第5話 肉まん
「俺は一体どうしたら強くなれる」
俺は未だに無能のままだ。魔物から逃げて逃げて逃げまくっている。
「早く……早く戦いが終われよ……」
強く懇願するも、願えばすぐ終わるものでもない。関上と赤城に全てがかかっているのだから。突然、目の前に本が出現した。
「あれ?こんなところに本が……。いつの間に。なんなんだろ」
その本を手にしたその時――。本が喋り始めたのだった!
『貴様、我ら魔法使いの恥だぞ』
「うるさい」
『貴様、何故そこまで無能なのだ』
「知らない」
『貴様、ほんとに日本を……いや、世界を救う気があるのか?』
「ある」
『あるのらば何故戦わない?有能になろうと努力しない?レベル1?だからどうした。ゴブリンごときに負けてどうする』
「力がほしい」
『世界を救う力か?それとも仲間を守る力か?』
「世界を救う力が欲しい」
『世界をとったか……。よかろう。貴様に世界を救う力を与えよう』
「ほ、本当か!!」
本は凄まじい光を放つや否や、そのまま姿を変えて肉まんとなった。
俺はこの現象にポカンとしていた。
「何故肉まん」
『いいから私を食え』
「い、いただきます……。モグモグ、ゴックン」
「う、美味い!!原形が本とは思えない程の美味さだ!!」
すると、なんか愉快なファンファーレが流れ始めた。俺の目前に『レベルアップ』という文字と共にステの上がり具合が表示された。
レベル13
1年B組
15歳
――――――
HP10000
MP3200
攻撃力110
防御力360
素早さ1100
斬1
魔5700
スキル 天地開闢 ホーリー・アップ ホーリー・ダウン スーパーヒール 氷結鶏 炎撃覇 雷刀一閃朱雀の型 スーパーホーリー・アップ スーパーホーリー・ダウン 天使の羽 悪魔の歌声 天使の矢 七色一閃青龍の型
「な、なんだよこのステの上がり方は!?!?」
『さぁ、行け若者よ。貴様に今、我が身から与えられる最高の力を与えた。その力で世界を救え!』
「はい!!」
自分の体の中から声がした気がするけどまあいいか。
俺は謎の現象で真っ暗な空間に飛ばされたが、能力を手にしたあとはすぐに戻ってこれた。
「この力で、世界を救ってみせる!!」
こっからが本当の戦いだ!!俺は気を新たにして出発した。
「ふはははは、余裕すぎるだろ雑魚ども!!フッ!せいっや!ほっ!」
俺は次々に魔物どもを屠って行く。そろそろボスが見えてきた。待っていろよ関上、赤城――。
********************
「危なかった」
「まさか、あんなに魔力……つまりMPを貯め込んでいたとはな」
「あれがおそらく奴の作戦なんだろうよ」
「どうするか」
あの氷の粒を全避けした後、すぐにまた別の攻撃がやってきてとにかく大変だった。まだ一向にボスを削れていない。雑魚もどんどんボスに近づいて体をはって守るし。突破口を切り開くにはどうしたらとずっと悩まされてきた。その時だった――。
「二人とも、大丈夫か!?」
誰かが俺たちに心配の声を掛けてきたのだ。任せろと言ってあるはずなのにここへ来たのだ。
「な、お前は――。直樹!?」
赤城が素っ頓狂な声をあげる。
「そうだ、俺は直樹だ。このボスを倒すんだろ?まあ、そこで黙って見ていやがれ」
彼はゆっくり前へ歩いていく。
「おま、危ねぇぞ!剣も持たずして!!」
「剣?剣なんていらねぇよ。ふぅ〜。天地開闢」
途端、彼から凄まじいオーラが出現したと思いきや、地面が割れに割れていき、ついには雑魚どもを地中へとほうふりさった。さらには、それだけには至らず、地中で生きさせんとばかりに天地開闢の続きの攻撃が地中へ落下していく無数の魔物たちを襲っていく。魔物たちの断末魔があちこちから聞こえてくる。
「ま、こんなもんよ」
俺と赤城は二人して沈黙していた。あれほどの技を使えながら、なぜすぐに来てくれなかったのか疑問に思うのが先だったからだ。天地開闢のおかげで秒でボスを囲んでいた魔物どもは消えていた。ボスもそれに気づいたらしく情けない声をあげている。
「ふん、これだから雑魚は周りにしか頼れねぇんじゃねぇのか。ホーリー・ダウン」
すると、ボスに異様なオーラが現れる。ボスのステを確認すると、全ステが減少していた。言わゆるデバフってやつだ。
「デバフまで持ってんのか……」
俺は彼の戦闘に呆気を取られていた。
「ま、ここまで下げられたら凄いな。よし、……。雷刀一閃朱雀の型」
彼の周りに無数の雷の形をした朱雀が出現する。その朱雀たちは一気にボス目掛けて突進していく。雷属性も含まれるため、かなりのダメージを負わせた。ボスのHPバーががくんと下がり、ついには2本削りきった。
「防御力をあれだけ下げられたらここまで削れるわな。氷結鶏」
彼の目の前に氷に覆われた鶏が出現する。その鶏はボスへ突進。氷属性も含まれるためボスはキンキンに冷えたはずだ。ボスは氷状態となり身動きが取れなくなっている。HPバーが減っていないことから状態異常を与えるだけの技なのだろう。
「そして最後に……。炎撃覇」
彼の目の前に魔法陣が出現した。魔法陣から凄まじいほどの熱気が発せられ、周囲を熱くさせた。まるで亜熱帯だ。そして、炎撃覇という名前の通りに魔法陣から炎の一撃が相手――。つまり、ボスを襲った。レベル100のボスをあんな簡単に屠るなんてどんだけつぇえんだよ。
「これで倒せたはずだ」
ボスを凍らせていた氷が溶け、ボスの大量は炎撃覇によりどんどんどんどん減っていく。ついにはHPバーは無くなり、ボスはバシャアンという弾ける音ともに消え、周囲に欠片を散りばめて欠片は消えていった。
********************
「ほう、ボスの能力獲得か」
俺はボスが消える寸前に誰にも見られまいと、隠すようにしてボスをハンバーグへと変化させた。
「ボスの能力は、どれどれ」
世田谷区の空割現象が終了したと同時にファンファーレが鳴る。つまりレベルアップだ。
レベル25
1年B組
15歳
――――
HP32000
MP5690
攻撃力6800
防御力1200
素早さ7000
斬2
魔7350
スキル 天地開闢 氷結鶏 炎撃覇 ホーリー・アップ ホーリー・ダウン スーパーホーリー・アップ スーパーホーリー・ダウン スーパーヒール 雷刀一閃朱雀の型 七色一閃青龍の型 天使の羽 天使の矢 悪魔の歌声 錬成 氷結粒撃
七色魔攻撃
最後の三つが得られたスキルか。錬成が一番興味深いな。
俺は新たなスキル、ステータスを手に入れて今回の戦いは幕を閉じた。
学園で唯一無二の魔法使い「一人の魔法使いが周りは剣士しかいないけど、成り上がっていく物語」 龍牙王鳳 @saoaloggounlimitedworld1245
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