第7話
友達の家に泊まるとか、同性の友人を俺の部屋に泊める事はまぁ何度かあった。だが…1番距離が近い様で遠かった天音を、家に泊まらせる事は、恐らく幼稚園以来となるだろう。
「あ〜…その…アレだ。その…と…泊まる…か?」
「え…あ…うっ…うん…」
正直……ありがたかった。いやね?好きな人を家に泊めたくない男子がいない訳ないじゃ無いですか。
顔を真っ赤に赤らめた天音は、コクン、とうなずいた。可愛すぎやしないか?
「じゃあ…うん、取り敢えず飯でも作るわ。それとも出前が良いか?」
こう見えても俺は自分の飯は作れる。母さんほどじゃ無いにしろ、親父と同じくらいには作れる。と言うか親父もバリエーション広く作れるし、かなりハイスペックなんだよなぁ…。まぁそれを超える母さんは何者?って話なんだが。
「いや!ご飯は私が作るよ!お邪魔してるのに修斗に作らせたらなんか申し訳ないし…!」
「いや、それこそ俺が作る。客人に作らせるわけにはいかない」
と、このままお互いの意見がぶつかり合うのか…と思った時であった。天音の伝家の宝刀が俺の胸を深く抉った。というか貫いた。
「私の料理…修斗に食べて欲しい…から…ダメ?」
上目遣いプラス手を握るというコンボ。誰だよ即死級のコンボだから逆らえないっていうラブコメ主人公に「は?」とか言ってたやつ。マジでその通りの即死級コンボじゃねぇか。
「ごふっ!!」
床に蹲り、吐血(幻影)する。もうダメだこの可愛い生き物。もうホンット…あ、ヤベ…鼻血出てきた。
「わ、わかった…なら作ると良い」
「わーい!!腕によりをかけて作るよ!」
その前にティッシュが欲しい…。鼻血が止まらなさすぎる。
………
……
…
「いただきます」
「いただきまーす!」
天音がよりをかけて作ってくれたのは山盛りのカレーライスとサラダ。感謝の言葉を述べながらスプーンでそれを食べる。
(ん?なんか…味が…)
不味いわけじゃ無い。そんな事は断じてない。だけど普通のカレーと何か味が違う、ほんのり苦味が入ってる。
(まぁ良いか…折角天音が作ってくたんだし)
そもそも出された料理は全て平らげる主義の俺は、そんな事は特に何もせずにカレーライスとサラダを平らげるのであった。
………
……
…
「し、師匠…なんてものを空さんに飲ませてるんですか…」
私と師匠しか知らないバッグの中。そこには大人のおもちゃやら多種多様な媚薬が入っていた。その中でも1番効き目が強かったそうなのが、この瓶の中に入っている謎の液体。
『友達が薬剤師やってるから作ってもらったんだけど、普通の媚薬の200倍の効力があるらしいよ!空にも効いたから修斗もこれでイケる!!』
普通の媚薬の200倍…冷静に考えたらそんなのを人間に飲ませて大丈夫なんだろうか。でもまぁ…私はその手紙の書いてることを信じることにした。
淫らになった修斗…見てみたいもん。
(ふふーん、淫らとなった修斗は私を襲うかもね〜)
そんな呑気な事を考えながら、私はカレーライスの中に媚薬を混ぜ込…ん?
「あ…」
なんとカレーの鍋の中にそのまま投入してしまった。それはつまり…修斗にだけ媚薬を飲ませることは出来なくなってしまったということだ。
(や、や、やらかしたぁぁぁあぁあ!!!ど、どうしようこれ!!これって…私も媚薬入りカレー食べるの!?だ、大丈夫!!多分きっと、私なら耐えられる!!)
………
……
…
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「お、おい天音。大丈夫か?顔赤いぞ」
「あぁ…うん、平気」
なんでぇぇええぇぇぇぇ!?修斗凄い平気そうじゃん!!そんでなんで私がこんなに火照ってるの!?
「平気じゃねぇだろその顔、もしかして風邪か?」
「ふぁ!?」
修斗は額に手を当ててくる。こういう時に優しさを見せないで欲しい!!ほんっとに!襲うよ!?襲っちゃうよ!?良いの!?
「なぁ天音、お前カレーの中に何混ぜた?」
「んっ…媚薬…」
アレ?私今なんてったっけ?
「あ〜…だから体が熱いのか」
ヤバイ…意識が朦朧として…。
「ん…ぉ…あ…」
プツン、と私の意識は途切れた。
好感度200%の恋人から愛されてます スライム @5656200391
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