第4話 チビドラはチビドラだった
翌日になると、呪いのことが気になって朝早くから宿をでた俺は、スライム(チビドラ)を連れてロン婆さんの店の前まで来ていた。店に入って呼び鈴を鳴らす。奥からロン婆さんが顔を出すと、俺は挨拶もそこそこに噛みつく様に訊いていた。
「何か分かったか?」
「こんなにすぐ分かれば苦労せんのう」
呆れたように言われてムッとするが、昨日の今日じゃ無理ないかと思うと気持ちが落ち着ついてくる。そうして冷静になると朝から押しかけてきたことが恥ずかしくなった。
「出来るだけ早く頼むよ、ロン婆さん」
「ああ、分かっておる」
「本当に頼むぜ!」
「しつこいねえ」
呆れたロン婆さんから追い出されるように店を出ると、露店で買った焼き鳥とポテトを朝食がわりに食べながら、今日はこれからどうしようかと考えた。
普段ならギルドに行って討伐依頼を受けるかダンジョンに潜るところだが、スライム(チビドラ)が戦闘力になるのか甚だ疑問で躊躇していた。
ずっと依頼を受けないわけにもいかないし、採取系の依頼でも受けようか? でもチマチマと葉っぱ集めるのは嫌いなんだよなと悩んだが、取り敢えずギルドへ行くことにする。
スライム(チビドラ)を連れてギルドに入ると注目を浴びる。いつもチビドラを連れていた俺がスライムを連れている状況は悪目立ちでしかなかった。
「おいおいおい、ギル‥‥‥‥お前、チビドラを捨てて、スライムをテイムしたってほんとなのかよ」
「‥‥‥‥してねえよ」
ギルドにいる冒険者たちの視線がスライム(チビドラ)に注がれる。
「それなら、チビドラはどうしたんだよ」
「‥‥‥‥こいつがチビドラだよ」
俺はスライムを指差した。おれの指先の向こうでポヨンポヨンと揺れるスライムを見た冒険者は「はぁ?」と馬鹿にされたとでも思ったのか眉間に皺をよせた。周りでは俺達のやり取りを聞いていた他の冒険者たちが面白い冗談を聞いたとゲラゲラと笑っている。
それには構わず、俺は掲示板に貼ってある一枚の紙を手に取り受付へ持っていき、跳びウサギくらいなら大丈夫だろうと討伐依頼を受けた。そして依頼のついでにスライム(チビドラ)を観察してみようと考えながらギルドから外へでた。
街から歩いて三十分ほどの森に来て、俺がスライム(チビドラ)を観察してだした結論は、スライムになってもチビドラはチビドラである。
何だろう? スライムにしては動きが素早い、いや、素早すぎるだろ。チビドラだったときの能力補正でも掛かってんのかって感じだ。いや、多分‥‥‥‥明らかに掛かってるな。ただのスライムにしては最強なんではなかろうか?‥‥‥‥スライムにしては、だが。
俺が12匹目の討伐依頼の跳びウサギを収納袋に入れた時には、夕焼けが空を茜色に染め始めていた。
「そろそろ帰るか」
スライム(チビドラ)と一緒に街へと歩いていく。ポヨンポヨンと俺の隣で跳ねる姿は可愛い。
正直に言うと、俺はスライムが大好きだ!
ポヨンポヨンと体が揺れるところなどは、本当に可愛いと思う。
但し、最弱だからテイムは‥‥‥‥しないけど。
そんなわけで正直なところ、チビドラがスライムになっても、戦えるならこのままでもいいかな、なんて思ったりもしないでもない。
俺としては出来ることならチビドラの強さはそのままで、姿だけスライムというのが理想なんだが。
でも、チビドラは‥‥‥‥スライムの姿のままは、嫌だろうなぁ。
そんなことを考えていると街の門が見えてきた。
門を通るとき門番のアレクになんとも言えない可哀想な者を見る目をむけられる。そんな目を向けられると、いたたまれない気持ちになって気分がへこむが、何度も説明するのも面倒で気にしないようにして街へと入っていった。
テイムするモンスターが全てスライムになってしまう悪夢のような指輪を手に入れました 7ふぐ神 @7hugu
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