真実の地にて

ミライ

セイリア試験編

第1話 セイリア

昔々、この地はラ=ベルダッドというものに支配されていました。

そのものは傲慢で、憤怒で、嫉妬深く、怠惰で、貪欲で、暴食で、色欲が強かったのです。

そのものの部下にもそれぞれいた他のものが特出したものがいました。

傲慢には、吸血神アラガンシア。

憤怒には、猿神インディシナジアン。

嫉妬には、蛇神セロス。

怠惰には、牛神ペラザ。

貪欲には、烏神ゴディジア。

暴食には、虎神グラトネリア。

色欲には、蠍神ルフリラ。

彼らによってこの世界と7つの世界が支配されていました。

その力は強大で創世神すらも凌駕すると言われています。

そんな世に1人の男が立ち上がりました。

シェケルという名でした。

そして8つの世界を回る旅が始まりました。

忠義を果たす剣聖とともにアラガンシアを打ち、寛容な召喚士とともにインディシナジアンを打ち、慈愛な聖女とともにセロスを打ち、勤勉な大魔導師とともにペラザを打ち、分別ある暗殺者とともにゴディジアを打ち、節制な弓使いとともにグラトネリアを打ち、純潔な格闘家とともにルフリアを打ち倒した。

最後には全員でラ=ベルダッドを打ち倒し世界を平和に導いたのであった。

そのものを皆はこう呼ぶ、「勇気ある者、つまり勇者と......」



それから数百年......




「ト……ルト……ビルムト起きなさいっ!」

少年の部屋に女性の声が響き渡る。

吸い込まれるような虹彩異色に透き通るような白い肌、美しい銀色の髪が特徴な彼女はどうやら未だ寝ている少年の母親らしい。

「むにゃ、まだ寝てたい……」

眠そうにしながら毛布に潜る少年。

くりっとした目に美しい肌色ツンツンした黒髪、寝癖ではなく治らないらしい。

「もうっ、今日はセイリアの試験の日って言ってたじゃない」

呆れたようにビルムトの母親は呟く。

バッと、ベッドから飛び起きる少年。

「母さん! いま何時?」

ビルムトの母親は端末を見る。

「8時よ、8時半」

それを聴きながら慌てて着替える少年、半袖半ズボンの動きやすい格好に着替えたようだった。

「朝ごはんはサンドイッチだから食べながらでもいけるわよ」

と野菜と大きな肉が入ったサンドイッチを差し出す母親。

「母さん、ありがとう! 行ってきまーす!」

勢いよく扉を開けて走り出していく少年。

「大丈夫かしら?」

ビルムトの母親は心配していたのであった。



今年のセイリア試験の会場はミナモ島それだけしか知らされていない。

まずはミナモ島に着くのが試験なのだ。

「うーん、この船かなあ」

ミナモ行きという船に大量の人が並んでいる。

おいどけよ、お前がどけよと混雑している。

「なんか嘘っぽい匂いがするんだよね」

そう、後でわかるがここが最初のふるいであるのであった。

しばらくビルムトは歩いていると1つの船を見つけた。

「ここだ!」

M行きと書いてあるこの船が正解だと思った。

「おっちゃん、俺ミナモ島に行きたいんだけどこの船だよね!」

おっちゃんと呼ばれた白髪で白髭をはやした大男は言う。

「ここはM行きだぜ、それでもいいんなら中で待ってな」

と中を指差す。少年はわかったと言いながら中に入っていった。

中には約8名の男がいた。異彩を放つのは1人、王家にでも使えていそうな騎士風の男であった。出航まで数人増えるだろうがこの船はそんなにいないだろうと予測する。

しばらくすると、猫目で金髪の同じくらいの歳の少年が入ってきた。

少年は中を見ると「ふーん、そんないないんだな」と言いながら奥へ行っていった。

そこで、船が出港した。

ここから大体12時間の船旅らしい。

折角だから見て回ろうと決めたビルムト。

中には6人の試験に受けにきた大男、金髪の少年と騎士風の男は別の場所のようだ。

騎士風、いや騎士の男は上で剣の稽古をしているようだった。ビルムトにはわからないが、世界でも上位の動きであった。

「水蛇が来るぞぉー! 備えろ!」

船員の1人が叫んだ。

水蛇は海の中でも特に厄介な魔物の1つで、素早い動きに、物理攻撃をなかなか受け付けない点がある。魔法は効くが基本的にセイリアしか教えてもらえない術だ。

ビルムトは戦うと決めた。試験を突破するにはこれくらい倒さないとダメなのだ。

幸い水蛇なら陸上でだが倒したこともある。

船員が水蛇に対して戦闘準備をしていた。

「オレも手伝います!」

そう言いながらビルムトは船に上がってきた水蛇に飛び蹴りを放ち足場にして上に飛ぶ。

そして怯んだ隙を見逃さずかかと落としを喰らわせる。

それにより水蛇は気絶した。

「へぇー、お前案外やるんだな」

と金髪の少年が、水蛇をどこからともなく出した大剣で叩き倒し言う。

「何歳? 俺12歳」

金髪の少年がビルムトに問う。

「12歳、同い年だね、オレはビルムト、君は?」

「俺はレイっていうんだ」

すると一際大きな水蛇が現れる。

その瞬間水蛇は騎士の男に切り刻まれていた。

「あいつも合格しそうだな」

レイがいう。

そうして、港に着く頃、船長により騎士の男、ビルムト、レイ以外の皆は連れ戻しだそうだ。

騎士の男が言った。

「私はローグという。お前たちと行動したい。よろしいかな?」

レイはいいぜおっさん、と言った。

ビルムトも断る理由もないのでみんなで合格しようと言った。

「後私はおっさんではない。15歳だ」

その言葉を聞いた2人のえぇーーーという声が街へ響き渡ったのであった。

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