末期戦のような病みつきになる悲壮感からの最後の希望が美しい......

 時間のある時に一気読みがおすすめです。

 久々に心が動かされる小説を読んで心が潤った気分です。

 盛り上がりにかけて、主人公を次々と悲劇が襲う展開はまさに末期戦のような切なさと深い人間の愛を感じました。人間の想いの力が描かれていてとてもよかったです。これが愛。素晴らしいですね。

 ただ、悲壮感と魂を燃やす最後の輝きのような切ない愛のみで終わっては、ただのバットエンド。人間の美しさを味わいながらも、どこか、もやもやしたものを残して終わってしまっていたでしょう。

 しかし、この物語は絶望から一転、ハッピーエンドへと疾走します。絶望があるからこそ希望は輝く。まさにこの言葉がふさわしいでしょう。

 アフターケアもばっちりでこれにはハピエン厨もにっこり。おかげで言葉通り一人の人生を辿ったような爽快な読了感を味わえてよかったです。

 ちなみに、ヤンデレ狂気好きとしては、途中の彼女の狂い具合もとても刺さりましたね。彼女によって作り変えられた人間のような何か、大好物なんですよね。人間の狂気が人間を冒涜する。とても人間らしい。

 数時間の読書でしたが、濃密な時間を過ごせた気分になれました。
 光陰矢の如しとは言いますが、本当にかけがえのない高密度の体験をしたときはむしろ、時間が伸びたような感覚に陥るような気がします。

 作者さん、素敵な物語をありがとうございました。