勇者である俺の転生先は…ゴブリン⁉︎

パーカーさん

第1話 裏切りにより死に、ゴブリンとなった

 「ギャーーーーッ!!」


不気味な声を出しながら、魔王ナマラの首が吹っ飛んだ。


 魔王が倒されたという知らせを聞いた大都市メランデーでは夜の宴が始まり、もちろん勇者である俺も参加した。

「勇者イスターよ、よくぞ魔王を倒してくれた。君はこの世界の英雄だ。今夜の宴はゆっくりしていってくれ」

「マスタ王、ありがとうございます」

 そう俺はマスタ王に言い、宴に参加した。

 この時の俺は知らない、この宴に出てきたワインに毒薬が入っている事を…

 また、この時の俺はまだ知らない、この毒薬はマスタ王によって仕組まれた事を…


「んッ、此処は何処だ?」

 俺が居たのは、小さな小屋の中にある藁の上に横になっていた。俺の横には大人ゴブリンが2人いた。

 たっ確か俺は魔王を倒し、マスタ王と少し話をし、宴で俺は毒薬の入ったワインで殺された筈…


「あ、あなたー、生まれたわよー!!」

「おぉーー、性別は?」

「男の子ですよ!名前はどうする?あなた」

「ん〜、そうだなー『アスタ』なんてどうだ?」

「良い名前だわ」

 そう言う会話が横にいるゴブリン2人が話していた。多分、この2人は夫婦で、俺は…え?まっまさか…この2人から生まれた子供ゴブリンだと?この勇治である俺が?ゴブリン?

ま、まー、そ、そこは良いだろう俺は種族で差別しない主義なんで、別に気にしていない…


それからゴブリンとして生まれて3年後…


 俺はゴブリンの生活に慣れていった。最初は慣れず、生肉を食べられなかったが、今では食べられるようになった。

俺の父、サマスは元魔王直属の騎士だったそうだが、魔王がいなくなってからゴブリン村でゆっくり俺の母、カシスと俺と父、サマスで過ごしていた。

 一応俺のステータスはH Pや防御力は同年代のゴブリンの平均値、攻撃力が平均値より少し上でスキルは『怪力』 『頭脳明晰』である。スキル『怪力』はゴブリンのほとんどが持っていて他のスキルは稀である。


それから10年後…


 13歳になった俺は成人になった。

 ゴブリンでは、13歳になったら親元を離れ、魔界都市デスガリアという魔族の大都市へと向かうらしい。

 俺は今家の一室に引きこもっている。理由は簡単、外が怖いからだ。


3年前…


スキルを2つ持っているせいで、他のゴブリン達よりも早めに狩りに行かせられた。その時出会った熊に殺されそうになった。それから俺は3年間ずっと家から出ていない。

 父や母はとっても優しかったので、その事を知ってからは、

「外に行ってみたら?」

と言うくらいで、無理矢理外に連れて行かれる事は無くなった。


そんな引きこもりライフを過ごしている時に事件が起こった。


「きゃーーー、助けてーー」


部屋からでも聞こえる女の声がしたので、勇気を振り絞り外を見てみると

「このゴブリンめ!さっさとこっちに来い!」

「やっやめてーー」

「こいつは売れるぜ、なんせゴブリンのくせに顔だけは良いからなー、ヒッヒッヒッ」

 なんて酷いんだ。人間はみなクソヤローとは思ってたが、まさかここまでとはッ!!

 助けに行かなくては、俺が外が怖いと思っているよりもずっとあの女の子の方が怖いはずだ!

 そう思っていると、無意識に外に出ていて女の子を庇う感じに人間共の前に立っていた。

「おい、やめろ、早く逃げないと殺すぞ」

「ヘッ!ゴブリン風情が人間様に勝てると思っているのか?」

 確かにこのまんまだと、この人間に殺されてしまう。考えろ俺!この状況を打開する策を考えろ!

 そう考えてると不意に頭に勇者の時、使った剣技を思い出した。

 そうだ!体は小さいが、スキル『怪力』と勇者の時に使っていた剣技があればいける!

「おりゃーーーー!」

 そう言いながら、そこに立てて置いてあった剣を持ち、スキル『怪力』を発動し、剣を振った。

 そうすると男に頭に当たり、その男の首が吹っ飛んだ。

「えっ?…おっおい逃げるぞ!このゴブリンは危ない!逃げろー!」

 だが、逃げる前に目に見えない程の速さで剣を振り、後ろにいた男達の首が吹っ飛んでいた。

「えっ?」

後ろに座っていた女の子も、とても驚いた顔をしていたものの、すぐにこの状況に気づいて俺に

「あ、ありがとうございます!おかげで助かりました!本当にありがとうございました!」

「いえいえ、女の子が助けを求めていたら男として助けるのは当然の事です」

 そう言った後、女の子は顔を赤くしながら

「そ、そうですか?なら良いのですが…あ!自己紹介を忘れていました、私はニーナ、

此処で服を作っています、年は13歳です、ニーナと呼んで下さい」

「俺の名前はアスタ、職業は…家事をしています、年はニーナと同い年だよ、アスタと呼んで下さい、以後仲良くしてくれると助かります!」

「でも、珍しいですね、職業が家事なんて、私初めて聞きましたよ?具体的に何をしているんですか?」

「さ、皿洗いや、ぞ、雑巾掛けとかですかね〜」

「それにしても、気になります、あの剣技…

誰に教わったのですか?」

 実は〜転生前に騎士長に教わったんです〜なんて言えないなー

「あ、あれは父にお、教わりました」

盛大に嘘をついた後、ニーナは仕事に戻るので…と言い、実家である服屋に帰って行った。

 そしたら、畑仕事から戻って来た父と母が外に出ていた俺を見てびっくりし、父は泣き、母は泣きながら

「今日の晩ご飯は豪華にしましょー!」

と母が言いながら俺と父と母は自分達の家に帰った。

 






 

 



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