INTERACTIVE CHAIN WORLD〜インタラクティブ チェイン ワールド〜
レイフロ
『INTERACTIVE CHAIN WORLD~インタラクティブ チェイン ワールド~』
【ジャンル:和風バトルファンタジー】
【所要時間:40分程度】
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使用する際は必ず説明欄や詳細文などに
『作品タイトル・台本URL・作者名』の明記をお願い致します。
※各作品の著作権は放棄しておりません。
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【あらすじ】
平安時代。陰陽師の家系である
だが、新しく当主となったのは大昶家の次男、良充。
兄の良哉は恨みから闇に堕ち、力では敵わない良充に復讐するため、悪鬼に魂を売り渡し、
時空を超えて平和な現代に生きる大昶家の遠い子孫を殺そうとする。
それを阻止すべく、未来に送りこまれたのが、良充の弟子である和皐だった。
【人物紹介】
和皐(カズサ) ♀
陰陽師の家系である大昶家に代々使える者。
良充の弟子で、まだ若く修行の身。
大昶 良充(オオアキラ ヨシミツ) ♂
陰陽師の家系・大昶家の次男でありながら現当主となった。
兄は良哉。穏やかでとても優しく、人望に厚い。
大昶 良哉(オオアキラ ヨシナリ) ♂
良充の兄。大昶家の当主となれず、
恨みから悪鬼によって闇に堕ちてしまう。
※「男」も兼役でお願いします。
大地(ダイチ) ♂
大昶家の遠い末裔。陰陽師の家系だということもよく分かっておらず
平和な現代を生きている。真っ直ぐで負けん気が強い。
莉子(リコ) ♀
大地とは同級生で、隣の家に住む幼馴染。
活発でボーイッシュだが、顔は割と可愛い。
※「姐」も兼役でお願いします。
【演じる上での注意点】
・莉子役以外の上記主要キャラには、詠唱があります(良充は少しだけ)。
バトルシーンだけでも軽く目を通してから演じられることをお勧めします。
・場面が、現在と過去のシーンがだいぶ行き来しますので、
『場転』のところは、きちんと間を取ってください。
↓生声劇等でご使用の際の張り付け用
――――――――
INTERACTIVE CHAIN WORLD
作:レイフロ
https://reifuro12daihon.amebaownd.com/posts/7982355
和皐:
良充:
良哉&男:
大地:
莉子&姐:
――――――――
以下、台本です。
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大地N:
あぁ、俺は死ぬんだ…。
蛇行しながら自分に突っ込んでくる車がスローモーションで見えた。
和皐:
こらぁ!ぼーっとしてないで早く避けてー!
大地:
はは、ついに幻覚まで見える!女の子が俺の目の前に浮いてる…あはは
和皐:
大地:
いだっ!…え?なんで女の子がっ!?
てゆーか車がスローモーションみたいに遅いっ!
和皐:
お主のために力を使って
大地:
はっ、はいぃ!
大地N:
俺が急いで横断歩道を渡ると、時の流れが戻った車は甲高いブレーキ音を立てながら止まった。
和皐:
…
我らの時代から数百年後は、技術が発達し便利にはなっているが、
それ故に
大地:
君は、一体…
和皐:
あぁ、すまない!私は
お主の名は?
大地:
俺は大地。
和皐:
そうか、やはりお主が
大地:
ヨシミツって誰?!
和皐:
とにかくお主の家に連れて行ってはくれないか?
来て早々、力を使ったせいで眠い…ふあぁ。
大地N:
こうして俺は、不思議な少女・
《場転》
良充:
和皐:
ふあっ!?寝てません!寝てませんよっ?!
良充:
ふふ、思いっきり寝ておったぞ。口元にヨダレの跡がある。
和皐:(慌てて拭う)
ちっ、違います!
良充:
寝ておったな?
和皐:
うっ…。はい…。
良充:
顔を洗って来い。お前に使命を与えよう。
和皐:
使命?そんな…
良充:
出来損ない、と誰が決めた?
和皐:
皆がそう言って…
あっ!
良充:
おっと…!小さな花だ…
危なく踏むところであったな。
和皐:
はい、良かっ、た……あああああああ!!!
良充:
どうした?そんな
和皐:
この花を避けたせいで、
姐:
…っ!なんということっ!
和皐:
姐:
お前には屋敷の裏の警備を任せたというのに、その任もまともにこなさないどころか
和皐:
ご、ごめんなさい…わざとでは…
姐:
この出来損ないにはあとでキツク言い含めますので!
良充:(囁くように)
―――
姐:
ひっ…!動けな…っ
良充:
足元を見よ。
さっき私が踏まずに済んだ花を、お前が踏もうとしている。
姐:
あ…っ!
良充:
召し物など、着替えれば良い。
和皐:
良充:
お前を“出来損ない”と呼んでいるのはこやつか?
頭には来ぬのか?
和皐:
そんな…!
良充:
ふ…。(優しげに笑う)
―――
姐:
あ…はぁはぁ…動く…
良充:
皆に伝えよ。大広間に至急集まるようにと。
姐:(駆け出す)
は…はいっ…!
良充:
…さぁ、行くぞ。
お前は責任を持って私の着替えの手伝いをせよ。
和皐:
あわわ…は、はいぃ!!
《場転》
莉子:
ねぇ…ほんっとうにこの女の子が助けてくれたの?
大地:
そうだってば!ここに連れてきた途端にソファで寝ちゃったけど…。
莉子:
なんか服もコスプレみたいだね…丈の短い着物みたいな。
大地:
てゆーかそんなことより!
まじでこの子、
莉子:
宙に浮いてたとか…まじで言ってる?
大地:
車がすごい勢いでガーッって来てたのに、いつの間にかのろのろーってなって
俺がフワ~ってなってたら、コラーって!!
莉子:
大地の鼻くそみたいな語彙力じゃわかんないから黙ってて!
大地:
鼻くそ…って、お前も一応女だろ?
なんとかした方がいいのはお前の言葉使い…
莉子:
何よ、人のこと呼びつけておいて!
隣の家だからって気軽に呼ばないでよねー?
大地:
それはどうもすみませんでしたぁ。
お忙しい中お越しくださり、ありがとうございますぅぅぅ
莉子:
ムッカツク…
和皐:
んん…。よ…みつ…さ…
大地:
ん?なんか言ってるぞ?《耳をそばだてる》
和皐:(泣きながら)
大地&和皐:(飛び起きた和皐と頭をぶつける)
いでっ!!
莉子:
ちょっと大丈夫?えっと…
和皐:
イタタ…ふぇ?!
だ、誰だっ!
莉子:
あぁ、えっと、私は
和皐:
莉子:
大地様?!いや、どういう関係って…
幼なじみっていうかただの腐れ縁っていうかただのお隣さんっていうか…!
大地:
どんどん格下げになってないか?
莉子:
だいたいそんなものでしょ?
和皐:
大地様、尻に敷かれておるのだな…。
大地:
敷かれてない!
あと、「様」はやめてくれ。大地でいいよ。
和皐:
大、地…。はっっ!こんなのんびりしている場合ではなかった!
大地!お主には危険が迫っているのだ!
大地:
危険?それならさっき暴走した車から助けてくれたじゃないか。
和皐:
あれは偶然ではない!お前は狙われているんだっ!
莉子:
狙われてるって誰から?
和皐:
それは…
(場転)
良哉:
ははは、見つけた…見つけたぞ!
大地:
は?!何だ?!黒い影が集まって…人、なのか?!
莉子:
ど…どうなってるの?!
和皐:
お止め下さいっ!
良哉:
む…?貴様、
我が現れる時代を予想して先回りしておったか…良充め!!
和皐:
良哉:
五月蝿いッッ!!
(突風が吹き荒れて、和皐、壁に叩きつけられる)
和皐:
ぐはっ…!
莉子:
和皐:
莉子:
…っ何?!なんか、部屋が黒い霧で…
ゲホゲホっ、喉が、痛い…
大地:
莉子:
う、うん…、大地は何ともないの?
大地:
俺?別になんともないけど?
良哉:
この黒い霧に
やはり貴様が
それにしても、我が弟、
ふはは、笑わせてくれる!
大地:
俺のことを言ってるのか?
良哉:
悲しいかな。
和皐:
良哉:
そうかもしれぬ。
和皐:
でしたらっ!
良哉:
だがな、我を止めるために
貴様のような出来損ないの弟子とはどういうことだ?!
どこまでも兄を
和皐:
ぐ…っあ゛…っ!
大地:
やめろっ!その子の首から手を離せっ!
死んじまうだろっ?!!
良哉:
せっかく強大な力を使って数百年後の未来に来たのだ。
軟弱な
大地:
おいっ!離せって言ってんのが聞こえねーのかっ!
和皐:
だい、ち…
大地:
イン?インってなんだよ!
莉子:
ゲホゲホ…大地、印って、
昔あんたのおじいちゃんに教えてもらって、よくやってたやつじゃないの?!
大地:
は?あんなのただの手遊びだろ?!
莉子:
うっ…ゲホゲホっ
大地:
莉子!しっかりしろ!
良哉:
関わり無き者にはこの黒い霧は毒と同じよ。
大地:
なんだって?!
莉子:
く、るし…っ
良哉:
恨むなら
兄を差し置いて全てを奪っていったあやつが!!はははは!
大地:
くそ…!じいちゃんに教わった手遊び…
確か、んーっと…!こうやって、こうやって…こうだッ!!
和皐:(↑「こうだッ!!」と同じくらいのタイミングで)
―――
(SE:バァン←爆発っぽい音)
良哉:
ぐあッ!!なにぃ?!
和皐:
はぁ、はぁ…!よくやった!大地!
大地:
今の何だ?俺がやったのか?
良哉:
…気が変わった。
このまま
莉子:
あ…っいや!なにするのよ!
大地:
良哉:
ここは狭い。我の空間で存分に楽しもうぞ。
追ってくるが良い。
…それまで、この
莉子:
大地っ!…ゲホゲホ、助け…!
大地:
…ちくしょう!消えちまった!
和皐:
落ち着け!
大地:
俺の?さっき印を結んだみたいにか?
和皐:
お主の祖先・
さっき感じたんだ、お主にも内に秘められた力があることを!
大地:
じいちゃんから教わったのはさっきやったあれ一つだぞ?!
そんなんでアイツに勝てるのか?!
和皐:
私にだって大きな力はない…
でも、お主と力を合わせればきっと
お主は
大地:
助けるに決まってる!お前が行かなきゃ俺だけでも行く!
…って、行き方わかんねーけどッ!
和皐:
ふふ、その意気だ!
…
《場転》
姐:
良充:
闇へと堕ちた我が兄、
男:
なぜ
それに
良充:
兄…いや、
私にはどうあっても勝てないと知り、復讐するつもりなのだ…私の遠い子孫に。
姐:
でも、
良充:
いいや。
時代の移り変わりと共にだんだんと消えていくのが正しきことなのだ。
男:
そんなっ!
良充:
私の「
姐:(安堵のため息)
ほう
良充:
だが、『
男:
では、世界は平和になったということですか?
良充:
その時代にはその時代の脅威が何かしら存在するものよ。
だが少なくとも、妖の脅威はほとんど存在せぬようだ。
姐:
であれば、
良充:
そうだ。
…だがそのせいで、平和な時代を生きる我が末裔が殺されてしまうやもしれん。
姐:
だから助っ人をお送りするのであれば、もっと力の強い者を送るべきです!
男:
良充:
私を未来へ送り出せる者がいるとしたら、
それは
姐:
そ、そんな…。
良充:
現実的な話として私が行くとなれば、
和皐:
そんなこと絶対にダメです!!
姐:
まだ自分の力をろくに発揮出来ないだろう?
良充:
だから丁度良いのだ。力の強い者ほど未来へ送ることは難しく、
そこで私が力を使い過ぎれば今度は魂を引き戻せなくなる。
男:
だからと言って力のない者を送っても無意味!
…
和皐:
え…っ?!
良充:
私には、
…異論のある者は?
男&姐:
…っ…。
和皐:
え?え?どういうことですか?
良充:
お主には秘めたる力がある。私の遠い遠い子孫の助けとなってくれ。
そして我が兄、
(場転)
良哉:
…ふ、来たか。貴様も可哀相なことだ。
先祖が不甲斐ないばかりに、とばっちりを受けて死ぬのだからな。
大地:
俺には先祖のことなんてわからない。
でも関係のない
良哉:
こんなもの。ほれ。
莉子:
う…っ
大地:
莉子:
はぁ、はぁ…
和皐:
ここは
あの方を倒してこの空間を消さない限り、
大地、急ぐぞっ!
大地:
わかった…!
莉子:
大、地…気をつけ、て…
和皐:
良哉:
助けるだと?
我が今までどれだけ惨めな思いをしてきたかも知らぬガキが…!
和皐:
兄上に伝えてくれと!
良哉:
父や皆の信頼や、
今さら何を伝えようというのか!
我は
和皐:
取り込まれてしまっているのです!
良哉:
何を言うか!我が
大地:
その力で人々を守るのが使命だったんだろ?
なのにあんたは、弟には敵わないと悟って、
わざわざこの時代に来て、力のない俺を殺して小さな自尊心を充たそうとしてる…
良哉:
黙れ黙れッ!
大地:
和皐:
大地:
そっか…アイツごと倒すしかないんだな…。
和皐:
なんとか動きを止めることが出来れば…!
大地:
俺がなんとかしてやる…!指示をくれ!
和皐:
大地、ありがとう!
良哉:
何をブツブツ相談しておる!
死ぬ準備は出来たのだろうなぁ?!
和皐:
大地、ここは異空間。お主の集中次第で、きっと力を使うことが出来る。
大地:
あぁ。どうすればいい?
和皐:
お主にも
私の声に耳を澄ませ。口から自然と出る言葉を受け入れるのじゃ。
大地:
わかった。
良哉:
滅びよ!忌々しい
『
我が
偽善の者を
和皐:
『
邪悪なる力を
良哉:
負けてなどおらぬ!我は
和皐:
ぐっ!!
…大地っ!頼む、
『
この者の
大地:
(俺が知ってる印はひとつしかないはずなのに…なんだ?手が勝手に動く…)
良哉:
貴様、
―――滅びよッ!!
大地:
『
強固な壁と成りて
良哉:
なにッ?!
莉子:
なに、今の…!大地がやったの…?
和皐:
その調子だ大地!ここはヤツだけに都合のいい空間ではない!
眠った力を引き出せる特別な空間なんだ!
大地:
ってことは!…莉子、じっとしてろよ?
莉子:
ゲホゲホ、…え、何っ?
私に
大地:(小声で)
『護り給たまえ
悪しき霧を弾き
…
莉子:
あっ…嘘みたい、呼吸が楽になった!
大地:
これはお前が今居るところだけだから、そこから動くなよ!
莉子:
うん!
あっ!
和皐:
『我が声よ風になれ
闇をも通り抜けよ!
…
良哉:
何だその術は?弱々しい風がただ通り抜けていっただけとは!
どこまで出来損ないなのだ!
(場転)
和皐:
なぜ
良充:
そう声を荒げるな。かの者の声が掻き消えてしまう…。
和皐:
かの者?
姐:
なんと!精霊ではありませぬか!
聖なる泉はここからはずっと遠いのに何故!
良充:
この精霊は跳ねっ返りでな。
冒険に出るといって泉を離れすぎたために休んでいたのだ。
…小さな花に姿を変えてな。
あの時私が踏みそうになった花は精霊だったのだ。
姐:
なんてこと…私も危うく…
良充:
不思議なことだ、私が気付かぬ程精霊の力は弱っていたのに、
かの者の声が主には聞こえていたのか?
和皐:
なんとなく、ですけど。
姐:
良充:
それに気付き、物怖じせず言葉に出せる力もだ。
姐:
確かに。
普通は言えるものではありません!
和皐:
ひゃああごめんなさい!あの時は
良充:
ははは、それで良いのだ。
誰かを助けようとするのに、相手が偉いかどうかは関係ない。
なぜ自分を選んだのかと問うたな?私も正直に言おう。
皆の前では、「
私は兄を打ち倒したいわけではないのだ。
姐:
ですが、あそこまで悪鬼に蝕まれていたら、もう元には戻らないのでは…?
良充:
あぁ。どう足掻いても私の兄はもう戻ってこない。
だが、最期に人の心を取り戻すことは不可能ではないと思っている。
幼き日の兄が本当の
私に術を教えてくれた、厳しくて、強くて、優しい兄が…。
和皐:
良充:
どうか最期に。私の気持ちを兄に届けてやってはくれないだろうか…。
闇に染まった兄の微かに残る
この通りだ…。
姐:
和皐:
や、やめて下さい
わかりました、上手くいくかはわかりませんが、
自分に出来ることを、精一杯!
良充:
ありがとう。
…ありがとう、
(場転)
和皐:
私に全てを託した
地面に血が
自分がここに来られるものなら来たかったに違いありません!
良哉:
あははは!皆死ねば良いのだッ!!
『我が
大地:
『不動なる
重き力をその身に受け
良哉:
ぐぎぎ…ッ!
こんなモのでッ、
大地:
ぐっ…!!押し、戻される…っ!!
莉子:
大地っ!!
大地:
バカっ!防護壁から出るなって言ったのに!!
莉子:
ゲホゲホ、大丈夫!私も支えるから…!
もっと力出せーっ!!
大地:
はは、了解っ!
『渦巻く濁流よ
あらゆる者を飲み込み
良哉:
バカなっ!虫けらの分際でぇぇ!
我が動けぬ筈がない!止まる筈がない!動けぇぇぇ゛ぇ゛ッッ!!
莉子:
ひっ…腕が、千切れた…っ!
大地:
動きを止めているのに無理やり動かしたからだ…
ぐっ、また力が強く…!これが怨みの力…っ!
莉子:
もう、ダメ…っ暗闇が、迫ってくる…っ!
和皐:
ふぅ―…(深呼吸)
『遙か
揺らがぬ
悪しき魂
今より
良哉:
あ゛…ア゛ぁあああああああああ゛!!!
(過去/回想)
良充(少年):(たどたどしく)
『この者の
えっと……
良哉(青年):
良充(少年):
ですが兄上…
良哉(青年):
いいか、
我々のように力を持つ者は、力を持たぬ者たちをその脅威から守らねばならん。
…心優しいお前には酷なことかもしれぬが、私にはお前の力が必要なのだ。
良充(少年):
兄上は、一人でも十分お強いではありませんか。
良哉(青年):
いいや、人は一人では弱い。
だからこそ皆で助け合わねば。お前は私の助けとなってくれ。
良いな?
良充(少年):
はい…!
もっともっと力を付けて、必ずや、私が兄上をお助けします!
(過去回想終了)
良哉:(弱々しく)
…こんな、古い記憶を見せおって…
今や
和皐:(涙ぐみながら)
私の術は全て兄上に教えてもらったものだと。
兄上が私を強くしてくれたのだと…!
良哉:
ふ…教えた本人より上達しよって…ゲホゲホっ…
大地:
身体が…崩れてきている…
和皐:
ごめんなさい…っ!
良哉:
なぜお前が泣くのだ…
和皐:
これは、違います…っ、
この涙は、
良哉:
涙は捨てよ。弱き者を守るため、さらに強くなれ、と…。
和皐:
うぅ…っぐす…はい、必ず…
良哉:
不甲斐ない兄、を…ゆ、る…し…
莉子:
消え、た…
和皐:
ふ、…あああ!
《間》
大地:
これで、良かったのか?
和皐:
わからない…ぐす…
でも、
莉子:
…っ!
和皐:
そろそろ時間切れだ。元の時代に戻らねばならんようじゃ。
大地:
嵐みたいに現れて、嵐みたく消えてくんだな…。
和皐:
ありがとう二人とも。
時代と共に
そんなものなくても、心の強さはしっかりと後世へ継承されている!
大地、これからもしっかりな!
大地:
こんなハチャメチャなご先祖様を持ってるんだから、
この先何があったって大丈夫だよ!
莉子:
何にも心配いらないからね!
大地:
…元気でな!過去の人に言うのも、なんか変な感じだけどさ。
和皐:
ふふ。
ありがとう。お主らも元気でな!
莉子:
行っちゃったね…。
それにしても大地すごかったね!何あのかっこいい呪文?みたいなやつ!
大地:
だろ~?えーっと…
ん?あれ?どうやってたっけか?一個を思い出せねぇ。
莉子:
この時代には必要ないってことなのかな?
大地:
ん、そうなのかもな。
…で、それはそうと…ここ、どこだ?
莉子:
異空間が消えて戻ってこれたのはいいけど…
見事になんっにもないね。
大地:
まじかよ…。
ここは一体どこのクソ田舎なんだよぉぉぉぉぉ!!!
(場転)
良充:
…かずさ、…
和皐:
…ん…
…
でも、でも…っ!
良充:
あぁ…解っている。
ご苦労であった。これで、良かったのだ…
和皐:
ふっ…うぇぇぇん…
良充:
辛いことを任せてしまってすまなかったな…
お前には心から感謝しよう。兄上もきっと、感謝しているはずだ。
和皐:
彼の力を引き出すつもりが、
良充:
そうか…。
我が遠き子孫は「大地」というのか。良き名だ…。
和皐:
それでも、
あたっ!(扇子で軽く叩かれる)
良充:
誰が寂しそうだと?
でも、そうだな…お主には
良いのか?
私が兄上に術を教わった時のようにお前にも厳しく修行を付けるぞ!
和皐:
はいっ!望むところですっ!
ですが
良哉:
(…涙は捨てよ。弱き者を守るため、さらに強くなれ…!)
良充:
……兄上、分かっております。
陰陽師・
和皐:
では
良充:
どうした?藪から棒に。
和皐:
だーかーらー!
あだっ!(扇子で叩かれる)
良充:
何が「だーかーらー!」だ!
どうやらお前には礼儀作法から叩き直さねばならんようだな?
和皐:
ひえ!お、お許しを~っ!
良充:
ははは!
(間)
良充:
『未来へと吹く風の精霊よ
……どうか……
end.
――――――――――――――――――
作者レイフロ
Twitter:@nana75927107
end.
――――――――――――――――――
レイフロの台本は、下記HPに纏めてありますので、ぜひご覧ください!
https://reifuro12daihon.amebaownd.com/
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