前のエピソード――第23話　葉桜2本目

　後半になっても続々新作が投入されているこちらの企画【筆致は物語を超えるか『葉桜の君に』】さすがにぜんぶは追いきれていないのですが、もう終盤なのでね。読んだなかからのピックアップ後編です。基準はいつもとおなじ。すべてわたしの独断と偏見にまみれた『好み』です。優劣ではありません。

　てことで、今回もわたしが感じた系統ごとにほんのりまとめて（まとめようがなかった作品もありますが）ご紹介ー。

　〜共通のあらすじ（超ざっくり）〜

　クラスを受け持つことになった秋田葉太。そこには、かつての恋人によく似ている生徒、春川桜子の姿が。校外の公園で出会う２人。次第に打ち解け、桜子は悩みを相談するも、葉太の答えを聞くことなく走り去ってしまう。やがて公園で再会。葉太は以前伝えられなかった言葉を桜子に贈る。数年後。葉桜を見あげながら思いを馳せた。

　―順不同―

【個性派葉桜】

☆吉岡梅さん作（現代ドラマ／文字列）

　言葉っておもしろい文章ってすごい。と、言葉の可能性に感動した１作です。冒頭から２話までつづく洪水のような文章にびっくりするのではないかと思いますが、最後の３話まで読めばその意味がわかるかもしれません。そして、ついそのセンスとか手腕に目がいってしまうんですが、じつは葉太先生がとてもいいことをいっています。とりあえずゴリラと雨に注目です。あとスト缶。

（全３話／約5,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895693596

☆宮澄青依さん作（SF／宇宙人）

　そこかしこに笑いが散りばめられていますが、扱っているテーマはとてもシビア。シリアスとほのぼのとコミカルのバランスがとてもおもしろい新感覚SF葉桜。

（全５話／約11,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896940923

☆九乃カナさん作（２作目／ホラー／アンデッド）

　ツッコミどころ満載なアンデッド葉桜。桜子は穴掘って埋まろうとするし、悩みも悩みなら、解決法も解決法。ホラーでアンデッドでコメディな、不老不死学園オルタナティブ・バージョン。

（全５話／約8,500文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896265760

【無茶ぶり葉桜】

☆ふづき詩織さん作（２作目／コメディ／ペンギン）

　無茶ぶりにも全身全霊でこたえるふづきさんの心意気に本気で感動しました。追加レギュレーションはペンギン。それを、しっかり読ませる、ほのぼのコミカルなハートウォーミングストーリーに仕上げられたその手腕。筆力が高いからこそ成立した物語。全力で拍手をおくりたいです。ぜひともルビのすみずみまで注目してお読みください。

（全１話／約8,500文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896068760

☆夏緒さん作（恋愛／BL）

　こちらの追加レギュレーションはガチエロBL。筆致企画初参戦にして無茶ぶりに真っ向勝負という、これまた素晴らしき強者です。ガチとかわいいのバランス感が絶妙で、BL初心者の方でもたぶん大丈夫なんじゃないかなぁと思います。ちなみに、あちらこちらで楽しいやりとりが見られるコメント欄にも注目です。

（全５話+あとがき／約14,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896572971

【しっとり葉桜】

☆wazzwallasisさん作（現代ドラマ／幽霊）

　サスペンスとミステリーとちょっぴりの不思議。切なくてあたたかい、心にしっとり染み入る物語。美しい描写が胸に迫ります。

（全８話／約16,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895401812

☆宇部松清さん作（現代ドラマ／紫陽花）

　忘れられないかつての恋。紫陽花の季節に読みたくなる、しっとり大人の葉桜。一歩間違えばずっしり重い泥沼になりそうなテーマを、さらりとあたたかな余韻を残す、読後感のいいお話に仕上げられています。

（全７話／約11,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896140355

【忍び寄る葉桜】

☆竹神チエさん作（ホラー／夢）

　奇妙な夢を見るという弟。繰り返し話を聞くうちに、姉はあることを思い出したのだけど――。しゃんしゃんと鳴る鈴の音とともに、ジワジワとゾワゾワと、なにかが忍び寄ってきます。怖いのが苦手な方はご注意を。

（全３話／約7,500文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896313220

【すかっと葉桜】

☆chauchauさん作（現代ドラマ／青春）

　文字数を感じさせないくらいの圧倒的な勢いとノリに巻きこまれ、気がつけばラストにたどり着いている。そんな印象です。桜子が抱える深刻な悩みも、乗り越えるというより、なぎ倒すような（ほめてます）読後感もすっきり気持ちいい物語。

（全17話／約22,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895827547

【ほっこり葉桜】

☆無月弟さん作（２作目／現代ファンタジー／妖狐）

　狐娘な桜子ちゃんのおバカなかわいさが尋常ではありません。ストーリーこそプロットにストレートですが、葉太先生の落ちつきぶりとあいまって、妙にほっこり癒やされます。

（全６話／約20,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896927232

【純文葉桜】

☆ゆあんさん作（現代ドラマ／作家）

　こちらの葉太と桜子の考えかたや関係性は、読む人の経験や主義によって見えかたが変わるかもしれません。彼らにとっての『正解』に眉をひそめる人もいるかもしれないし、創作にたずさわっている人なら自然と『自分だったら』と考えてしまうかもしれない。『桜は、いったいいつから、葉桜になるのでしょう』というキャッチコピーがこの物語のすべてをあらわしているような気がします。

（全15話／約28,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896125527

　そんな感じで、今回は10作に企画者枠をプラスしまして、計11作ご紹介しました。

　ちなみに葉桜他薦の前編はこちら。やはり10作ピックアップしてます。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893420850/episodes/1177354054896161333

　そして企画ページはこちら。60作以上ありますのでね。どなたさまも、お好みの葉桜がきっとみつかるのではないかと思います。

https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054895319694

　でもって、企画特集最後なので。しれっと自作リンクもはっておわりたいと思います。

❀１作目はお題にストレートな養女葉桜。テーマは価値観のちがいと歩み寄り。

（全５話／約16,000文字）

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895321398

✿２作目は夜桜ラブストーリーな絵手紙葉桜。大人桜子視点です。