第2話

「先生。あの…いつも3人組でいるお嬢様みたいな子名前なんて言うの?」


私はあまりにもあの子のことが気になり過ぎているにもかかわらず声をかけることが出来ないから担任の先生にあの子の名前を聞くことにした。私たちの学校は通信制で教師が6人ぐらいしかいないから、2年と1年のクラスを人クラスずつもつ教師がいて当たり前だったからもちろん知ってるだろうと思ったのだ。


「お嬢様みたいな子?」


「うん、日傘さしてる子いるじゃん」


「あぁ〜りさ?黒髪ショートの子でしょ?」


「そうそう!」


「東雲 りさだよ」


「へぇ…りさか。可愛い名前」


りさ…ちゃん?顔も名前も可愛いんだな。

私が彼女の名前を聞けてものすごく嬉しくてニヤついていると


「気になるのか?」


と先生に聞かれた


「え、うん。可愛いじゃん?」


質問に対しそんな返事を返すと先生はなかなか意味深な発言をした


「似たもの同士だな」


「誰と?」


「りさとだよ」


どういうことだ?顔もあんな上品な感じもどこも似てないじゃないか。そう思っていたら先生は続けた


「りさもお前の名前聞いてきたよ」


「え!?な、なんで?」


「りさうるさいよ、お前のことかっこいいかっこいいって」


「かっこ…いい?」


私は先生の言葉で思考が停止した。なんで…。

確実に後輩たちに人気があったのはりなだ。

イケメンだって。私はいつもりなと比べられた。

「ゆうり先輩は可愛い感じでりな先輩はかっこ良すぎるよね」

後輩たちがそんな会話をしてるのを聞いて心底ショックを受けたのを覚えてる


「絶対嘘だ。私なんかどこも魅力的な所ないのに」


「それは自分で思っているだけであってりさがそういったわけじゃないだろ。じゃ、先生は授業だから。お前も早く戻れよ」


「はーい」


りさも私の事…気になってるの?嬉しい…。

ほんとかな。少しだけ学校が楽しく感じた

ほんと小さな希望に幸せを感じていると私のところにゆいが走ってきた


「ゆうり!あんたもう授業始まるよ。」


「あ、うん。今行くところだったよ。次の授業なんだっけ?」


「情報よ。3階だって」


「情報かぁ…。嫌だなぁ」


結とそんな会話をしながら急いで3階の教室に入ると、

うそ…。

一番後ろの席にあのお嬢様が座っているのだ


初めて授業被った…。緊張しすぎて、喉が渇いてきた私。そーっとその子の机のそばを通ると綺麗な横顔が。横目でプルプルとバレないように冷や汗をかきながら通る私。スマホに夢中な彼女はパズルゲームをしているみたいだ。なんと…刺身を食べながら。

え。休み時間の小腹を満たすのに刺身?リッチすぎないか。てか、刺身食べるんだ。同じ人間なんだな。しかもスーパーの。少しだけ驚いたけど、話しかける勇気は相変わらずなくて、そのままその子とは離れた席にゆいとすわった。


「刺身食ってたね。」


席に着いたと同時にそんなことを言うゆい


「うん…。お嬢様も刺身食べるんだな。」


「お嬢様をなんだと思ってんのあんた」


「いや…ほらどちらかと言えばグラタンとかフォンデュとか洋な感じのもの食べてそうじゃない?」


「そう?でもあの子授業中に扇子でパタパタ扇いでたりするよ。だから、扇子とか日傘な感じ和じゃない?」


「え…扇子?」


「うん、花柄のワインカラーの扇子。多分日傘とセットじゃないかな?似たような感じのだったから。」


「えぇ…めちゃくちゃお上品」


ゆいとそんな話をしているうちに先生が出席をとり始めた


「りさー。刺身下ろせ、もう授業始まるぞ」


「先生あと3枚だから見逃して?」


え…


初めて聞くりさちゃんの声に私のゆいは驚きを隠せなかった

一瞬男が話したのかと思った

声が低すぎて。え?りさちゃんの声?アフレコとかじゃなくて?私は驚きすぎてゆいに口パクでまじ?と言うとゆいもポカーンとしていた


「りさ、お前声が低すぎて先輩達ドン引きしてるぞ」


「え〜うそ、ほんとですか?」


とクスクス笑いながら私たちのところを見るりさちゃん


「え、いや、びっくりはしたけど引いてはいない!」


と急いで先生の言葉を訂正すると、「なら良かったです」と上品に笑うりさちゃん

ふぇ…可愛い…


いや、だけど情報量多すぎて私の脳みそは大パニック。結局すべての情報をかき集めると余計この子がどんな子なのかわからない。

やっぱりこんなグズグズしてないで自分から話しかけるべきなのだと言うことをようやく悟った私


授業が終わってすぐに連絡先を聞こうと思った

だけどいきなり連絡先交換しよう?!とか言われたら引かないかな…と考えた結果


「あ…の…隣、座ってもいい?」


勇気を振り絞ってお話をしながら流れに任せて連絡先を交換しようという作戦に出た


「どうぞ」


おどおどしながら隣に座っていいかと聞く私に彼女は優しく微笑みそういった


「靴可愛いね…ティンバーだっけ?」


「え?ふふ、可愛いですよね、高かったですけど」


「いくらしたの?」


「2万…ぐらいですかね」


「たっか。」


やっぱりお嬢様なんだろうな

彼女の足元を見ればいつもフィラやらティンバーやら1足数万するブランド物ばかりだった。洋服はノーブランドだがゆいに聞くと1万は超えるらしい。すごいなぁ。



「でもそういう先輩も靴ドクターマー〇ンじゃないですか?」


「あぁ、それっぽいでしょ?1500円なんだよ実は」


「えぇ、めちゃくちゃ買い物上手ですね」


「そう?そんなことないと思うけど…」


すごく可愛いな

ニコニコしながら会話をする彼女が可愛すぎて私は無意識にニヤケながら見つめていた


「先輩?」


「へ?あ!ご、ごめん、りさちゃんは」


「ちゃん付けは…個人的に嫌です」


「あ、分かった。ごめん。…りさはKーPOPが好きなの?」


「はい、この方先輩に似てますよね」


「どれ?」


KーPOPが好きな私はりさの透明なスマホケースの中にKーPOPアイドルのトレカが挟まっていたのを見逃さなかった


「似てる?私こんなかっこよくないよ。」


笑いながらそういう私に彼女は


「入学した時からずっとかっこいいと思ってたんです。みんなはもう1人の先輩を推していたけど私はずっと先輩がかっこいいと思っていました」


と言った

まっすぐ見つめられ射抜かれた私の心臓

私はあまりにも嬉しくて恥ずかしくて


連絡先を聞くのを忘れてしまっていた

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愛じゃどうにも出来ない恋があるんです @rii0815

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