心臓の守護者

福田点字

第1話 人と悪魔の対戦

 数千年も前、僕がまだ4670歳を過ぎて間もない頃だ。

 魔界へ進行してきた神により住みかを追われた魔神王様を筆頭とした悪魔である僕達と現地の先住民である人間の戦争、後に『人魔対戦』と呼ばれる対戦が幕を開けた。

 人間の土地に攻め入った理由は単純に生活拠点の確保と労働力の補給だった。

 あの時は突然、不干渉の盟約を破られて応戦できなかった僕達の不甲斐なさを悔いて魔神王様の下した決断であった。

 他にも理由はあったのだが……

 そんな事よりも魔神王様と僕達四天王は沢山の戦闘要因を引き連れて地上の人類を各個撃破し始めた。

 最初期こそ相手が持つ情報量の薄さから膨大な労働力と土地を得た僕達だった。

 が、下級の悪魔が捕獲され始めた辺りから雲行きが怪しくなる。

 取り合えず、捉えた人間は魔界の強固な防御拠点で隔離し同時進行で労働を強いていた。

 雲行きが怪しくなり始めたのは僕達の出現から3年経った時である。

 初めは下級の悪魔が鉄の弾で打ち落とされるだけだった。

 それも各自の魔術により多大な被害を被った上で、である。

 しかし、気付くと強力な爆発によって大量の中級、上級悪魔が重傷を負うようになった。

 そして致命的だったのが強烈な毒素を持つ爆弾の投下だ。

 最初は数個の爆弾が落とされる程度……

 ソレでも下級に留まらず中級や上級も威力と毒素で次々にリタイアした。

 更に追い討ちを掛けるが如く魔神王様率いる部隊に数千の同じ爆弾が投下された。

 部下を庇い済んでのところで魔神王様の魔術『悪食』により全てが魔神王様の体内に押さえ込まれ、内部での爆発により殆どの部位が消しとんだ結果……

 魔神王様は毒に脅かされ希薄なリズムを刻む心臓以外全てを失ってしまわれた。

 そうして僕達の戦争は大敗とゆう形で終戦した。

 撤退間際に数ヵ所の実験施設を襲い研究要因も連れれ魔界に逃げ帰った。

 逃げ帰ってから今までの数千年は戦力増強と人間の増殖による化学兵器の使用に向けて静かに、生きてきた。

 その間は、と言うより今後も魔神王様の復活目処が立つまでは僕が責任もって守ることになる。

 僕はその重要性から常日頃離さずに持ち歩いている。

 そんな生活が続き今日……

 対に僕達四天王は集結して、人間界への進軍を決定した。

 四天王は魔神とも呼ばれ、魔神王様に追い迫るだけの実力を備えた猛者が揃っている。

 僕は中でも僭越だが最強の称号を賜っていたし、今も持っている。

 さて、会談の結論は進軍となったが決まった日程は存在しない。

 何故なら『魔神王様の復活が成功した時に進軍開始の名を賜ろう』とゆう結論になり異論が発生しなかったからである。

 年を過ぎるごとに送っている偵察用の洗脳住み人間が収集した情報から人間も僕達と同じ魔術を使えるようになる武器を完成させ、量産体制も整っていたらしい。

 僕個人の意見としては速やかな侵略が望ましい気もするんだが……

 魔神王様の為と言われては否定するに出来なかった。

 故に僕は、今日も悪魔と人間の戦力強化を心臓守りつつ続けることになりそうである。

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心臓の守護者 福田点字 @tomotyoko

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