短編だが、情緒がある一作だった。 男が主人公の前で話を話を始める。しかしそれは、前にも聞いた話ばかりで、主人公はつまらない。同じ喫茶店で、それぞれが同じ飲み物を頼む。主人公は決まって、レモネードを頼む。そして、レモネードの中の気泡の数を数える。数え方も決まっている。 生まれて、弾けて、それが一つ。 主人公はそうやって、一つ一つの気泡を数える。 待っている時が来るまで、ずっと。 是非、御一読下さい。
大きな事件も、不思議な出来事も、魔法も魔物も出てこない、日常のほんの一部にフォーカスした物語。主人公の主観だけにこだわったことで景色が分かりやすく浮かびます。読後、短いラブソングを聞いたみたいな感覚になりました。