俺は普通の恋がしたい

@kaitou_ranma

第1話 プロローグ

俺、源政哉みなもと まさやは恋をしないと決意した。

理由は単純なものだ。中学生の時、俺は100人の女性に恋をし、告白し、そして振られた。同級生、先輩、後輩、近所のコンビニや行きつけの喫茶店の店員。中学生活の全てを恋に捧げたと言っても過言ではない。誰でも良かったとかそんな理由じゃない。

自分で言うのもなんだが、俺はとても惚れっぽい。綺麗な女性、カワイイ女性、かっこいい女性。勘違いしないで欲しいのは、浮気性とか移り気とかそんなものはない。一度恋に落ちると、フラれるまでは他の女性の事は目に入らなくなるとても一途で硬派な男の筈だしそうありたいと思っている。

しかし、如何せん恋に落ちるまでが早過ぎるせいかとても軟派な男だと思われている。とても心外な話だが、客観的に見ればそうなのであろう。とにかく、俺は3年間を恋に生きた。

あまりに振られ過ぎたせいか、俺が誰に恋するか、そして振られるかをゲームにされる始末であった。なんとも迷惑なことだ。そのせいで学校内はおろか近所一帯でも俺の告白を振るのが当たり前という雰囲気ができてしまった。

俺はガキ過ぎたんだ。中学生だからガキなのは当然だが。そこで俺は自分を見つめ直すことにした。死ぬほど勉強した。文字通り死ぬほどだ。全ての時間を捨てて勉強に集中した。食事と睡眠時間もだ。そのおかげで俺は式島学園しきしま がくえんに入学できた。式島学園しきしま がくえんは男子校、進学校で有名な上、スポーツに関してもインターハイや甲子園出場をする名門なのだ。

俺はここで3年間恋心を封印し、知性と体力と社交性を身に付け自分自身を磨き上げることでより魅力的な人間になると誓った。誓った筈だった。

なのに何故......俺以外の生徒が全員女性なのだ!?

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