「クールに見えて、心には熱いモノを持ってるのね」 by明石
「まずはようこそ、と言わせてもらうわね。私の事は明石と呼んで頂戴。貴方の名前は?」
『明石さんですか……。俺の名は、リン。日本では氷山の姓を名乗っています。というか、ここは何処ですか? 俺はリドアスの自室にいたはずなんですが』
「とりあえず、警戒心は服のポケットの中にでもしまっておいてくれるかしら。現時点でも潜在的にも、ここには貴方の敵はいないわよ」
『敵って。まあ、そのようですね。戦意を感じませんから。わかりました。あなたを信用することにします』
「物分かりのいい子は好きよ。せっかくだし、何か飲む?水からタバスコまで、人の飲み物なら何でもそろってるわよ?」
『……タバスコって飲むものでしたっけ?』
「あら?私は朝起きたらタバスコをコップに半分注いで飲むのが習慣なのだけれど。眠気が一発で吹き飛ぶから、今度騙されたと思ってやってみるといいわ。流石に口の中が気持ち悪いから、口直し用の水も用意しておくのをお勧めするけど」
『絶対にやりませんよ。口直しが必要って時点で、それは既に飲むべきものではないですから!』
「ふふ、流石に冗談よ。で、飲み物は何にする?あいにくと人間用の飲み物しかないから、血液を出せと言われると困るんだけど」
『じゃあ水で……。いや、流石に血液とかいらないんですけど』
「あらそうなの。ちなみに、貴方の素性については多少知ってるつもりよ。吸血鬼であることも、ね?」
『吸血鬼というのは、俺たちのような種族を畏怖した人々によってつけられた名です。俺たちは……と、ここからはネタバレになるのか。それにしても、明石さんは何処でそんな情報を手に入れたんですか?』
「情報源は秘密。さっきも言った通り、貴方達の敵はいないし、ここでの出来事が貴方の世界に影響する事はないから気楽にしてていいわよ?もちろん、地球にももう一つの方にも、ね?今いるここは、異次元とか並行世界だとでも思ってもらえればいいわ」
『異次元や並行世界、ですか。承知しました』
「ひとまず納得してもらえたようね。じゃあとりあえず、作品のタイトルにもなっている、貴方の所属する一団の名前を教えてもらおうかしら」
『ああ、銀の華です』
「はい、よくできました。そして、貴方はその団の長なのよね?どういう組織なのかしら?例えば、夜な夜な貴族からお金を盗んでは貧しい人に分け与える義賊集団とか。もしくは、怪しい儀式を行って二次元へ旅立つことを目論む魔術師の集まりとか。団というからには、何かしら目的があると思うのだけれど?」
『いや、何処の話だよ!? 俺たちは、簡単に言えば自警団です。ソディールという世界で、力を持たない人々を手助けするのが主な仕事です。最近は厄介事が多いですがね』
「ちなみに、どんな人が他に所属してるのかしら?」
『種族的に言うならば、獣人や俺たちのような……明石さんの言葉そのままなら吸血鬼、更にただの人間もメンバーに入っています。主な構成員は10代から20代ですね』
「そういえば、貴方は地球とソディール、二つの世界を行き来できるのよね?その、ソディールと言う世界について簡単に教えてくれるかしら?」
『ソディールは、地球とは違う異世界です。『扉』を通じて行き来することが可能です。さっきも言った通り、獣人や吸血鬼など、普通の人とは違う種族も一緒に暮らしているのが当たり前の世界と言えます。その中でも吸血鬼は魔力を持ち、それを使って道具を作ったり、戦闘を行ったりしているんです』
「一部の物好きな地球人に教えたら、あらゆる手を使ってでも訪問したいというでしょうね。ところで、そんな貴方は地球で面白い拾いモノをしたって聞いてるけど。具体的には、貴方と同族と言っていい一人の女の子の事よ。彼女の事も紹介してくれるかしら?」
『拾いモノって……晶穂のことですか? 三咲晶穂は俺より一つ年下で、大学の後輩です。狩人に襲われかけていたのを助けたのが縁で、ソディールへ招き入れました。……あいつ、自分が何者かも知らずにほっつき歩くから……。と、それは横に置きますけど、性格は穏やかで天然、泣き虫。ですが他人を支える優しさを持つ女の子です』
「ふふ、さながら物語のヒロインね。でもそうなると、物語のヒーローは誰になるのかしらね?」
『ヒーロー? 作者的には俺だと言わせたいんでしょうけど、俺はジェイスさんや克臣さんのようにまだ強く在れない。ヒーローなんて言える立場じゃないんです』
「あら、そっけないわね。もしかして、ツンデレってやつなのかしら?私的には、女性へのそっけなさやぶっきらぼうな物言い=男のツン反応って認識なのだけれど、当の男性としては反論とかあるかしら?」
『つっ、ツンデレじゃないですから。それに別にそっけなくしているわけではなく、ただ単に生まれつきの喋り方なんですけど』
「まあ、からかうのはこれくらいにしておきましょうか。それで、そのヒロインちゃんを追っていて、貴方達の敵でもある『狩人』ってのはどういう集団なのかしら?」
『……思いっ切り遊んでただろ、あんた。まあ、いいけど。狩人の話ですよね。奴らはある人物を中心に据え、人以外の種族を全て滅ぼすことを目的に動く集団です。人間至上主義とでも言いましょか』
「異物なんて認められない、排除してしまえ!って極端な考えの人はどこにでもいるものね。考えるだけならともかく、実際に行動に起こされると迷惑な事この上ないのだけれど」
『本当にそうですよね。俺たち銀の華は、様々な人々が協力し合って成り立っている組織です。それは、ソディールも同じこと。主張の違いはあるのが当然、だけどそれを他人に押し付けて自分だけが正しいと言い張ることは、許されません。……俺たちは、奴らから自分たちを守るために戦うんです』
「貴方も苦労するわね。でも、ちゃんと大切な人達の事は見ててなきゃ駄目よ?その時に後悔しないためにも、ね」
『仲間は特に、大切にしていますよ。支えられてばかりですが。彼らがいなければ、俺は銀の華の団長ではいられません。……もう、失くして後悔したくはありませんから』
「余計なお世話だったかしらね。リン君も愛しい人の元に早く戻りたそうだし、このあたりでお開きにしましょうか」
『愛しっ……!? べ、別に晶穂のことは人に言うような関係じゃ……ッ。と、特別に想っているのは間違いないけど……って何言わせるんだ!』
「はいはい、可愛い反応ご馳走様。それじゃ、最後に何か一言もらえるかしら?」
『な、流したな……。はぁ。じゃあ最後に、俺たちのバトルあり恋愛あり、そして冒険ありの異世界ファンタジー『銀の華』。現在200話以上連載中です。是非、覗きに来てくれよな』
「じゃ、今回はここまで。今回は明石がお送りさせていただきました。またね」
「……ところで、その翼なんだけどちょっと触らせてくれないかしら?どんな感触なのかとっても興味があるのだけど」
『ん、これですか? 普段は仕舞ってあるんです。別に鳥とかの翼の感触と変わらないと思いますけど……。って、何してるんだよ!』
↓これは、ある吸血鬼のボーイミーツガールから始まる、異世界を股にかけた冒険と旅路と恋愛模様の記録である。↓
『銀の華』
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