第3話初めての自殺(完遂せず)
初めて自殺をしてみた時は、ほぼ勢いでしかなかった。
常に強迫観念に支配され、不安といくら確認しても納得できない怒りによる興奮状態で「何のために生きてるの?!」「死にたい!」を外出中ですら口に出すようになっていた頃だった。
ほぼ正気を失っていたと言える数年の間は何がいつにあったのかという時系列がぼんやりとしている。だからこの出来事は、何時の事だったか思い出せない。けれど完遂することを目的としたわけではなく、ヤケになっただけで、死ななくてもいいけど死ぬなら死ねばいいくらいの気持ちだったと、それは覚えてる。
いつも通りの日常、床と壁の拭き掃除にうんざりし、泣きわめいていた時によし、もう死のうと言う気持ちになった。
ゴミ屋敷状態の部屋、その辺にあるものを触ったら埃が舞い、汚染物質が"聖域"の布団に付いてしまうかもしれない。そしてまたいちから床と壁の拭き掃除と着替えとシャワーと洗濯。
死のうとしているはずなのに、その後にしなければいけない事が私を苛つかせる。乾燥機からバスタオルを出したと思う。もしかしたら"聖域"の布団の上にあったやつだったかもしれない。錯乱状態とも言えたのでここはすこし記憶が曖昧だ。
マフラーのように自分の首にぐるりと巻いてみた。怒りに任せ、「死ね! 死ね!」と叫びながら両端を引っ張るけれど、タオルに長さがないために何度やっても手が滑って外れてしまう。
「なんで死ねねーんだよお!!」と叫んで、髪をむしり、太ももの辺りを殴り、身体中に爪を立ててを引っ掻く。
死ねたらいいくらいだった気持ちは、この時には「死ぬことすらまともに出来ないのか」と言う悔しさと自らへの怒りになって、普段よりも激しい自傷行為になっていった。
病気の悪化に伴い家庭は崩壊し、それでも離婚時はまだまともと言えるレベルであった私が一人息子を育てていたけれど、この頃にはもう完全不登校にさせていた。
登校中に事故に合うかもしれない、学校で階段から落ちてしまうかもしれない、体育の授業中に怪我をするかもしれない。
小学生三年生まではお昼頃に学校へ送り、放課後は校門まで迎えに行っていたが、それでもいつか死んでしまうかもしれないとの強迫観念が肥大していき、外へ出すことができなくなっていた。
毎日奇声を上げて泣き叫び暴れる母親と1kの部屋に引きこもる小学生の息子。
私の自傷行為に慣れているはずの息子が泣いていた。泣いて「殴るなら僕を殴って」と、ここから出てはいけないとルールにしていた布団の上で「よっしーが痛いのは嫌だから、僕を殴って」と泣いていた。
拭き掃除をしている途中でシャワーも浴びてない汚いわたしは、聖域には入れない。泣いている息子を汚してしまうので、ごめんねそんなこと言わないでと抱き締めてあげることも出来ない。
近寄ることすら出来ず、しばらく一緒に泣いて、そのあと私はどうしたか覚えていない。
強迫症(強迫性障害)でたまに死にたくなるけどなんとか今日も生きてます @44no
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