第2話

そんなわたしの楽しみは読書だった。

読書は作者と一緒に妄想の世界へ行ける。

わたしとの共通点や美しい表現を見て楽しんでいた。


ある日、学校から帰り自分の部屋に戻ると読みかけの本がない。

机の上に伏せて置いていたはず…

嫌な予感がして本棚を見る。


わたしの本が、ない。

あいうえお順に、色も高さも考慮して並べていたわたしの本が、ない。

あの本には、お年玉も隠しておいた。

あそこの本には、四葉のクローバーも挟んでいた。

一番上の左端のお気に入りの本には、引っ越していった友達からもらった手紙も挟んでいた。

あの子、最近文通が途絶えたけど、どうしているだろう?


わたしの中で何かが弾けた。

なんだろう、心臓の奥深く、小さな穴があいて、血液がゆっくり流れ出す感じ。

胸焼けのような、吐き気のような、目眩もしてきた。

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