短編:7か月後の結末

僕の名前は高坂 優。川野中学の3年生だ。

そして、今日は僕の運命が決まる日だ。

そう。川野辺高校の合格発表の日だ。


大げさと思うかもしれないけど不合格だと紅葉ちゃんと一緒の高校生活が送れない!!それに付き合ってくれるかも・・・

試験は結構できたとは思う。でも絶対はないから・・・


不安な気持ちで僕は受験票に記載のサイトにアクセスし合否発表の専用サイトにログインした。

結果は・・・・


「やったーーー合格だ!!!」


合格した!多分紅葉ちゃんなら合格間違いないだろうしこれで一緒の高校に行ける。


「うるさいわよ優!朝っぱらから」


ノックもなしに姉貴が部屋に入ってきた。

3つ上の姉貴は川野辺高校に通う3年生だ。

弟の僕が言うのも何だけど結構美人だと思う。ただ、学校ではどうだか知らないけど家に居るときはズボラでだらしない。

ちなみに大学は行かずに都内の美容師専門学校に通うらしい。

まぁそれはそれとして・・・


「姉ちゃん!合格したんだよ!川野辺高校に」

「川野辺高校・・・って今日合格発表か!おめでとうやったじゃん!」

「うんありがとう!早速先生にも報告しに行かなきゃ」

「って落ち着きなさいよ。まだ7時でしょ。そんなに慌てて行っても誰も学校来てないって・・・」


そ そうだよな。落ち着け僕。

ここは冷静にならないと・・・


「にしても随分頑張ったよね。通ってる私が言うのもだけど結構レベル高いんだよ川野辺って」

「うん。今までで一番勉強したかも」

「ふふ これも例の可愛い女の子のお陰かな?」

「な な な なんで姉ちゃんが紅葉ちゃんの事知ってるの?」

「ふ~ん 紅葉ちゃんって言うんだ。仲いいねぇ~」

「ねぇ何で知ってるんだよ!」

「そりゃあんた机の上に仲良さそうに一緒に撮った写真飾ってれば彼女かなぁとか思うさ普通」

「・・・・」

「紅葉ちゃんも合格してるといいねぇ~♪」


姉さんが知ってるってことは母さんも多分見てるんだよな。

身内に彼女の事バレるって結構恥ずかしいな・・・

あ、そうだよな合格したんだし・・今度こそ本当の彼女に。


着替えをした僕は、リビングに行って朝食を食べていた父さんと母さんに高校の合格を告げた。


「おめでとう!優。頑張ったね。今日はお祝いね」

「これで優も父さんの後輩だな」


2人共凄く喜んでくれた。ちなみに父さんは川野中、川野辺高校、川野辺大学。そして職場も近くの製薬会社と根っからの川野辺の人だ。


朝食を食べた僕は、まだ8時前だったけど居ても立ってもいられなくなり僕は学校へ向かうことにした。


そして途中、紅葉ちゃんの事を考えた。

多分紅葉ちゃんなら合格したと思うけど・・・どうやって話をしよう。

前に告白したとき僕の事を好きだとは言ってくれたし、付き合うのは合格してからって言ってくれた。

でももう一回告白した方がいいのかな。それとも何も言わずに恋人同士になれるものなのかな?


などと考え事をしながら歩いているといつの間にか学校に到着した。

職員室に向かったけどまだ先生方も全員は揃ってなかった。

でも幸いなことにうちのクラスの担任の中川先生は既に席で書類のチェックをしていた。


「中川先生!」

「ん?高坂か。どうしたんだ随分早いな」

「川野辺高校合格しました!」

「おっそうか今日は合格発表だもんな。おめでとう。高坂は3年になってから随分頑張ってたもんな」

「ありがとうございます」

「川野辺高校は進学校だし高校入ってからも授業についてくのは結構大変だって聞いてる。頑張るんだぞ!」

「はい!」


職員室を後のした僕は何となく自分の教室に向かった。

誰も居ない教室。

僕は自分の席に座ると紅葉ちゃんの席の方を見た。

小学校からずっと同じクラスだったよな・・・高校でも同じクラスになれるといいな。


にしたも・・・何て言って伝えればいいんだろ。

などと色々考えているうちに結構な時間が経ってしまったらしく校庭からは1年生の体育授業だろうか賑やかな声が聞こえてくる。

考えはまとまらないけど、そろそろ帰ろうかなと思ったところで突然教室の扉が開いた。目を向けると


「優君?」

「え?紅葉ちゃん?」


何で教室に紅葉ちゃんがここに?

どうしよう。こんな急に対面するとか思ってなかったよ。

でも、何か言わなきゃ。


「あ、あの、後でメールしようか思ってたんだけど・・・・僕合格したよ」

「え!本当優君も川野辺高校合格したの!」

「"も"ってことは紅葉ちゃんも合格したんだね!」

「うん!これで春からは一緒に高校いけるね!」


良かった。やっぱり紅葉ちゃんも合格したんだ。

それなら・・・ちゃんと言わないとな・・・


「ん?どうしたの優君」


僕は7か月前を思い出し勇気を振り絞ってもう一度彼女に思いを告げた。


「どうやって言おうか決まってから連絡しようかと思ってたんだけど・・・やっぱり前と同じでシンプルに言うことにしたよ」

「え?」

「小早川 紅葉さん。ずっと好きでした。僕と付き合ってください!」

「あ!」

「高校合格したんだし、もういいんだよね?」


言った~~頑張った僕!


「うん!私も優君の事が好き!」

「え!ちょっと紅葉ちゃん!」


紅葉ちゃんの答えは僕の思ってた以上で・・・

僕は紅葉ちゃんに"好き"と言われながら抱き着かれた。

彼女の柔らかい体が僕に密着し何やらいい香りも・・・

紅葉ちゃん刺激が強すぎるよ~


でもこれで僕たちは恋人同士になれたんだよね。

これからもよろしく。



7か月後の約束 -完-

************************

本稿は高坂君視点ですが、同時投稿の7年目の約束では紅葉視点の話しを書いています。ちなみに約束が果たされたということでこの短編も完結となります。

今後の2人は7年目の約束本編か書くかもしれないスピンオフにて。

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7ヶ月後の約束 ひろきち @hiro_1974

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