topics4 朧月夜さまという生き方

 右大臣家の姫として生まれ、東宮妃(皇太子妃)になる婚約中に運命的な出逢いを果たし源氏との恋に落ち、その後ふたりから愛されながら恋に生きた女性。

 朧月夜の君です。物語の中でも一番艶やかで華やかな印象を与える女性だとワタシは思っています。



 普段は上品なお味の京懐石のような朱雀帝との恋。誰からも認められた恋愛。優しい夫。大事にされている、愛されている喜びを味わう。


 そしてときおり、メキシコのハラペーニョや四川の山椒のような源氏が通ってくる。刺激的な密会。

 朧げな月が照らす夜の密会デート。誰にも知られてはいけないというスパイスがよりふたりを盛り上げる。秘密の関係という事実シチュエーションに刺激されるふたり。


 でも家に帰れば

「やっぱりこれね」

 と白味噌のお味噌汁をすするカノジョ。


 ハラペーニョ源氏はもちろんカノジョに夫がいるのを知っている。というか夫は自分の兄ちゃんで会社の上司。

 京懐石兄ちゃんも嫁の元カレがモテモテイケメンの弟だって知っている。おまけに今もカンケイが続いているって知っている。


 オットもカレもそれぞれ公認? でミョーな三角関係で続いているなら? 

 ……朧月夜サン、あなたの生き方理想かもしれません。

 オットにはいつだって優しく愛されたい。

 たまに逢うカレとは刺激的な夜を過ごす。


 とはいってもね、オットのママであり朧月夜サンのおねーさんの弘徽殿女御とそのおとーさんにバレてえらいことになるんだけどね。


 その後何年かは源氏とは離れざるをえなくなるけれど、その後復活。源氏との恋人関係はトータルで20数年間続いたんですって。そして自分が出家することで自分からその恋をスッパリと終わらせる。


 叶うのなら聞いてみたい。


 朧月夜サン、あなた幸せだったでしょ。

 生きごたえのある人生だったでしょって。


 源氏物語に登場する女性って幸せになれていないと思うんです。愛する人に裏切られたり、想いが報われなかったり……。みんな泣いている。


 朧月夜サンもこの密会事件が大騒ぎになり、辛い涙も流します。それを優しい帝は責めなかったけれど、世間からバッシングを受け、後宮では針のむしろの心境でしょうけれど、やっぱりこの方の生き方は物語の女性の中でも颯爽としていることナンバーワンじゃないかなぁと思うのです。男性の思惑に流されることなく自分らしく生ききった。女性が自分の意思で生きるのが難しいあの時代。かっこいいなぁと思えるのは 「あさきゆめみし 」 に感化されすぎかしら?



☆【超訳】源氏物語のご案内

関連するエピソードはこちら。よかったらご覧になってくださいね。


episode8 似た者同士のふたり? 花宴

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881684388/episodes/1177354054882122167

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