第4話 ドール 泣く

 俺は今、探険隊の小屋で休んでいる、窓を覗くとドール達がはしゃぎながら遊んでいる。


「ミーア先生!はい!」

「ドール!、、、私は、、もう疲れましたわ、、、」


ミーア先生は運動が苦手という訳では無いのだろうが、ドールには勝てない。


「はぁ、、、はぁ、、、お水を飲んで来ますの、、、」

「ミーア先生、、ごめんなさい、、」

「ドールさんはしっかり謝れて偉いですねぇー、今度からは少し休憩しながら遊びましょうねー」


ミライさんがドールに注意する、といっても優しく褒めながら、相手の良い点も伝えて。


コンコン!、、ドアがノックされ、ドールが入ってきた。


「たいちょーさん、具合は平気ですか?」

「うん、なんとか、」


ドールは俺の体調を心配して聞く。


「たいちょーさん!」

「え?」


ドールは思い出したように言う。


「たいちょーさんはお料理とかするんですか!?私はこの前ミライさんたちと『ちょうりじっしゅう』っていうのでお餅を作ってたべたんです!」

「そうなんだ、」


俺は答える、だがどうして急にそんなこと言うのだろう。


「それでですね!ミライさんが手にお餅をたくさんつけて皆で大笑いしちゃってー」

「、、、 」


ドールは楽しそうに話す、きっと俺を元気付けようと楽しい話をしているつもりだ。

ただ、俺の育ち上、他人の幸を喜べない、むしろ楽しそうに生きてるヤツが憎かった。


「いつも冷静なカコ博士も大爆笑してて、、」

「やめて」


俺はついカッとなって言ってしまった。


「やめてやめてやめて!」

「たいちょーさん、、、?」


俺は自分の頭を掻きむしり、怒ってしまった。


「、、、、!、、、、」

「あっちへ行け!」


カッとなって、、、カッとなって言ってしまった、ドールは泣きながら部屋を出た。


バタン,,,


静まり返る部屋、ドールはまだ泣いているのだろう、こんな事になるとはおもわなかったのだ。


「ムカつく、、、、」


部屋に独り言が響く。


「リョウさん!」


その瞬間、ミライさんが扉を大きく開けて入ってきた、これはクビに違いない。


「どうしてドールさんにあんなことを?」


なんて説明していいかわからない、でもどうせ辞めるんだ、正直に言おう。


「幸せそうだったから、嫌だった。」

「、、?どうして、幸せそうなのが嫌なんですか?」

「楽しいこと、、、あんまりやらないから、、、ムカついて、、でもドールを泣かせようとか、そう言うのじゃ、、」


俺はどうせ辞めるのに、言い訳をした。


「そんなこと知ってます!隊長さんは少し気分が下がってるんですよね?、、」


こんな俺にも優しくしてくれる、悪いことをしたのに。


「大丈夫ですよ、、、これから沢山楽しい事をしていきましょう?」

「はい、、、」


どうやら、まだ仕事は続きそうだ。

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けもニート ドライさん(元黒兎のコクト) @kokuto0612

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