第5話 出会い3
フェイは宿の自室に戻っていた。
「久しぶりに、面白いものが見えたな〜」
口元を緩めながらつぶやいた。
面白いものとは、当然先程の酒場の前でのことである。
「かの騎士様は中々の腕だったみたいだ」
自分の荷物を整理しながら、少し弾むような声で独り言をぼやいている。
騎士がこんな辺境に来ること自体が珍しいことである。ましてや美しい女性が大の男たちを軽くあしらったとなれば、見応えとしては充分である。フェイも野次馬たち同様、いいものが見れて少し満足な気分となっていた。
「さて、お風呂にでも入って早く寝るとするか〜」
のんびりとした口調で、いつも通りのルーティンに向かう。そこは慣れたもので、風呂や食事など、寝るまでの作業を一通りこなしてゆく。そして、そろそろゆっくりするかと思っていたら、突然自室のドアがノックされた。
「夜分に失礼します。」
と、女性の声がした。フェイは、はて?と思いながらドアを開けた。すると、そこにいたのは件の女性騎士が立っていた。
「はい、何か御用でしょうか?」
「あなたがフェイで間違いないですか?」
「まぁ、この辺でその名前は私以外に会ったことはないですが。。。」
「そうでしたか、ではぜひ一緒に来ていただきたい」
「えっと、あの〜、私が?あなたと?しかもどちらへ??」
突然の訪問にも驚いたが、さらにいきなり一緒に来いと言う。しかも、場所も理由もないとくれば、流石に訝しむのは当然だ。ただ、相手が一般人ではなく騎士であるため、怪しいお願いとも思えない。フェイはなんとも言えない顔で困惑していた。
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