1.3 憧れの人との出逢い

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 帝は桐壺帝と称されるようになったの。愛した桐壺の更衣の住まいである桐壺に籠りきりだったかららしいわ。お妃の方々は亡くなってもなお帝の心をつかんだままでいる桐壺の更衣にまだ腹を立てていたわね。


 この頃のお妃たちは与えられた住まいの名前で呼ばれることが一般的だったみたい。桐壺も弘徽殿もそういった部屋の名前ね。更衣、女御というのは帝のお妃の階級ね。更衣よりも女御の方が上の身分で、さらにその上には中宮(皇后)があるの。現時点では桐壺帝の中宮の座は空席。更衣も女御も複数いるけれど、中宮はひとりだけしかなれない。だからみんなが狙っているのよ、中宮の座を。


 帝は愛する桐壺が産んだ若君の行末を案じて、有識者に相談したり、占いや人相なども見てもらったりしたらしいの。

「帝位につく人相をお持ちですが、そうすると国が乱れこの人の幸福ともなりません。また帝を補佐する重臣とも違うようです」

 そんな風に言われたみたいなの。お母さん桐壺の更衣が亡くなっているから、母親や母親の実家の援助も期待できない状態で他の皇子たちと争ったり、政争に利用されたりしないようにと、若君に源氏の姓を与えて皇族から臣籍(貴族)に下ろしたの。東宮とうぐう(皇太子)には弘徽殿女御の皇子を選んだの。


 源氏の君はとても賢くて勉強もよくできて、おまけに音楽などの芸術の才能もあったのよ。それから誰が見ても美しい容姿だったのね。女の子よりも美しかったって言われているほど。だからあれほど桐壺の更衣をいじめていた他のお妃たちも源氏の君のことはさほど憎めなかったみたい。それどころか宮中の可愛いアイドルだったみたいよ。



 桐壺の更衣が亡くなられてもう何年も経つのだけれど、彼女を忘れられない桐壺帝は皇族の中に桐壺の更衣によく似ている女性がいると噂を聞きお妃に迎えたの。この方が藤壺ふじつぼの宮さま。藤壺ふじつぼ女御にょうごと呼ばれることになるの。確かに桐壺の更衣に似ていて他のお妃の方々はムカついたんだけれど、桐壺の更衣と違って身分の高い内親王さま(先帝の娘)だったので、いやがらせとかしなかったみたい。


 桐壺帝は源氏の君を連れてよく宮さまの住まいの藤壺へと通われたから、自然と源氏の君と藤壺の宮も親しくなったの。年頃の男女であればたとえ親兄弟でも娘や姉妹とは顔を合わせないこの頃の習慣だったのに、源氏の君がまだ子供だからと特例で女性の部屋へと連れていっていたらしいのね。源氏の君にしてみれば、幼くしてお母さまを亡くし、そのお母さまによく似ているという噂の美しいお姉さまに好感を抱いてしまうのも当然のなりゆきよね。藤壺の宮さまは源氏の君より5歳年上だったんですって。桐壺帝と藤壺の女御は歳の差婚ってことになるのかな。

 



To be continued ✈✈✈


◇お母さんを亡くした源氏はお父さんの帝の側で育ちます。そしてお父さんが新しく迎えた藤壺女御さまと出会いました。憧れの人との出逢いです。本来なら高貴な身分の女性の姿や顔を見ることはできないのですが(家族でも異性同士は直接会いません)、源氏がまだ幼いので対面したようですね。


「え、異性同士の家族は会わないの?」

 そうなの。お父さんと娘、お母さんと息子、兄弟と姉妹も顔を合わさないの。現代では考えられないわよね。


NEXT↓

1.4 源氏の元服&最初の結婚



☆こまちのおしゃべり

【別冊】源氏物語のご案内

 源氏もののエッセイなんだよ。

 源氏物語や源氏くんへのツッコミや源氏の時代の家族形態や衣食住のことなど平安トリビアなんかも載ってるの。よかったら覗いてみてね。


『【別冊】源氏物語 ~俺はいつでも本気だぜ?~』

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☆源氏の世界 ①家族構成

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☆源氏の世界 ②恋の仕方

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☆源氏の世界 ③通い婚

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 結婚も恋愛も今とは全然違うんだね~!!








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