8.3 探し出した彼女

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 女の子のお父さんの右大臣が自宅で藤の花の宴会を開いたの。右大臣としては好きでもない源氏を本当は招待なんかしたくないの。でも悔しいけれど源氏をゲストとして呼べばパーティーの格も上がるのでしぶしぶ招くのね。オシャレな春のコーディネートでやってきた源氏の美しさに桜の花の魅力が半減するほどなんですって。


 宴会の途中で源氏は酔ったふりをして抜け出して、娘たちのいるであろう部屋のあたりをうろつくの。

「結構飲まされちゃってさ、誰かかくまってくれない?」

「俺、扇子をなくしちゃって。誰か俺の扇子知らない?」

 知らないわよねぇとざわついている几帳きちょう(間仕切りのカーテン)の向こう側でひとり反応リアクションのない子がいたの。源氏はその子の手を握って和歌を詠んで試してみるの。


~ あづさ弓 いるさの山に まどふかな ほの見し月の 影や見ゆると ~

(この前見かけた子を探してるんだけどさ、そのコにまた会えると思う?)


 すると几帳の向こうからこんな和歌が返ってくるの。


~ 心いる かたなりませば 弓張ゆみはりの 月なき空に 迷はましやは ~

(本当に好きなら迷ったりする?)


 あのときの子の声だったのね。こうして源氏はこの前の子を探し出したの。



第八帖 花宴


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ あづさ弓 いるさの山に まどふかな ほの見し月の 影や見ゆると ~

源氏宰相中将が見つけ出した彼女に贈った歌


~ 心いる かたなりませば 弓張ゆみはりの 月なき空に 迷はましやは ~

彼女が源氏宰相中将に返した歌




◇第八帖花宴でした。

episode8 似たもの同士のふたり?   花宴

8.1 朧月夜の出会い

8.2 あの子は誰?

8.3 探し出した彼女


 この女の子が朧月夜の君です。最初に出逢った夜も「気になるなら自分で探してみたら?」と源氏を煽ったり、再会した夜も自分を探し出してくれた源氏を拒みません。春宮妃になる予定なのですが、「今をときめく源氏が誘ってくるんだからカレとも付き合ってもいいでしょ」なんて思ったのかもしれません。


「春宮妃になる予定って東宮さまの婚約者ってことでしょ? 源氏くんと付き合ってていいの??」

 よくは……ないでしょうね。

「源氏くんだって春宮妃になる子だったらヤバいって言ってたじゃん。なのに付き合っちゃっていいの??」

 よくは……ないでしょうね。


 心のおもむくままに恋をする平安の源氏。

 モラリストの令和のこまちちゃん。


「いいのかなぁ。ヤバいんじゃないのかなぁ」

 



NEXT↓

episode9 オンナのオンネン   葵

9.1 六条御息所とのカンケイ


☆こまちのおしゃべり

【別冊】源氏物語のご案内

朧月夜の君のことを書いているトピックスがあるの。よかったら読んでみてね!


topics3 こっちはいいの?

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054882122170

topics4 朧月夜さまという生き方

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054881868280


ホント。こっちはいいの? ねぇ! 源氏くん!!



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