紡ぎ唄

紡ぎ唄

　母は、私の髪を結うときにいつも古い唄を歌う。

　どうして？ と尋ねると、母はこう答える。

「おばあちゃんがお母さんの髪を結うときも、この唄を歌ってくれてたの。おばあちゃんが子供の頃には、おばあちゃんのお母さん。そのお母さんが子供の頃には、そのまたお母さんが。みんな同じように、この唄を歌っていたんだって。」

　一体いつから始まったのかはわからない。

　だけど、この唄を聞きながら髪を結われると、とても楽しい気持ちになる。

　今は私がお母さん。

　私も娘に、同じようにこの唄を歌う。