ニートだった俺がゲームの世界で女の子を助けて、幸せになった話。

池中 織奈

ニートだった俺がゲームの世界で女の子を助けて、幸せになった話。

 俺は真田光毅(さなだみつき)。

 二十四歳で、現在就職もしておらずニートである。高校生の頃に虐めを受けて、俺は外に出れなくなってしまった。きっかけなんて些細なものだった。だけれども、俺にとっては引きこもるのに十分な理由だった。


 そして俺は親の金で、生活をしている。親は共働きで仕事に熱中している。そして俺には興味がない。ニートをしたいのならば勝手にニートをやっていろとそんな風に言われた。で、俺の世話は両親が雇った家政婦さんがしてくれている。

 両親が生きている間は、俺は生きていけるだろうけれど……両親が居なくなったら俺は死ぬだろう。金を稼ぐ術もないし。


 ……このままでいいのだろうか、という気持ちはあるけれど外に出ることもためらっている俺はなんだかんだでゲームをしてニート生活をしてしまっている。やりたいと思っても行動を起こさないから駄目なのだろう。





 今、やっているゲームはVRMMOもので、ファンタジー世界のゲームだ。メインシナリオは、人族たちのNPCと協力し合って、魔王を倒して行けっていうやつ。俺は親の金でそれを買って、プレイを始めた時にもちろん魔王を倒そうと思った。

 ニートな俺でも時間だけはあるのだから、ゲームに集中し、トッププレイヤーになれば自分の中で何かが変わるのではないかと期待したからでもある。

 ……行動することが中々出来ない俺の頑張ろうと思う先がゲームであるというのも、多分両親に言ったら鼻で笑われることだろう。



 だけど、俺は……、それでも何かを頑張ったという証が欲しかった。自信が欲しかった。



 そして始めたゲーム。

 俺は、メインシナリオを頑張ろうと思った。




 けど、

「助けて」

 開始して数日でその声を聞いた。



 誰かが助けてほしいと嘆く声。可愛い女性の声。俺はその声が妙に気になった。ネットの掲示板を確認すると、何人もその声を聞いていたらしい。

 そしてその声は、運営に問い合わせた所バグだと言われたのだという。助けて助けてという声が聞こえ続けるというバグ。

 変わり者のプレイヤーがその声を探りもしたらしいが、何も分からなかったのだという。

 運営がバグだと言っているのもあって、それはもうそういうものだとプレイヤーにスルーされたそうだ。



 俺も正直言って、最初は他のプレイヤーたちと同じようにそういうものだと割り切ろうと思っていた。けれど……、何度も何度も聞いたその声が、あまりにも必死だったんだ。

 周りは「また言っているよ」「バグをどうにかしてほしいよなー」と言っていたのだが、俺はそんな風に笑えなかった。

 あまりにも必死なその声に、その声の主を助けたい、と思ってしまった。



「あの子を助けたい。バグだったとしても、何もなかったとしても助けたいんだ」


 そんな風に言った俺の言葉を、周りのプレイヤーたちは笑った。NPCでさえもあれはただ聞こえる声だと認識しているらしく、笑った。

 一緒に冒険をしようと仲良くなったプレイヤーにもそんな風に笑われた。馬鹿らしいって。掲示板にも馬鹿な奴がいるって笑われてた。



 けど、例え、バグでも助けたいと思った。

 ……自信が欲しいと、だからメインシナリオで頑張りたいと思っていた俺だけど、やっぱりその声の主を助けたかった。幾ら馬鹿だと言われても、そう思ってしまって俺はずっと初期の街にいることになった。








 *




 ゲームを初めて早二カ月。あの声の主を助けるという目標はまだ叶えられていない。声の主がどこにいるのか探索したものの、近づいたかと思えば声が離れて行ったりする。しかもその声の主は、ずっと声をあげ続けているわけではない。

 それに、同じ時間に声が聞こえているわけではない。本当にこの声はバグなのだろうか?


 俺はそんなことを考えている。

 VRMMOのゲームの世界に入っていない間も、俺はずっとあの声の事を考えていた。




 水を飲みながら、テレビをつける。

 そのテレビでは、色んなニュースが放送されていた。

 例えば天才小学生が現れたとか、ネットの普及で行方不明者が増えているとか、財閥の一人娘が目が覚まさないとか、玉突き事故が起きたとか、色んなニュースだ。


 そのニュースにへぇ、と思いながらも俺はただあの声の主の事を考えるのだった。





 *




 VRMMOの世界で俺はまたあの声の主の場所を探っている。場所は初心者の森の周辺。声が聞こえている時と、聞こえていない時がある。

 そのことも踏まえて検証をしている。メインストーリーはもうどんどん進んでいるというのに俺はただ一人此処で過ごしている。



 最初の街のNPCの人たちには「変わり者だね」とか「変な人間だね」なんて言われている。

 あの声の主を助けるために必要かもしれないと思って、スキルを磨くこともしている。

 最初の街だからこそ、敵がすぐに倒せるようになってきた。



 自分のレベルやスキルは徐々に上がらなくなっていった。

 だけれど――、俺はそれでもこの場所から去ろうとは思わなかった。




「助けて」



 その声はずっと今も聞こえ続けているから。




 あまりにも底に残り続ける俺に、運営からメールが来たこともあった。意味がないことをしない方がいいといった文面だった。それでも俺はやめる気がなかった。

 というか、自由にプレイしろというゲームなのだから、別に勝手に調べるぐらい放っておいてほしいと思った。




 そのころからだろうか、俺がある一定の場所に近づくと、なぜか最初の街の周辺なのに強い敵がたまに出るようになった。これもバグなのだろうか? 何度か死に戻りした。


 だけれども、死に戻りを何度もしても、デスペナルティを受けたとしても俺はその声の主を助けたかった。




 ……そんなことをずっとやり続けている俺は、メインストーリーを進めていたプレイヤーたちには徐々に忘れられていった。たまにおもい出されては、馬鹿にされていた。



 自棄になっていたのだと思う。





 その強い敵が現れたということが、まず何かの前兆ではないか、何かに繋がるのではないか。そう俺は希望を見出した。



 しかしそこに現れた敵は強かった。

 何度も何度も死んだ。


 運営に問い合わせれば、バグだと言われて終わりだった。




 こんな場所にこんなに強い存在がいることはおかしかったが、運営もこんな初期の街よりもメインストーリーの方が重要だったのだろう。まぁ、それも当然だろう。


 そこに現れたゴーレムのような魔物は強く、倒すまでに長い時間がかかった。

 しかもそのゴーレムを倒した後に、見つけた地下の洞穴を進んでいけばもっと強い魔物が現れた。


 どうなっているんだ。まるでこの先に何かがあるみたいだと思った。




 あの、「助けて」という女性の声は、まだまだ続いている。

 いや、奥に進めば進むほど、その嘆き越えが大きくなるように感じた。




 俺は何度も何度も、数えきれないほど死に戻りした。レベルやスキルが洞穴を進んでいく中で、上がってきた。……俺は初期の街にいるのに、死に戻りランキング

がプレイヤーの中で一位だった。

 最近公開されたのだ。本当にそれで掲示板がまた「馬鹿じゃねぇの」といった言葉であふれていて胸が痛んだ。




 運営も、バグに必死になるなんてという。

 プレイヤーも、バグに必死になって馬鹿らしいという。



 けど、俺は助けたかったんだ。誰に馬鹿だと言われても、それをやり遂げたいと思った。意地になっていたんだと思う。






 それから、俺はただその洞穴を進んでいった。





 ――そしてゲームを初めて、二年も経過した。

 その間にレベルもスキルも上がって、色んな戦う術を手に入れた。あの洞穴の中は沢山の罠もあって、毒で死ぬこともあった。強い魔物だけではなくて、あの洞穴は色んなものがあった。

 何が何でも推し進めることを諦めさせようというのが見えた。っていうか、日数が経てば経つほど難しくなっていた。

 意味が分からない。



 けど、運営もバグだからとしか言わないし、俺のことを馬鹿にしているようだ。誰もあてにならないので、俺はひたすら自分を鍛えて行って、洞穴を進んだ。



 助けて、と言う声は二年も経ったのにまだ聞こえている。バグだというのに、メンテナンスの後もなくならない。何故かなくならないバグらしい。そして、俺以外は誰も気にしてないバグだからと放置されている。



 二年経過して、まだ奥は見えない。



 あきらめろと、魔物の目が言っている気がした。

 けど、俺は諦められなかった。



 それからまた一年が経過した。

 トッププレイヤーたちはメインストーリーをどんどん進めている。アップデートされて広がっていく世界を楽しんでいる。けど、俺はずっと、ここにいる。




 こんなに長い間、「助けて」の声を誰があげているかなんてわからないと思わなかった。でも、此処までやったのだから声の主を知りたいと思った。例え、無駄だったとしても。




 そして――俺はよく分からない男に出会った。



「貴様、この先は何もないぞ。何故進める」



 男は、とても強そうな装備を身に着けていた。顔は見えない。その声は憤怒に満ちているように見えた。訳が分からない。


 その間も声は聞こえている。



「助けて」という声だけではなく、「誰かそこにいるの!?」と驚いた声も聞こえた。それはいままでで一番響いた声だった。



 ……声の主?

 俺がそちらを見れば、閉じられた扉があった。




 何もないと男は言ったが、あの先にきっと声をあげていた主がいるのだろう。俺はそのことを確信した。



 バグだと言われているけど、俺はその声の主を助けたいと思った。



 だから男と向かい合う。




「俺は助けたいんだ」

「全くバグだと言っているというのにー―、ならば、死ぬが良い」



 男はそう言って、俺に向かってきた。

 今まで見てきたどんな敵よりも強かった。




 素早い動きで、俺は対応するのがやっとだ。三年かかってたどり着いたこの場所。ここで負けるわけにはいかないと、俺はただ使えるものは何でも使った。



 その辺にあったものを投げたり、自分の手持ちになったあらゆるものを使った。相手が予想しないような使い方をした。このゲームが自由性が高くて良かった。



 だからこそ、俺はなんとか戦えている。それに、此処に来るまでの間、ずっと戦ってきたから、それが今の戦いに生かされている。




 ――それにしてもここが何なのか、この男が何なのか分からない。本当にここまで来て欲しくないのならば、もっとどうにでも出来たのではないか。この男が最初の頃に出てきたら俺はなすすべもなかった。だというのに、出てこなかったのは何か理由があるのだろうか。




 一瞬考えたその思想は、徐々に考える余裕もなくなっていった。





 剣や魔法が飛んでくる。俺はなんとかそれを対処する。男が怒り狂っているのが分かる。だけど、あくまでシステムの範囲内での動きだ。……チート的な動きは出来ない制限でもあるのかもしれない。




 そしてその戦いは、ゲームの中で三日三晩続いた。



 あきらめずにただ俺が向かっていくのに対し、男は徐々に疲労を浮かべていた。集中力が切れたのだろうか。



「はぁ、はぁ……」



 俺は息を荒くしながらも、なんとか、男を倒す事が出来た。男は忌々しそうに俺を見て、「くそが……何故、こんな……」と何かを言いかけて、消えていった。




 俺は今にもログアウトしたかった。けど……あの声の主が「大丈夫ですか!?」「ここにいるんですか!?」と必死に俺に声をかけてくれている。



 やっぱりこの声がバグだなんて思えない。




 俺はなんとか、その扉を開けようとする。けど、その扉は普通には空けられない。




「……なんとか、開けるから」



 俺はそう声をかけて、あたりを見渡す。

 すると、鍵があった。



 先ほどの男が消えていった場所に小さな鍵が落ちてた。さっきは気づかなかったけれど、これが此処の鍵だろうか。この男はずっとこの鍵を持っていたのだろうか。



 俺はその鍵を手にとり、扉をあけた。






 そこにいたのは、美しい少女だった。

 外国の血が混じっているような金色の髪。そして黒い瞳を持つ少女。その子は、透明な箱の中に入れられていた。その箱もまた開けるのにもパズルゲームのようなものがあった。それを解く事によって、箱があくらしい。



 泣き出しそうな、だけど嬉しそうな顔を俺に向ける少女。感涙極まったように、泣き出した少女。

 彼女が誰なのか、分からない。

 分からないけど、俺はとりあえずその箱から彼女を出すことにした。



 そしてなんとかその箱を開ければ、彼女は「ありがとう……ありがとう」と言って俺に抱き着いた。



 女の子にゲームの世界とはいえ、抱き着かれたのは初めてで俺は訳が分からない。混乱している俺の前で、「ありがとう……必ずお礼はするわ。またね」と言って、少女は消えていってしまった。




 ……俺はそれを見届けて、何が何だか分からないままにログアウトして寝た。






 *



「緊急……メンテナンス?」


 目が覚めた時、緊急メンテナンスがされていた。タイミングが謎だった。

 俺がやったことに関係するのだろうか。でもあれはバグだと言われているものだしな……。そう思いながら、部屋の前に置かれている食事を食べた。



 ……ずっとログインしたままだったので、家政婦さんは俺の部屋を覗いたらしい。

 食事と共に「ゲームもほどほどに」と書かれていたメモもあった。




 メンテナンスは、長く続くらしい。

 その二日後もまだメンテナンスをしていた。



 このゲームを初めて三年、こんなに長い期間メンテナンスが行われるのは初めてで前代未聞の事態に俺は驚いていた。




 そんな中で、ピンポーンと家のチャイムがなる。

 何か荷物だろうか。それ以外には来ないからな。家政婦さんも鍵を持っているし。


 そんなことを思いながら、家政婦さんが玄関を開ける音が聞こえた。そして――、それと同時に「え」と驚く声が聞こえた。


 荷物じゃないのだろうか? ゲームが出来ずに暇している俺は驚く。



 そうしていると、バタバタと音が聞こえる。

 そして、驚く事にガチャと俺の部屋が開けられた。



 誰かが此処に来るとは思わなかった。けどその驚きよりも、そのやってきた人に俺は驚いた。



「え」

「貴方が、私を助けてくれた人ね」



 ふふっと笑う少女は、俺がゲームの中で助けた少女と似ていた。髪の色とかは違うけど、それ以外はそのままだ。黒髪黒目の綺麗な少女。


 後ろにSPのような存在が控えていて、俺はそれにビビる。




「えっと……?」

「会えてうれしいわ!!」



 笑みを浮かべた少女は、驚きに戸惑う俺に抱き着いてきた。って、柔らか。胸があたってる!! どういう状況か全く分からない。


 そんな俺は少女に連れていかれた。



 その先は巨大な豪邸。いや、マジ、俺どうなんの。こんな外に出たのも久しぶりなのにと怯える俺に少女は「大丈夫よ、あ、私は宝院堂御影(ほういんどうみかげ)。よろしくね。名前聞いてもいい?」と安心させるように笑いかける。

 というか、何で俺は高級車の中で少女と隣り合ってるんですかね!? 意味が分からないよ。俺は混乱中だよ!



 俺が名前を言えば「光毅ね。これからよろしく」とにこにこと笑われた。



 ……意味不明。って思っていた俺。



 で、豪邸でなんか煌びやかな明らかな金持ちたちなご夫妻に感謝される。どうやら御影(呼び捨てにしろと言われた)の親らしい。

 何で感謝されるか分からない。そんな俺に彼らは説明をする。



「あのね。光毅。私三年間意識失ってたの」

「え」

「それで、俺の可愛い娘は意識をVRMMOの世界に捕らえられていた。御影に懸想していた開発部の男がそれを行ったらしい。俺はそれに気づくことはなかった。何で目が覚めないのかずっと探っていたが分からなかったんだ」

「え」

「そうなのよ。それでゲームの中でバグと言われていた声は、とらえられていた御影の声なの。探されないためにあえて運営中のゲームの中に隠したらしいの……。そして開発の責任者だというのもあって、バグだと言い張ればそれが黙認された。元が真面目な男だったらしくて、彼が責任を持つと言ったらそれを信じたようなのです」

「え」



 ……次々に言われる言葉に、正直言って頭が追い付かない。



 っていうか、あの戦った男が御影に懸想してそういうことを起こしたらしい。開発部の技術で彼女の意識を閉じ込めたらしい。そんなこと可能なのだろうか? と思うが、実際にそうだったのだろう。

 そしてバグと言い張り、誰の目にも止まらないようにしていたらしい。


「ゲームの世界に入れたものの、ゲーム上のバグで声が聞こえるようになっていたらしいの。なのでそれ自体をバグと言い張った。誰の注目もないうちに別の場所に映そうと考えていたらしいわ。……でも光毅がいた。光毅がずっとあの側にいるから、ずっと声を気にしているからあの男も私のことを他の場所にうつせなかったらしいわ。それでそのまま三年経った」

「あの男は御影の心を折ろうとしていたらしい。ずっと誰も助けにこないと心を折って、そのまま手中に納めたかったらしい。だが、君が諦めずに迫るからなんとか追い返そうと不自然に魔物を増やす調整を行ったりしていたらしい。最も他の開発部に知られないようにだが」

「それでなんとか追い返そうとしていたのに、光毅君がずっとあきらめないでいてくれた。だから御影は助かった。助けられる事が出来たの。だから、感謝しているの」


 御影、その父親、その母親に続けて言われる。俺は混乱している。

 バグだと言われ、馬鹿にされ続けていた行動。


 だけど、俺がただ意地になって助けようとし続けた。



 それが、誰かを助けることに繋がった?

 その事実が信じられなかった。



 夢ではないかと思った。



 けど、「本当にありがとう!!」とまた抱き着かれた。

 っていうか、御影抱き着きすぎじゃないか。両親の前で、意味が分からない。混乱しっぱなしの俺はそのまま、その豪邸に泊ることになった。



 そのあとがまた予想外だった。




 御影は、宝院堂財閥の一人娘らしい。っていうか、前に見たニュース、御影か。

 それで目が覚めた御影は俺に大変感謝をしているらしい……。俺がニートだとしっても「それだけ時間があったから私を助けられたのね」とにこにこしていた。しかも仕事斡旋してくれた。

 俺より年下なのに、凄い甘やかしてくるし、優しい。



 御影のことはニュースで放送され、VRMMOの危険性についても専門家に語られていた。馬鹿にされ続けていた俺だが、恥ずかしいが、勇者のような扱いでネットで騒がれている。

 長いメンテナンスの後、宝院堂財閥主導の元、ゲームは再開された。御影と一緒にログインすれば、多くの人に囲まれたものである。



 それから御影という俺を慕ってくれる女の子と、俺への感謝からバックアップをしてくれる御影の両親。そんな味方がいてくれたから、俺は頑張ろうと思った。



 あのゲームで諦めずに続けてきたことが、御影を助けられたことが俺にとっての自信につながった。



 だから俺は必死に働いた。そしたら結果がついてきた。




 ――そして御影を助けた数年後、俺は驚く事に御影と結婚することになった。




「……俺こんなに幸せでいいのかな」

「いいに決まってるじゃない! 私は光毅が大好きだもの」




 不安になる俺に、御影はそう言って笑ってくれた。




 ニートだった俺がゲームの世界で女の子を助けて、幸せになった。そんな話、きっと誰も信じないだろう。けど、これは現実に会った話だ。







 

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