第6話 出会い4

エヴァは少し懐疑的であった。男の雰囲気は悪くない。むしろ初対面の印象は良い方だと思われる。しかし、自分の主人、一国の王が探せと命令させるほどの大物感はないと、密かに感じながら、そんな思考を表に出さないように、姿勢を正した。

「失礼しました。説明が不十分でしたね。名前は出せませんが、ある方の元へお連れしろと言われています。また、こうも言われました、『翠玉の3代目が青目に会いたがっている』と」

フェイはそれを聞いても微動だにせず、

「……なるほど、わかりました。そういうことであれば一緒にいきましょう。ただ、すぐには無理なので、一度荷物を取りに自宅に戻りたいんだけど、急ぐのかな?」

エヴァはあまり時間をかけたくないので、すぐにでも帝都に戻りたかったが、さすがに王が探す人物だ。失礼があってはいけないと思い、そこは少し我慢せざるおえないなと譲歩する形で、

「ゆっくりはできないので、できれば早い方が良いですが、自宅はここから近いですか?」

「近くはないけど、まぁ半日あれば戻って来れるから、少し寝てすぐ戻って来れば、明日のお昼には出発できるかな」

「わかりました、ではそれでお願いします。」

「行き先は帝都で良いのかな?」

「え?ええ。その通りです。」

エヴァは付いてこいとは言ったが、まだ行き先は伝えていない。懐疑的な思いは、今度は別の意味で深まりつつも、一旦人探しが終わりに近づいたことに安堵した。

「じゃあ明日のお昼頃に村の入り口付近で待ち合わせでいいかな?」

「ええ、それで結構です。」

会話を終えると、一旦解散となり、エヴァは宿屋のカウンターへ向かった。自分も泊まる手続きをするためだ。

(アル様が探しているぐらいだからだけど、そこまですごい人には見えないわね…)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

レジェンド•オブ•ブルーアイズトライブ ケリーエヴァンス @kerryevance

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ