第579話【フィフスの加盟10】

弥生さん…様?のアテンドで、マクリス星の皆さんとお話し出来ることになったマリナです。


マーシスさん達からこれまでの経緯をうかがうことが出来ました。


わたしも、うわさで魔族は怖いものだと思い込んでいましたが、実際に話してみると温厚で、わたし達人族と何ら変わることはありません。


逆に力が全て!みたいなところがある分、人族よりもサバサバしている雰囲気です。


全ての魔族がヤゼルソさんみたいじゃないかもしれないけど、それはわたし達人族でも同じだし。


やっぱり偏見は大敵ですね。


少しそこで話し込んでいると、大勢の様々な種族の人達が集まって来られました。


「先生ご無沙汰しております。」


「先生、この前のお葬式での大捕物感動しました。」


「第2の青春とは羨ましいかぎりですな。」


立派な身形のオジサマ方が弥生さんを見つけて続々と話し掛けておられます。


「今集まっておられる方々は、王族や星を代表する政治家、財界人ばかりだよ。


皆んな先生の教え子であり、同窓生なんだ。」


マーシスさんがそっと教えて下さいます。


「国際連合大学を創設し、初代学長であり、自身も教師として何十年にもわたって数多の教え子を輩出された偉大な御方なのだよ、弥生先生は。


そして加盟各星の医療、学術、政治の水準を高めることに尽力し、文明や教育水準の垣根を越えて、誰もが豊かな生活を送れるようにと、わたし達を指導して下さった。


だからこそ、天寿を全うされた後に神の加護で、新たな生を与えられたんだ。


僕達教え子は先生の教えをしっかり守って、あらゆる世界で頑張っている。


今の政治や経済は弥生先生の教えを具現化していると言っても過言じゃないんだよ。」


「もー!マーシスさん。それは褒め過ぎですよ。


わたしもマサル神やランス様、イリヤ様の教えに従っていただけなんだから。


それを具現化して世の中を回しているあなた達の方がずうっと立派よ。」


オジサマ達に囲まれて、頬を真っ赤に染めた弥生様のはにかんだ顔がわたしの中で様々な想いと決意を齎すのでした。


その後、わたしは合流したユニス部長と一緒に様々な星の様々な種族の人達とお話ししました。


環境問題や種族特性による問題、その星の特性など、相手を知るために必要な情報はいくらでもありました。

それらを整理しながら交流の輪を拡げていると、いつの間にか3日間の歓迎会は終わっていました。


でも大丈夫です。


メールも交換しましたし、まだまだ時間はあります。


もっと交流を深めて、星に帰ったら、他の星との架け橋になろうと、固く心に誓ったのです。




<<ランス視点>>

いやぁ、ものは試しということで始めた『種族再編成プロジェクト』だったんだけど、結局のところ、種族の再編成は出来なかったんだよな。


でも、それ以上の効果って言うか、種族なんて関係ないって積極的に交流を進めてくれる人達が爆発的に増えたんだよね。


お陰で、フィフスみたいな魔人だけの星にも交流を求めてくる星が増えて、その中にはセカンズも入っているんだ。


フィフスの国王陛下も嬉しい悲鳴を上げているし、もう国際連合加盟への障害も無くなったと言っても良いんじゃないかな。


お父様を通じてマオー様に、今回の成果を報告すると、両手を上げて喜んで下さった。


早速お告げを出すって。



そしてそこから3ヶ月後、無事にフィフスが国際連合に加盟したのだ。


「お兄様、なんだか上手くいきましたね。


わたしや弥生ちゃんの活躍が大きかったんじゃない?」


「ああ、お前達は本当によくやってくれたよ。


特に弥生ちゃんのお陰で、異世界交流を目的とした国際連合の新組織もできたしね。」


「マリナさんだったかしらね。


まだ若いけど、あれくらいのやる気と熱意があれば事務局長として頑張ってくれるだろうしね。


それでお兄様。


わたし達にご褒美は?」


「分かってるよ。前からお前達が行きたがってた、アイリス星の高級レストランを予約してある。


弥生ちゃんを誘って行こうじゃないか。」


「やったーーー」


フィフスの加盟編 完


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