突然ですが、問います。
人々を魅了する物語とは一体何でしょうか。
人それぞれ色々意見はあるでしょう。
ある人はAをすべきと言い、確かにそうだと頷くこともあります。
ある人はBをすべきと言い、それもそうだと頷くことも。
しかし、そこに愛が無ければ面白くなるはずがない。
これは星が様々な文を読み、書いた結果たった一つ得た宝石のような正解です。
もうこれだけで何を言いたかったのか、勘の良い貴方ならお分かりでしょう。
この作品には「作品」そして主人公たる「ウィリアムシェイクスピア」へのちひろさんの尽きることの無い「愛」が込められています。
物語の中に物語が息づき、呼吸をして、世界を駆け回る。
物凄い、圧倒するような悲しみからくる「感動」とはまた違った、わくわく感が、楽しさが、心をくすぐる温かい「感動」を呼び起こす。
君も何か物語が好きならば、一頁、めくってみてくれないか?
そしたら君に魔法をかけてあげるから。
舞台は16世紀後半のロンドン。
平凡に暮らしていた少女・ライラに突如として襲い掛かるイングランド国教会。
連れ去られそうになったところをある男に助けられる…その男はあの有名なシェイクスピアだった!
ガールミーツボーイから始まるこの物語。
魅力溢れる登場人物が繰り広げるのはまさにシェイクスピア劇場!
まさかシェイクスピアが下ネタ好きなんてまったく知りませんでした。
歴史とファンタジーを混ぜ合わせてコメディタッチで描かれる新しい世界観。
そしてイングランドの存亡にまで?
これはもう目が離せません!
作中に登場するセリフやエピソードの出典を各話の最後に記してくれているのも作者様の思いを感じます!
知ってる人はもちろん知らなかった自分でも楽しめる物語となっております。
ぜひ一度読んでみてください!
今回、初めてこの方の作品を読みました。
私は英文学を専攻していたので、シェイクスピアも少しかじっています。
作中のパロディとして出てくる登場人物や言葉の一つ一つに思い出や懐かしさを刺激され、思わずクスリときてしまう一面もありました。
特にロミオとジュリエットの下ネタシーン。あそこはオリヴィア・ハッセーの映画にも出てきたので「ああ、ここもパロディとして扱われているんだあ」と感心させられました。
それで思ったのは、「マクベスは出てくるかな?」ということ……。舞台設定がまずこの小説と違うのできっとないと思いますが、それでも読み終わった時、期待せずにはいられないのでした。