短編:夏の日の約束
私の名前は小早川 紅葉。
自分で言うのも何だけど、そこそこモテてよく同級生や先輩から告白される。
ただ、告白は全て断っている。
何故なら好きな人が居るからだ。小学校からの遊び仲間の1人の高坂 優君。
特別カッコいいとかスポーツが出来るとか頭がいいとか言うわけじゃないんだけど優しくて一緒にいると気持ちが安らぐ男の子だ。
でも・・・私から買い物や映画に誘ったりとそれとなくアプローチはしているのに告白とかはしてきてくれない。
私の事は仲の良い女友達位にか思ってないのかもしれない・・・・と思っていたんだけど1学期終業式の日に告白されたんだよね。
『私の事が好き』って!!!!もうメチャクチャ嬉しかった。
だけど、私も優君も受験生。それ程成績が良いわけでもないので気を緩めてたらお姉ちゃんたちが居る高校には合格できない。
お姉ちゃん達みたいに遊園地や水族館とかにデートも行きたかったけど、それは高校生なって正式にお付き合いを始めたらと自分に言い聞かせ優君にも自分の気持ちを伝えた。
優君も納得してくれたけど・・・自分で言っときながら優君の事が気になって仕方がない。友達といるときとかもつい目で追ってしまう。
そんな時、ケン兄ちゃんから「海水浴に友達も誘ったら?」と言われた。
最初はケン兄ちゃんと楓お姉ちゃんの仲を深めるために計画してた海水浴だったけど、何だか余計なお世話だったみたいでいつの間にかいい感じの距離感になっていたので今回は私も普通に海水浴を楽しむつもりだった。
ただ、"友達"と言われたときに優君の顔が浮かんだ。
だから『1日くらいなら恋人気分も良いよね』と自分に言い聞かせ次の日、優君に声を掛けてみた。
「優君!来週末の土曜日って空いてる?」
「え?特に予定とかは無いけど、どうかしたの?」
「あのね。お姉ちゃんたちと海に行くんだけど、友達も誘ったらって言われたんだ。だから優君一緒にどうかな?」
「え・・・ぼ僕が行っていいの?」
「うん。お姉ちゃん達カップルばっかりだし、私も優君と行きたいなと・・ダメかな?」
「何があっても絶対に行きます!!」
「ありがとう!!」
「たとえ雨でも台風でも!!!」
「あっ雨が降ったら中止だから・・・」
「うっ・・・でも海って言うと紅葉ちゃんも水着になるんだよね」
「う うん・・・もう 優君のエッチ!」
何とか上手く誘えたみたいだ。
でも水着とか何だか照れるな。。新しいの買っちゃおうかな♡
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海水浴当日。
駅前でみんなと待ち合わせした。
私が楓お姉ちゃんやケン兄ちゃんと待っていると優君が一番乗りでやってきてくれた。
予想通りお姉ちゃん達に紹介したらからかわれたけど、電車の中でも色々と会話してたし上手く馴染んでくれたみたいだ。
楓お姉ちゃんやケン兄ちゃんにも気に入られたみたいでよかった。
そして、葉川海岸駅からバスで案内された海岸は・・・・
何コレって固まっちゃうほど素晴らしいところでした。
そしてコテージで水着に着替え海へ。
何というかお姉ちゃん達とは2つしか歳は変わらないはずなんだけど・・・・
うん。私もあと2年したらきっと大きくなる。そう願いたい・・・・
それにしても高校生になると水着も大胆というかお姉ちゃんも浜野さんも着ているビキニが結構きわどいんだけど・・・ケン兄ちゃんと清水先輩の趣味?
高坂君が、お姉ちゃん達を見て固まってたのはちょっと妬いたけど、まぁ仕方ない。2年後は私もきっと・・・でも私の水着姿を見て、緊張しながらも"可愛い"って言ってくれたのは凄く嬉しかったなぁ。
そして日焼け止めクリームも塗ってもらった。
まさか頼むとか考えてもなかったけど、お姉ちゃんたちがイチャイチャしだしたから私も勢いで頼んじゃった。
多分、私も高坂君も顔は真っ赤だったと思う。
何だか高坂君の手も少し震えてたし。
その後は、二人で海で遊んだり、かなりハードだったけどみんなでビーチバレーしたりと海水浴を満喫した。
でもさ、ビーチバレーは本当にしんどかった・・・現役バスケ部のお姉ちゃん達と帰宅部の私と高坂君じゃ体力というか体のつくりが違うんだから加減して欲しかったよ。
昼食。これもまた凄く豪華だった。
激しいビーチバレーの後でみんなお腹が空いてたこともあったかもしれないけど、皆"美味しい"以外の言葉を発せず食べまくってた気がする。。。。
でも本当に見た目も味も最高でした。
二人で塾の帰りにファーストフードのお店とかは行ったことあったけど、レストランとかちゃんとしたお店はまだ入ったことないんだよね。
高校生になったら・・・二人で"あ~ん"したりもしたいなw
コテージに戻り食休み。
みんな思い思いに休んでたから、私は優君を誘って散歩に行った。
少し二人きりになりたかったんだ♪
「優君。楽しんでもらえてるかな?」
「うん。凄く楽しよ。みんな優しいし・・・それに紅葉ちゃんと一緒だし」
「・・・・も もう!恥ずかしいでしょ!」
「いやでも、本当嬉しかったんだ。
告白の後、高校合格するまでは友達でって僕も納得はしてたんだけど、何だか紅葉ちゃんの事を意識しすぎちゃって。
だから今日1日だけでも恋人同士みたいに遊べて凄く嬉しかった。
だからこれを励みにまた頑張れるよ」
「わ 私も同じだよ」
「え?」
「優君の事を意識しちゃって、勉強とかあんまり頭に入らなくて・・・
でも優君と一緒にお姉ちゃんたちと同じ高校も行きたいし・・・」
優君も私と同じ気持ちだったのは凄く嬉しかったけど、何だか辛くて切なくて、涙が出てきてしまった。折角優君と二人きりになれたのに・・・
「と 友達同士でも一緒に遊びに行ったりするのはいいんじゃないかな」
「え?」
「お互い無理してもストレスたまるし、勉強進まないでしょ。
時々息抜きで遊びに出かけたりしてもいいと思うんだよね"友達"として」
そういって優君は私を抱きしめてくれた
「あ!」
「この間のお返しだよ。今はここまで。
この先は受験が終わってからだね」
「うん♪」
やっぱり優君は優しい。
私の王子様だ。
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