第2話
目を覚ますとボロの木造が広がる知らない天井、なんてネタはごまんと語られている
俺もその1人だと確信したのは、目が覚めてからだ
背中からの感触からは、布のような物が伝わってくる
腕を動かすと、指先まで感覚はあった
だが、両足はもうないだろうなと思ったが────
────あった
親指の先まで動いたのだ
「な、なんで…っ!?」
口動かせば歯も生えており、一瞬サメにでもなったのかと脳が混乱した
「目が覚めたかい?」
俺は声のする方向にビックリして、身体を起こして声の主を見た
「おや、もう動けるのかい…?若いってすばらしいねぇ」
老婆だ
歳は80を超えるだろう顔のシワと、腰の曲がり具合が印象的な人だった
「風通しが良すぎる家に、お客さんを連れてくるのは…はぁ、失礼なんだけどねぇ…ごめんなさいね?」
自虐ネタをぶっ込んでくるも、状況が理解できない俺にとっては笑えないジョークでもあった
理解できない冗談だ
「…?喋れたはずだろう…?聞きたいことがなければ、もう少し寝るのかいいかもねぇ」
「あ、ま、待って!」
俺のとっさの言葉に、老婆は疑問符を浮かべた
「……知らない言葉だねぇ、どこの国だろうか…?」
なんということだろうか
俺が聞いている老婆の言語は理解出来ても、俺の言葉は通じなかった
「あ、え、えぇと…っ!」
どもる俺は言葉ではなく行動で示した
頭を下げたのだ
「……?頭を下げてどうしたんだい?」
「か、感謝です!ありがとうございます!!」
「ふぅむ…謝る言葉ならもっと悲壮感溢れるわよねぇ…感謝かしら?」
その答えにたどり着いた老婆を見て、俺は思いっきり首を上下に動かす
「感謝、なるほどねぇ…また、ひとつ…ふふ」
老婆は言葉の最後に含み笑いして、部屋から出ていこうとする
「あ、あの!!」
「もう少し寝ていなさい、あなたには一人でいる時間が必要よ…うふふ」
そう言って老婆は部屋から出ていった
語尾の含み笑いが気になるも、老婆の口癖だろうと俺は思い、またベッドに背を預ける
何だったのだろうかと、思い老けても仕方ないので現在の状態を確認する
腕、足ともに在り
口を動かせば歯がカチカチと鳴り
過去の家族や先生の記憶、切断された記憶も、有してる
では、何故、俺は…
何が…どうなってるんだ?
考えれば考えるほど混乱する脳は、次第に睡眠欲を促してきた
考えては仕方が無いとばかりに、俺は一眠り着くことにした
──────────────────
“うわぁぁ!!“
“嫌だぁぁああ!!“
“助けて!!“
悲鳴と共に見える景色は
ビル群が立ち並ぶ鉄色と
夜景の黒と
炎の赤
人々は燃え盛り、黒焦げとなって朽ちていき
また、鉄色のビルは支柱に支えきれず崩壊し
この世の終わりを告げる光景へと、化していた
遠くで見えるキノコ雲は、次第に複数増えていき
大きな翼を持つ鉄の塊が頭上を通り過ぎた頃には、見ていた景色が融解していった
……え?
その疑問と同時に、手を見る
皮膚は溶け
筋肉も崩壊し
骨は砂となった
「あ……う、うわぁぁ!!!」
その手らしきもので顔を触れると、頬周りが崩れ落ち、歯がポロポロと地面に落ちていった
また、息をすれば気管が焼け散り、肺を高熱で溶かしていく
「…ぉぉ……ぅひへ……」
どうして、と口にしても上手く言葉に出来ず
立つことが困難となり
地に倒れ、自然と共に還ることへの諦めを選ぶと
────────────────────
目を覚まし、身体を起こす
酷い夢を見た気もするが、記憶が曖昧、かつ無いに等しいので気にせずに体を動かした
ふと、手を見た
爪先まであることを確認し、何故かほっとしたのも束の間
木造のボロ部屋のドアが開く
「うなされていた気がするが…良く、眠れたかい?」
うなされていたのに眠れたのか、という質問ほど矛盾したものは無いのではないか?
そんなふざけた考えを振り払い、俺は身を呈して質問する
「あ、あの、戦争はどうなりましたか?」
「……?」
やはりと言うべきか、首を傾げる老婆だった
俺は『筆記をしたい』というジェスチャーをする
すると、老婆は理解したかのように部屋を出て、すぐ戻ってきた
持ってきたのは、空鍋とお玉だった
「近い!近いけど違う!!」
片手でぐるぐる回すだけのジェスチャーだったので、伝わらなかったのも仕方ないかもしれないが…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
すいません、ただグロいの描きたかっただけです…
老婆の家にいる時点でファンタジー世界にいるので、そこから絶望を発展していこうという作品でした
ハーレム要素のないリゼロ描きたかっただけです、お目汚しすいませんでした
老婆の正体は人を糧にする魔人でした
糸色の亡き夕暮れ王 黒煙草 @ONIMARU-kunituna
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます