55話 楽しい日々は続いていく
夏休みに入って数日、すでに例年とは比べ物にならないほど充実している。
みんなで遊んだり、かき氷を食べたり。昨日の夜はファルムと二人でこっそり布団を抜け出して、プール部屋で肌を重ねたりもした。
ファルムとの交際にもいい意味で慣れてきて、以前と比べて私の方から誘うことが増えている。
今日は朝から四人でプール部屋に赴き、二チームに分かれて簡易版の水中バレーボールをやることになった。もちろん、全員衣類を身に着けていない。家の中とはいえ完全には割り切れないものの、第三者の目がないという安心に裏付けされた解放感が心地いい。
「あたしとカナデが組んで負ける道理はないわね。イチャイチャを見せ付けつつ、軽く捻り潰してあげるわ」
プールサイドで軽くストレッチをしつつ、ファルムがリノとサクレを挑発する。
「ぷぷっ、大した自信ですねぇ。ついでに負けたときの言い訳も考えておいた方がいいですよ~? サクレさん、浮かれたエロエルフに絆の力を見せ付けてやりましょう!」
リノは小馬鹿にしたような口調でファルムに煽り返してから、隣に立つサクレを鼓舞した。
「そ、そうだな、余たちの絆、存分に見せ付けるとしようっ」
好意を寄せる相手からあんなことを言われれば、照れてしまうのも無理はない。
サクレは頬を赤く染めながら、両方の拳を握って意気込みを露わにした。
「先に五点取ったチームが勝ちってことでいいよね?」
ファルムに創造してもらったボールを触りつつ、勝利条件の確認を取る。三人とも異議なしと即答してくれた。
楽しく遊ぶのが目的だから、ルールはほとんどないようなものだ。水中バレーボールという名称こそ用いたものの、いまからやるのはオリジナルのボール遊びと言った方が正しい。
「ボールを追いかけるのもいいけど、うっかりカナデのおっぱいも追いかけてしまいそうだわ」
「後で好きなだけ触っていいから、とりあえずはゲームに集中してね」
私の胸を凝視するファルムを見下ろしつつ、やや呆れ気味に言う。
始まる前に釘を刺しておかないと、本当に胸を追われかねない。
「あ、後で好きなだけ……っ。さすがカナデ、あたしをやる気にさせるのが上手いわね。ふふっ、いまから胸が躍るわ。おっぱいだけでイかせてあげるから、楽しみにしておきなさい!」
妙な方向へのやる気も出してしまったファルムを、「はいはい」と適当にあしらう。
さも気にしていないようなフリをしただけで、内心では期待を隠せずにいる。恋人と身も心も結ばれるのは幸せなことだけど、羽目を外し過ぎないように気を付けないと。
「相変わらず見せ付けちゃってくれますね~。サクレさんがよければ、ボクたちも対抗してイチャイチャしちゃいます?」
「えっ!? り、リノは、いいのか? 余なんかと、イチャイチャしても……」
「当たり前じゃないですか。サクレさんだからこそ、ですよ」
無自覚でこういうことを言ってしまうあたり、リノもなかなか罪深い。
サクレが勇気を出してリノの腕にギュッと抱き着くと、リノは私とファルムに「ふふんっ、お二人には負けませんよ」と胸を張った。
サクレは柔らかな笑みをたたえ、リノは自分が言い出したこととはいえ少しばかり照れている様子。
未来のカップルを微笑ましく眺める私は、ニヤニヤしそうになるのを必死に堪える。
この二人が付き合い始めるのも、そう遠くないかもしれない。
「なかなかやるじゃない! カナデ、あたしたちも負けてられないわよ!」
ファルムは私の背中と太ももに手を添え、そのままこともなげに持ち上げた。世に言うところの、お姫様抱っこ。
「なっ、え、ええっ!? お、重くない? 大丈夫?」
「全然重くないわよ。それより、この体勢だと少し顔を動かせばおっぱいを吸えるわね。吸っていいかしら?」
「だ、ダメっ、それも後で!」
動揺を禁じ得ない私に対して、余裕たっぷりのファルムがエッチなことを口走る。
ファルムが発した言葉に体が勝手に反応してしまい、主張を始めた先端部分をサッと手で隠す。
どうやら今日は、眠れない夜になりそうだ。
「お、大人の会話ですね」
「す、すごいな」
二人が尊敬にも似た眼差しをこちらに向ける。
「そっ、そろそろプールに入ろうよ! 体も温まったし、ゲームを始めよう!」
さすがに気恥ずかしくなって、普段より大きな声を出して話を切り替えた。
「カナデ、必ず勝つわよ」
「うんっ」
ファルムたちと出会ってからというもの、言葉では言い表せられないぐらいに毎日が楽しい。
今日みたいに朝から笑顔が絶えない日々は、きっと来年も十年後も、その先もずっと、続いていく。
異世界から来た幼女が私を性的な目で見ている ありきた @ARiKiTa9653
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