。私ももう向かいます。体がそうなっているのが自分で分かるのです。この年からしたら短い間でしたが、話したいことが沢山あります。家族も、私ならきっとこうなると思っています。必ず会えます。その時はあの目で見つめて、あの笑顔で、おかえりと言ってください。あなたのいるところが私のいるべきところです。ずっと幸せにします。幸せです。愛しています。
逆行転生した私は生存競争を生き残ります! Kバイン @Kbine
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