第2話 どうしてもそう?

「ここがアジトかぁ!」

見ればわかる事を大声で言う、熱血タイプがやりがちな事だ。

「映像は確認できる?」

「お安い御用だポリン!」

羽の生えた異質な猫が美女の手首に装置をはめる。

「ぐんぐん進んでるわね。

皆も手首にはめてくれる?」

「一人ぬいぐるみがいます!」

「そこは二組で行動して、アナタが映像を見せるのよ。」


「だとさ、頼むぜ相棒!」

「..その感じに慣れそうで怖いよ。」

「いい?

フォーメーションを説明するわ」

カリンによれば中は六つの道があり、当たりは一つのみだという。

つまりは六手に別れる訳だが正面はカリンが受け持つ。それが三つ目の道だ

「一つ目」「引き受けた!」赤藤

「二つ目」「だろうね。」ジョー

「三つ目」「了解です!」リルカ

「4つ目はアナタ達に任せるわ。」

「なんで二人さ?」「理解不能」

意外な事で不満、一つの要素だ。


「コッチはさっきいったわよね?」

「ハナッからコイツとしか組むつもり無ぇよ!」

「俺は学校行く段階から反対してんだけど。日常がもうわかりません」

いつもと同じを偶にが壊す。異常を壊す力は彼には無いので、適当に切り上げて帰る事の出来るタイミングを伺っている。

「詳しく話してる暇は無い、一度で理解したわよね?」

「返事を聞いている暇も無いポリン」

「迷わず走って、散ッ!」

「散って言うんだ..」

「ほら行くぞ祥吾!」「え、うわっ」

各々が行くべきところへ向かう、カリンは己の進む三番目が続く道だとなんとなくわかっていたが、念を入れ、他の持ち場を周囲へ任せた。

「進んだ先には何が待ってんだ?

ワクワクするよなぁ!」

「..するかな。

どうせ基地を護るナントカナイツみたいな名前の連中が喧嘩売ってくるだけだよ、ここは通さないとかいって」

城のセキュリティはいつだって固い。


「よくぞ辿り着いた!

しかしお前は運が悪いな!」

「何、誰だお前は!」

黒マントを羽織るシルエットが道々の足止めをする。

「貴様らは我々の手によって葬られるオモテに顔が出る事はないぞ?」

「..言うじゃないか。」

「やられたねこりゃ」「大変ポリン」

「何があったの⁉︎」

自分以外の味方が皆、敵に手を出されているのだ。そりゃ驚いて呆然だ。

「真っ向からの戦いは避けて!

奴等はキングダムナイツ、基地を護る精鋭達。戦うのは自殺行為よ..!」

「そうか、気を付ける。

でも悪いな、もう遅いかもしれん!」

「何?」

どう転んでもベタはベタ。

「もう延びてるんだよねぇ、その城の門番っていうのがさ?」

「嘘でしょ..!」

一番と二番で、既に撃破が完了している。門番をしのぐ強さを平然と誇る。

「スゲーなあいつら」

「敵幹部かませ犬パターンか。」

「測定範囲外..」

「まぁあの二人はバケモン級だからね敵に回す方もしんどいと思うよ」

「抜けがけズルーい!

ワタシもやるぞ〜!えーい!」

「やめとけ小娘、お前如きに出来ることなど...」


「サンシャイン・キッス!」

鋭い光がキングダムナイツの一人、ダイヤモンドクローズに降り注ぐ。

「なんだこれは..!」

「ワタシのキッスは弾ける衝撃!

触れると身体がフィーバーするよ!」

「ふん、それがどうした。」

幹部内で最高の硬度を誇るクローズは自らそれを受ける。光の束は衝撃として炸裂し身体に弾ける。

「あーもうダメだよ〜!

威力が強いとかじゃないんだよ?

キッスは衝撃そのものになるんだよ」

「物理攻撃じゃないだと..!?」

「ごめーん、難しい事はわからないや

変わりにワタシの歌をきいて!

三条リルカで、ラブギャラクシー!」

キャピついているだけだと思ったが実は一部で人気のアイドルなのだ。

「また歌ってるよ」「...録音不可避」

「嘘、ファンな訳⁉︎」

「抜け目ないなオイ!」

「隙だらけだよ逆に。

深夜にCDのcmすごいされるよ」


「耳障りな曲だ、お前らもそうか?」

「ん、まぁ確かにね。」

「お前達を殴る音なら、少しは妨げになるかねぇ?」

五の道に立ち塞がるのは危険な臭いのする男。悪意に満ちてタガが外れている模様だ。

「解せんな..」「なんだぁ?」

「あの歌の良さがわからんとは、余程感性に難があると見える。」

「いうじゃねぇか、ブッ殺す..!」

「いつにも増してやる気だね。

だけど殴り合いは嫌だよ、ゲームで決着をつけようか」

「なんだっていいよぉっ..!」

全ての道が動き始めた。一、ニの道はどちらも火炎、流水の一撃で型が付いたが行き止まりで前に進めない。四はじきに事を終えるだろう。五は真っ最中、三は奥地へ。

ならば残る最後の道は...。

「アイツらやるな!

ただの学生じゃねぇみたいだぜ?」

「あの風貌で能力持ちならタダの学生だよ、意外性無いもん。」

「文句ばっか言うなっての!

仕方ねぇだろ、ああいう形でしか何かを残せなかったんだからよ。」

「残す気ある?

戦いたいだけでしょ、担任の事とかもう忘れてるよ多分。伏線回収なんかしないで放ったらかすよ絶対。」


「お前がこの道のマヨイビトか..。」

「片仮名で言うな、かっこ悪いぞ」

「そこまでわかんのね。」

「御託はいい、始めるぞ..!」

「いきなりのタイプか、取り敢えず躱して強者の感じを煽れ!」

「わかったよ、強そうだもんね!」

金属を操る鋼のシルバス、手袋を刃に変えて斬り込み穿つ。


「..あった、あそこの扉ね。」

「遂にあそこにいるポリン、気を引き締めて望むポリンよ!」

「ええ、扉まではダッシュよ。

何が来るか分からないからね」

小手先の雑魚を相手している暇は無い

狙うべきは筆頭、全ての事柄の発端。

「もうゼッタイ逃がさないんだから」

「カリン、上!」「え!?」

進行を妨げ、ガイナザスが落下する。

「ゲファファファ..!」

「アナタは、さっきの。」

「先ヘ進メタと思っタカ?」

「くっ!」

あと一歩のところでペースを崩された

弾数も、度量も調整し、備えていることろを邪魔をされれば全て台無しだ。

「いいや、先へ進めるよ」

「ピルフィー?」

愛嬌のある語尾では無く、しっかりとした口調でいった。

「フェアリー族は真の力を解放する事で無限の性能を開花する」

「ダメよ、アレは負担が大きすぎる」

「他に使いどきがあるかい?」

フェアリー族諸刃の剣〝出力解放〟ピルフィーの身体が肥大化し、化け物染みていく。

「行け!」「ピルフィー!」

「ゲファファ!面白い!

盛大ニ歓迎してヤルゾ野郎ドモ!」

祭りだと言わんばかりにガイナザスの群れが集いピルフィーを囲む。

「振り向くナ!」「ピルフィー..!」

カリンはただ走る、任務遂行の為に。


「ぐおぉ..」

「ゲームは苦手か、ならジャンルを変えよう。ゾンビゲームなんてどう?」

(おかしい、打撃は与えてるのに。

力が思うように入らない!)

「私の力だ。」「...あぁ!?」

「指定したモノの確率のパーセンテージを操る。今はお前の力を常に弱く設定している」

無口でいるのは話す必要が見当たらない故。数値を見れば、自ずと解る。

「ま、無理ゲーというやつだな。

諦めろお前はゾンビに喰われて丁度いい。ゲームオーバーだ」

「完全アシストがイキんなよ。」

「...すまない」

「くっそがぁぁぁ〜っ!!」

結果的に歌の妨げにはなった。

「素敵な歓声ありがとうー!」

捉え方は人それぞれのようだが。


「ふんっ!」

尚も鋼はブレずに響き。

「メタルレイピア」「技名言った!」

コンクリの床を食い込み砕く。

俊敏な動き、巧みな剣さばき、独自性は一切無く何処かで見た凄い人の動き

「メタルコアショット」

「飛び道具まであんのか!」

「バーで出てきそうな名前だけどね」

せいぜいカウンターのテーブルを滑る程度の威力だ、大した事はない。しかしそれが強い人の動きを使うと立派な武器になる。

「どうした、そんなものか?」

「それ言ってる時点で何かあるの知ってんだろ。」

「確かに、いつ辺りから言おうと思ってたんだろ」

「...貴様」「あーわかってる大丈夫」

「何モフ吉」「ジョーィだオレ様は」

「もしてかして..」

「そうだ、遂に来たぞ。

〝アレ〟を着そうなときがな!」

「えぇ〜...やだぁ。」

前に予告していたアーマーモードがすぐそこまで来ている。

「幾らでも足掻くがいい」

「ほら、奴さんもやる気だぜ?」

「ていうか何でアーマーになれるの」

「言ってたろ、オレ様の魂は妖精と似通ってるって。」

「言ってたっけ?

で、なんでフルアーマー?」

「知るか、いくぞ!」

「この俺に何を見せてくれるのだ。」

中ボスポジションのあいつがラスボスの様な事を言い始めたので退く事は最早不可能、言われるがまま機械音と共にアーマー化する相棒を身につけるしか無かった。

「完成、フルアーマージョーィ!」

「意外にカッコいい..。」

下手にこういう箇所のクオリティを凝ったりするのだ。


「見てくれだけで戦には勝てんぞ!」

「ナメんなよ...?」

あからさまにボッコボコ、チートレベルに強かったりするのだ。

「がはっ!」

「墓穴は空けといた、存分に眠れ。」

床をくり抜いた穴に落とされ敗北、あっという間の戦であった。

「やりすぎじゃない?」

「皆大体こんなもんだぞ。」

「やだよこんなマウント勝ちみたいな主人公みたいじゃんか」

「主人公だぞ?

ソシャゲとかになったらこのカッコでフェス限になるからな。」

「絶対ダレるじゃんそれさぁ..」

ネットで最強テンプレパーティと検索すれば一番上にこれが出てくる。


「……」

手元に転がっているのはコンクリの破片と、小さな鉄屑。

「充分だ..」

手探りで鉄を掴み、指で弾くと、削れた穴の壁にハシゴが出現する。

「地の利という言葉を知らないのか」


「結局行き止まりじゃんここ。」

「だな、先へ進むか」

「何言ってんの俺は...」

「怒りをカタチにするのだ..!」

「なんだ!?」

「アイツしかいないじゃん。」

墓穴から蘇りし鉄の化身シルバス

先程より身に少し磁力を帯びている。

「覚悟するがいい..!」

「祥吾、次は少し長引くぞ。」

「すっごい嫌ですけど」

「我達はガイナザスの細胞を取り込んだ兵士達、人体変異など自在にできる

これぞ人々の夢だ!」

金属の翼が生え空を舞う。

ガイナザスの細胞は、ここまでの変化をも可能とするのだ。

「フハハハハ!空を飛ぶのは神の業!

我は神に選ばれしものなり!」

「よっと..。」「何?」

アーマーの背部分から翼を突出させ、飛び上がる。神は思うほど崇高な代物じゃない。

「そんな、有り得ない!」

「いや、出来るけど。」

「ついでにくらえ、口開けろ」

「待て、何をする...やめろぉ!」

変形した右手の銃口から、エネルギー破が放出されシルバスを呑み込む。


「あぁぁ..!」

「やっぱダレるってこれ。」

「ならログインボーナスに変えるか」

可愛らしい音を立てアーマーからぬいぐるみへ、モフ吉状態へと立ち戻る。

「さぁて幹部をブッ倒した事だしな、

次は親玉を相手取るか!」

「行くよ。」

「あ、おい何すんだよっ!

行くって何処に⁉︎」

「帰るの、初めから抱えちゃえばよかったのかミスったなぁ〜。」

首根っこを掴み肩に乗せて動きを封じる終盤に漸くマウントを取れた。

「どうすんだよ、いいのか!

ガイナザスの行方はよ、先生は⁉︎」

「いいんだってわかりきってるでしょラスボスはコスモポリスカリンの兄で久し振りに再開、先生は多分元々ああだったんだって。」

制御薬を投与されている間に化け物の記憶を忘れ仮の姿の生活を愉しんでしまっていた。

「それで斜に構えてた青い奴がちょっと情持つみたいな事か?」

「やっぱりわかってるね。

それよりさ、ぬいぐるみから魂抜けないの?」

「無理だな、自分でも抜き方しらねぇもん。」

「えー..もうやめてよ、俺普通に生きたいんだけど。コンビニの弁当食いながら芸能人の悪口とか言ってさぁ。」

「今でも出来るだろそれ」

「今じゃ芸能人より特殊な奴が多すぎるんだよ。」

「無理だな、お前は明日も学校に行くけど、また特別な登校の仕方をするぞ日常は遠いな!」

「嘘だろ。

変わってる事の何がいいんだよ?」

「馬鹿か、トリッキー程楽しくて飽きねぇもんはねぇんだよ!」

「勘弁してよ、頼むからさ..。」

ガイナザスが地球から去ろうとまた同じ変化が訪れる。小さい頃から相棒と慕ったぬいぐるみは、今や迷惑を運んで来る嫌な奴だ。


「遅刻だ遅刻だ!」

「痛っ!」「あいたっ!」

曲がり角で女とぶつかった。

「ちょっと!」「なんだよ!」

喧嘩している時間は無い、二人は急いで学校へ向かう。

「祥吾ギリギリだぞ!」

「すいません..」

「今日は転校してきた子がいる。

入ってきてくれ」

「はい!」

「あっ!」「今朝の!」

「なんだ、知り合いか?」

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