極寒のタルタロス

半世紀とちょっと前。ちょうどとある極東の島国でその国特有の年号が変わった、などと世間がにぎわっていた世界はである。大きく変わってしまった。世界には異形の怪物たちが出没し、都市を滅ぼし、ほとんどの土地は怪物たちに占領され、人間たちは限られた土地、資源をめぐって争いが起きた。怪物と同時に、人間にも同じく異能が使えるようになった者たちがいたことも、争いを助長させた。国連は崩壊し、安全な土地に逃げることのできなかった人々は地下へと移り住んだ。それから十年、大きな戦争は終結したが、まだ各地で小規模な戦いが残されている時代。そんな時代の、一人の元少年兵のお話。