第3話
高校生のわたしたちのお気に入りの遊びは、カラオケボックスに行き、流行りの曲を歌うこと。
時にはソファーの上に立ち、飛び跳ねながら歌ったりもした。
その日もわたしはカラオケボックスへひとり向かった。
地元の古びた小さなカラオケボックス。
そこで友達と待ち合わせをしていた。
店内に入るがまだ友達は来ていない。
レジカウンターには年配の男性がいた。
「ひとりできたのかい?」
ニコニコしながら男性は聞いてきた。
「友達と待ち合わせです、少し待たせてもらってもいいですか?」
「いいよ、いいよ。あ、そうだ。外は暑かったろう。ジュースがあるから飲みなさい。そこの椅子に座っておいて」
男性は待合の小さなテーブル席を指差した。
親切な人だなぁ。
わたしはそう思いながら椅子に腰掛けた。
男性は冷えたオレンジジュースを自分のものも用意し、運んできた。
向かい側に腰掛けながら話しかけてくる。
「この前も友達と来ていたな、近くに住んでいるの?」
「はい、近くです」
「そうか、いつもありがとう」
男性は満面の笑みでオレンジジュースを啜った。
月 美月 @sweetestsands
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。月の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
好きなことを、好きなだけ最新/宇部 松清
★188 エッセイ・ノンフィクション 連載中 2,100話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます