100万人のためのポップソングなんかじゃ絶対に泣いてやらない(Bエンド)
大澤めぐみ
100万人のためのポップソングなんかじゃ絶対に泣いてやらない(Bエンド)
わたしの父親は若い頃は誰もがうっとりするような美男子だった人で、今ではもう若くはないけれど、それでもまだ美男子ではあって外面がよくて人たらしで、大勢の女たちが通りすがりに惚れては大変な目に遭って去っていくタイプのどうしようもなくありきたりな暴力男で、他人はすべて自分の望みの通りに行動すべきだと未だに無邪気に信じていて少しでも思い通りにならないことがあると癇癪を起して暴れる乳幼児がそのまま大人サイズになって服着て歩いているような男なんだけど、それはもう型で抜いたみたいな、一回200円のガチャガチャで無限に手に入る粗雑なプラスチック製の量産品でしかないのだけれど、そんな世間には掃いて捨てるほどいくらでもいる、ちょっと見栄えがいいだけのポップで量産型のつまらない暴力男ですら、それが自分の父親だというだけで少女の人生は簡単に詰む。
こんなキャラクターが小説やら漫画に出てきたら「こんな人間性の薄いやつおらんやろ」って白けちゃう系の思考停止のステロタイプの産物っぽいし、他人事であれば「さっさと警察か児童相談書にでも駆け込めよ」とか思うけど、自分の父親がそんなだと、それはもう現実的には解決不可能な大問題だし、少女の限られた小さな宇宙においては、しょーもない暴力男ですら神にも近い。
誰かに問題を訴えようとしても、父親は外面だけはいいから、わたしのほうが反抗的で困った娘っていう風に解釈されちゃうだけだし、ヘラヘラと笑って危機感に欠けたヨソの大人たちは「はいはい親子喧嘩もほどほどにね」みたいな半笑いで簡単にわたしを父親の元に返すし、家に連れ帰られたあとはよりひどい暴力が待っている。
わたしにできることなんて、お腹の底だけに力を入れて、それ以外の力はぜんぶ抜いて、痛みはすべて自分とは関わりのない外側の世界で起こっているってことにして、身体の真ん中に位置する重要な内蔵とか、もっと抽象的に言えば、たとえばわたしの心とか、そういったものだけを最低限守って、あとは背中を丸めて暴力の嵐が通り過ぎるのを待つくらいしかない。風邪をひくみたいに通りすがりに父に惚れては、一時的に徹底的に甘やかした挙句に最終的に去っていくだけの女たち(わたしの実の母親も含む)とは違って、少女はどこにも逃げ出せない。現実は果てしなく強靭で、少女はどこまでも無力だ。
中学三年生の少女にできる反抗なんて、耳たぶに安全ピンで穴を開けて安物のピアスを刺したり、髪の内側だけを青く染めたり、反抗的で攻撃的な英字のメッセージがバックプリントされたパーカーを着たり、反抗的で攻撃的な音楽をイヤホンに爆音で流したり、せめてもの矜持として、君に会いたかったりずっと君を守り続けたり君の名前を呼んだりするばかりの100万人のためのポップソングなんかには絶対に心を許さなかったりとか、その程度のもので、あとは、いつの日かに備えてお金を貯めるために、年齢を誤魔化して禁止されてるアルバイトに精を出すくらいしかない。
佐藤風音とはじめて喋ったのは、わたしが理不尽な社会や不条理な世界へのせめてもの抵抗として、駅前の古着屋さんで年齢を誤魔化してバイトをしていたときのことで、記念すべき最初の会話は「あ」「おん」だった。
風音は人形みたいな作りものめいた綺麗な顔をしているクラスメイトで、高校受験を控えて教室内の空気がピリピリとしはじめた現在、クラスで若干いじめられていた。その理由というのもまたポップでありきたりで、クラスでやや声がデカいタイプの細川絢は最初から風音のことを嫌っていたみたいなんだけど、夏休み前に風音が付き合いはじめたサッカー部の成山のことが好きだったらしく、まあその時は絢もすぐまた「バスケ部の三嶋が好きかも~」とか言い出してどうってことはなかったんだけど、夏休み明けには風音はもう成山とは別れていて次は三嶋と付き合っていたから、それで絢がキレたのだ。絢と絢が仲良い数人が風音のことを完全に無視するようになって、そしたらなんとなく流れでクラス全員が風音を無視するようになったのだ。風音がそのへんの綺麗な顔した男の子と簡単に付き合っては別れるのを繰り返すのは、なにも成山と三嶋に限った話じゃなかったから、ずっと前から色んな子からのヘイトを溜め込んでいたのだろう。で、風音がクラスの全員から無視されるようになると、別のクラスの三嶋も異変を察知したのかスイッと風音と距離を取るようになって、一緒に帰ったりもしなくなったから実質的にもう別れてるんだと思う。三嶋はたんに、面倒に巻き込まれるのが嫌だったんだろう。恋人って言っても、ただなんとなく付き合い始めただけの中学三年生の男なんてそんなもんだ。君のことを守らないし、もう名前も呼ばない。
そんなわけで、喋ったことはなかったけれど、わたしは風音のことを知ってはいた。だから、通りすがりに風音がわたしを見て「あ」って言ったとき、わたしは「おん」と返事をして頷いたのだった。
というか、わたしは以前から風音のことを、わりと気にして遠くから観察していた。顔が綺麗で男子にモテすぎるせいで女子にやっかまれていじめられるみたいな、女子向けのアプリ小説なんかじゃ掃いて捨てるほど書かれていそうなありきたりな量産品の困難に、他人はどうやって抵抗するのかを見たかったのだと思う。
風音はなんの抵抗もしなかった。無みたいな顔をして、誰とも関わることなく会話することもなく、登校して授業を受けひとりで昼食を食べ掃除をし、つつがなく学校生活を遂行していた。すべては自分とは関係のない外側の世界で起こっているってことにして、自分の心を守ることにしたみたいだった。その反応を見てわたしは、ああ、この子も理不尽な暴力にすっかり慣れてしまっているタイプなんだなと感じた。
バイトをしているわたしを見つけた風音は、なにも言わないのも不自然だと思ったのか、無からひねり出すみたいにして「田中さん、バイトしてたんだ」と、言った。
わたしは「うん」と返事をしたあとで、それだけだとあまりにも愛想がなさすぎる気がして、無からひねり出すように「アイスランドに行くお金を貯めてるの」と、つけ足した。ひょっとしたら「アイスランドになにをしに行くの?」って訊かれるかなと思ったけれど、風音は「そうなんだ」と返事をしただけで、それ以上はなにも訊いてこなかった。「それじゃあ」と言って、すぐに立ち去った。本当にただの通りすがりだった。
訊いてくれれば、わたしもなにか思いついたかもしれないのにと、ほんのすこしだけ思った。
人形みたいに綺麗な顔をして、くだらない量産型の理不尽に立ち向かうこともなく、ただ身を委ねるだけの可哀想な風音。そのありきたりなポップさに、わたしが共感を抱いていなかったといえば嘘になる。けれど、くだらない量産品の不幸を抱えた者同士がお互いに肩を寄せ合うなんて、それもまたポップで量産型の筋書きでぞっとしない。
わたしと違って風音は、少なくとも表面上は、いたって真面目そうなタイプで髪にインナーカラーも入れてないしピアスもあけてないし反抗的で攻撃的な音楽も聴いてなさそうだし、いったいどうやってガス抜きをしているのかなと、そこだけ、すこし疑問に思った。
ちょっと予想外のかたちで、わたしのその疑問はすぐに解けた。
風音は上手にガス抜きができてなくて、だから鬱憤はずっとどこかに溜まり続けていて、それが限界を超えて爆発してしまったのだろう。のだと思う。くわしいことは分からないけど、たぶん、そういうことだったんだろう。
その夜も、わたしは父親の気まぐれの暴力を散々食らったあとで、財布と音楽プレイヤーだけをひっつかんで外に飛び出し、反抗的で攻撃的な音楽をイヤホンで爆音で流しながら行くあてもなく自転車を転がしていて、そしたら、暗い公園のブランコにひとりで座っている風音を見つけたのだ。
「佐藤」
ほんのすこしだけ、ありきたりな不幸を抱えているらしい風音に共感を抱いていたわたしは、自転車を止めてイヤホンを外し声を掛けた。
「あ、田中さん」
風音は夜だというのに、部屋着っぽくないちゃんとしたパンツにちゃんとしたシャツを着ていて、ダメージジーンズに英字のバックプリントがしてあるパーカーのわたしよりもちゃんとした服装だったけど、血塗れで片手にナイフを握っていたから、わたしなんかよりもずっとパンクでロックンロールだった。
「どうしたの、それ?」と、わたしが訊くと、風音は「ちょっと困ったな」って風に首を傾げて「刺しちゃったの、お父さん」と答え、手に握ったままのナイフに視線を落とした。おもちゃみたいにチャチな、小さな果物ナイフだった。
わたしはそれほど驚かなかった。だって、虐げられてきた少女が我慢の限界を超えて父親を刺し殺しちゃうなんて、これもアプリ小説でならありふれている、どこにでも掃いて捨てるほどあるポップでステロタイプな結末のひとつでしかない。
だからわたしは、ただ「そうなんだ」とだけ、言った。
風音もただ「うん、そうなんだよね」と、返事をしただけだった。
「で、どうするの?」
「うん、どうしようか?」
風がすこし強くふいて、公園の木々をガサガサと揺らし、わたしと風音は同時に視線を上に向けた。時間はまだ八時前で、夜もそれほど深くない。
不意に風音が「逃げちゃおうかな」と、呟いた。
「逃げるって、どこに?」
「分からないけど。たとえば、アイスランドとか」
「行けないでしょ。わたしたちは中学生で、アイスランドはとても遠い」
「そうなんだ。アイスランドって、どこにあるの?」
「たぶん、すごい北のほうじゃない? 北極のちかく。わたしもよく知らないけど」
「そうなの? 田中さん、アイスランドに行きたいんじゃなかったの?」
アイスランドと言ったのは口から出まかせで、行先は別にどこでもよかった。わたしはただ、ここじゃないどこかに逃げ出したかっただけだ。やりたいことも、なりたいものも、行きたい場所も別にない。ただ、逃げ出す先はうんと寒いところがいいと思った。逃亡者には、しんしんと降り積もる雪がよく似合う。
「ああ、うん。そうだね。逃げるなら、北がいいかもね。寝台列車とかに乗って」
「寝台列車?」
「そう。ボストンバッグひとつに入るだけの荷物だけ抱えて、ふたりで寝台列車で寒い国に逃げるの」
「バカじゃないの?」と、肩をすくめるわたしの指先を、風音の血塗れの手が弱々しく掴んだ。風音は眉根を寄せて、人形みたいな作りものめいた綺麗な顔で「ねえ田中さん。わたしと一緒に、どこか遠くへ逃げよう?」と、言った。
そんなありきたりなポップさに、わたしはいとも簡単に落ちた。
「とにかく、血塗れのナイフはヤバい。そいつはどこかに捨てていこう」
わたしは風音の手を握りかえし、強く引いて立たせると、汚れたシャツを脱がせてそれで血を拭い、自分のパーカーを脱いで着せた。下にはTシャツしか着ていなかったから、この格好のままではさすがに寒い。
「うう、寒っ! とにかくなにか服を手に入れないと。今ならまだギリギリお店やってるでしょ。ほら、乗って」
わたしが自転車に跨りそう言うと、風音は不思議そうな顔をして「乗るの? その自転車の後ろに?」と、訊いてきた。
「逃げるんでしょ? とにかく、駅まで行かないと」
「逃げるの?」
「佐藤が言ったんじゃないか」
「そうだけど」
腑に落ちてないみたいな不思議そうな顔のまま、風音はうしろの荷台に跨って、わたしのお腹に腕を回してきた。
「佐藤、すごく手があったかいね」と、わたしが言うと、風音は「そう?」と、首を傾げた。
「どうせなら、もっとくっついてて。そのほうがあったかいから」
風音は言われたとおり、背中に身体をぺったりとくっつけてきた。自転車を飛ばして駅まで向かう途中、コンビニのゴミ箱に風音のシャツでくるんでナイフを捨てた。手と腕は冷たいけれど、自転車を漕いでいるから身体はだんだんあったまってくるし、ぺったりと風音がはりついている背中は暑いくらいだった。
なんでまた自分は綺麗な顔をしたよく知りもしない同級生を、それも父親殺しのヤバい女を後ろに乗せて必死に自転車を漕いでいるんだろうという疑問が頭をよぎらなかったわけじゃないけれど、わたしは黙ってペダルを踏み続けた。
駅前で自転車を乗り捨ててルミネに入り、すっかり冷えきってしまった腕をさすりながら「とにかく服を買おう」と、わたしが言うと、風音は「どんな?」と、また首を傾げた。
「どんなでもいいよ。佐藤が好きなものを選べばいい。あ、でも、北に行くならあったかそうなやつのほうがいいかもね」
「そっか。別にもう、自分の好きな服を着てもいいんだよね」
「そりゃそうだよ。現実に立ち向かうためには武装が必要だし、自分が好きな服を着てないと、強くなれない」
わたしが言うと、風音はすこし微笑んで、なにかが振り切れたみたいに意気揚々とわたしの前を歩き出した。ほとんど迷わずニットとジャケットとスカートと極厚のタイツを選んで、手品みたいに財布からスルスルと万札を取り出して買った。上着が必要でしょ? と言って、わたしにもMA-1っぽいブルゾンを買ってくれた。
「すごいお金持ちじゃん。どうしたの、それ?」
「うん。家を出るときに盗ってきたから」
「うわぁ。最高にパンクでロックンロールじゃん」
トイレで全身まっさらな服に着替えると、いっそう風音の表情は明るくなった。しかして完成した風音は、お手本みたいにブリブリの全身ゴスロリだった。
「なんていうかその、すごい甘々だね」と、わたしが言うと「こういうの、いちど着てみたかったの」と笑って、その場でクルリと回った。
「うち、お父さんが厳しい人で、こういうの着させてもらえなかったから」
似合う? と、また首を傾げる風音に「似合ってるよ、とても」と言うと、風音が嬉しそうにパッと顔を輝かせて、わたしは不覚にもきゅんとしてしまった。きゅんとしてしまったのが気恥ずかしくて、つい誤魔化すように「でも、ちょっとバカっぽいかも」と言うと、風音がストレートにすごく傷付いたみたいな顔をして俯くから、わたしは今度は笑っちゃって「嘘ウソ。超似合ってるよ。かわいい。最高。大好き。愛してる」と、軽薄な言葉をポンポンと重ねた。
でも、嘘でも口から出まかせでも、愛していると口にした瞬間、なんだか自分が本当に風音のことを愛しているような気がしてきてしまって、わたしは俯いた風音の顔を下から覗き込んで、もう一度「ねえ佐藤、愛してるよ」と、囁いた。
「じゃあ、その佐藤っていうの、やめて」と、顔を上げて風音が言った。
「え?」
「呼び方。風音って、下の名前で呼んで」
「あ、うん。いいよ。じゃあ、わたしのことも田中さんじゃなくて、下の名前で呼んでよ」
「千夏ちゃん」
「あれ? 知ってたんだ、わたしの下の名前」
「そりゃあ、知ってるよ」
「ちゃんもいらないよ。千夏でいいよ、風音」
「千夏」
「風音」
いらなくなった服はぜんぶゴミ箱に突っ込んで、ピカピカの綺麗なお洋服を着て、わたしと風音はスキップするような足取りで駅に向かった。最高に心が軽くて、風音が自然と腕を絡めてきても全然気にならなかった。寝台列車はなかったから、夜行バスの発着所で一番北の遠くまでいけるのを調べて、青森行きのチケットを買った。十時半の出発だから、それまでの時間をサイゼリヤで潰した。
好きな服を着て、お金に糸目をつけずに好きなだけ好きなものを食べて、延々とドリンクバーをおかわりしながら「どんな音楽を聴くの?」とか「どんな映画が好き?」とか「芸能人なら誰がタイプ?」とか、そういうなんでもない、どうでもいいお喋りをしていると、目の前のバカみたいに綺麗な女の子が、とても大切な、大好きな友達みたいに思えてきた。
「わたし、人と喋るのとか、むかしから苦手で」と、不意に風音が呟いて。
「知ってる」と、わたしは返事をした。
「あ、そう?」
「見てれば分かるよ」
「そう。わたしのこと、見てたんだ」と、なぜだか嬉しそうに、風音ははにかんだ。
そりゃ、平和なクラスで唯一のいじめられっ子なんだから見ないほうが難しいし、人とのコミュニケーションが苦手なのだって一目瞭然だ。でも、わたしはそんな余計なことは言わずに、ただ「うん、ずっと見てたよ。風音のこと」とだけ言った。ちょっとした嘘で、現実をほんのすこしだけ上書きした。
わたしたちは中学三年生で、幻想の最強無敵の女子中学生さまで、だけど現実の前にはどこまでも無力だから幻想の中に逃げ込むしかない。幻想で、嘘で現実を塗り替えようとみっともなく足掻くことしかできない。
「わたしのお母さんは、わたしを産んで死んでしまったの。わたしはお母さんの命と引き換えにこの世に生まれてきたのよ。そのせいでお父さんは、わたしが生まれたときから、わたしのことを憎んでいるの」
ほんの少しだけオリジナリティはあるけれど、それもアプリ小説でいくらでもありそうな、ありきたりでポップな不幸のステロタイプのひとつ。
「お父さんが、いろんなことを嫌がるの。なにかにつけて、わたしを死んだお母さんと比較して、お母さんに比べてわたしはぜんぜんダメだって。わたしが歌を歌ったり、大きな声で笑うのもダメで。わたしの笑いかたは、歯を剥き出しにして品がないって」
だから風音は小さなころから教室の隅に座ってただ口を閉じ、あまり誰かとお喋りをするという経験を積んでこなかった。でも、なにしろ風音は人形みたいな作りものめいたバカみたいに綺麗な顔をしているから、中学に上がったくらいから、教室の隅に座ってただ口を閉じているだけでも、ときどき男の子が愛の告白をしてくるようになった。特に断る理由もないので、風音は男の子から告白されるたびに「別にいいけど」と答えていた。
「わたしだって、好きでひとり教室の隅で口を閉じていたわけじゃないもの。友達はほしかったけど、どうすれば友達ができるのかさっぱり分からなかったの。わたしと付き合いたいって言ってくれる男の子となら、仲良くなれるんじゃないかと思って」
でも別に、そんなことはなかったのだ。
「成山とは、なんで別れたの?」
「だって、あっという間にスカートの中に手を突っ込もうとしてくるんだもの。性急すぎて、さすがに嫌になっちゃって」
キスをしたのとスカートの中に手を突っ込まれたこと以外、さしたるコミュニケーションもなかったので、結局最後まで、風音と成山が仲良くなることはなかった。
かわいそうな風音。せっかく綺麗な顔に生まれてきたのに、小さな頃にちゃんと親から十分な愛情を注がれてこなかったから、すっかり故障して、こんな不良品になってしまったのだ。なんてありきたりでつまらない、ポップで平凡でステロタイプな量産型のストーリー。わたしはますます、風音のことが好きになった。
「ねえ、風音。笑って」と、わたしは言った。「風音の笑顔はちっとも下品なんかじゃないよ。最高にかわいいよ」
ぎこちなく微笑んだ風音の顔は本当にバカみたいに綺麗で、最初に抱いた「人形めいた」という印象は遠のいて、普通にただただ綺麗な顔の女の子だった。
「大丈夫だよ。これからは、わたしが一緒にいるから」と、わたしは微笑んだ。
「うん」と、頷いて、風音は俯いた。
父親から暴力を受けている青いインナーカラーのインスタントなパンク女と、父親に愛されなくて父親を刺し殺してしまった綺麗な顔のゴスロリ女が、ふたりで一緒に北に逃げるなんて、ポップさが過ぎる筋書きだ。ステロタイプはどこまでも追いかけてきて、わたしたちを引き倒し、お前たちの不幸など取るに足らないありふれたものに過ぎないんだと大声で叫ぶ。現実の前でわたしたちは、不幸さという尺度ですら特別にはなれない。
青森行きの夜行バスは、一番安いチケットを買ったから、足もちゃんと伸ばせないような四列シートで、もちろん、わたしと風音の席は隣同士。風音が窓際で、わたしが通路側。普通に座っていても肩がくっついちゃうほど幅が狭いし、窓が冷たいのか、風音はわたしの肩にもたれかかってくる。
「青森なんて、まるで地の果てみたいだね」と、風音が言って、わたしの手をとり、指を絡めてきた。
「そうだね」と、わたしは返事をして「青森についたら、どこに行こうか」と、呟いた。
「一番北まで行ってみましょう。青森の北の、こういう風になってるところの」と、風音が人差し指を曲げて、青森の形を作って見せる。「その一番先っちょまで」
それもいいかもなと、わたしも思う。本州の一番北の果てくらいが、わたしたちがいま現実に行ける、最果ての地のような気がした。女子中学生には、アイスランドは限りなく遠い。
車内は暖房が効いていたけれど、どこかからすきま風でも吹き込んでいるみたいに、ときおり、とびきりの冷気が通り過ぎてヒヤッとした。風音がべったりと貼りついている、右の肩だけが暑いほどにあたたかい。
風音の体温を感じながら目を閉じる。眠っているのかウトウトしているだけなのか中途半端な感じの眠りがあって、不意に寒気と尿意を覚えて目を覚ます。しっかりと絡みついた風音の指を丁寧に引きはがして、車内のトイレに行く。ゴトゴトと揺れる狭いトイレで所用を済ませて席に戻ると、夢うつつの風音がちいさな声で「どこに行っていたの?」と、囁いた。
「ちょっとトイレに行っていただけだよ」と、わたしが言うと「そう」と返事をして、また指を絡めてきて、わたしの手をキュッと握った。
「わたしを置いていかないでね」と呟いて、すぐにすぅすぅと寝息をたてはじめた。コトリと肩に寄りかかってきた風音の頭から、華やかな甘い香りがした。
世界のすべてが遠のいて、今、この瞬間、わたしと風音はふたりっきり。
わたしはあのとき、公園で風音を拾ったとき、たまたま、しこたま父親に殴られたあとで、いつものここではないどこかに逃げ出したい欲求がひときわ高まっていて、そんな状態で、父親を刺し殺した風音に出会ってしまっただけだった。たぶん、自分が思っていてもできなかったことをやり遂げた風音に、羨望を抱いたのだろう。それで、風音に「一緒に逃げよう」と言われたとき、ついその手を取ってしまっただけだったのだ。
風音にしたって、あのとき、あそこを通りすがって風音を連れて逃げてくれる人は、わたしじゃなくても良かったはずだ。父親を刺し殺したことを責めず、自分に同情し守ってくれる味方でさえあれば相手は誰でも良かったのだろうし、それが男の子だったら、もっと話は簡単だっただろう。
すべてはただの偶然と、その場のノリだ。でも、その相手はたまたまわたしで、たまたま風音だったのだ。
朝、起きるとまだ、青森行きのバスはゴトゴトと青森を目指して高速道路を走っているところだった。閉め切られたカーテンの隙間から、淡い朝の光が漏れていた。横に目を向けると、芸術的に綺麗な顔をしたゴスロリ女がなぜかわたしの肩に寄りかかって、安らかな笑顔を浮かべたまま猫のようにぐんにゃりと眠っていて、わたしは自分がまだ夢の中にいるような、ふわふわとした気持ちになった。
バスを降りると、ものすごく寒くて北のほうに来たことは分かったけれど、駅前の景色はそれほど変わり映えがなくて、あまり最果ての地という気はしなかった。何百キロも離れてるとはいえ、ここにはまだ、マツキヨも無印良品もマクドナルドもある。もっと遠くまで逃げないと、安心できないような気がした。
駅で青森の観光パンフレットを山ほどとってから、朝マックした。アレコレと検討した結果、わたしたちは山奥の温泉を目指そうということになった。
駅からJRに乗って、指で青森の形をつくったら、ちょうど指の股にあたるところで一度乗り換える。そこからまた40分くらい電車で行って降りる。ここの駅もまだ街中って感じで、安心できない。
けど、そこからガラガラに空いた温泉行きのバスに乗ると、どんどんと人里を離れて山の中に入っていって、ようやく、本当になにかから逃げおおせそうな気がしてきた。
この頃には、わたしと風音はほとんど家の話や自分の話をやめて、ただ「風が冷たいね」とか「空が澄んでて高い気がするね」とか、目についたことを喋るだけになっていた。これまでの自分を後ろにどんどん置き去りにして、目の前の景色に素直に反応するだけの純粋な客体になっていくみたいだった。
ただでさえ秘境っぽいうえに、どうやらシーズン外れらしい山奥の温泉地は閑散としていて、ただただ寂しい場所だったけど、わたしと風音はその人気のなさにようやく安心した。
無料の足湯に足を突っ込んで、だらーんと身体を伸ばして、無心で「あったかいねぇ」「うん、あったかいねぇ」と繰り返した。
予約もなにもしていなかったけれど、旅館の部屋も簡単にとれたし、おまけに朝夕の食事までついても、びっくりするくらい安かった。
「わたしもアイスランド貯金があるし、別に大丈夫だよ」と言ったけど、風音が「カードがあるから」と言って、ふたりぶんの宿泊代を払ってくれた。宿泊カードに書いた名前は、たぶん死んだという母親のものだろう。年齢は19歳ってことにした。わたしたちは中学生のわりには大人びて見えるから、成人はまあ無理としても、19歳の女子大生に見えないこともないし、受付のおばあちゃんも特に不審がる様子は見せなかった。
古くてショボい部屋だったけど、周りに知らない人が誰もいない、ちゃんと鍵のかかる個室に入ると、急に力が抜けたみたいにどっと疲れがきて、ああやっぱりそれなりに緊張はしていたんだなと自分でも思った。
擦り切れた畳の上にべろんと寝転がる。風音が窓を開けて外を見ていた。部屋は裏の森に面していて、鬱蒼と茂った木々以外にはなにも見えない。どこか遠くで、あまり聞いたことのないような変わった鳥の声がしていた。
「静かね」
「うん、とても静かだね」
「安らかだわ」
「うん、とても安らかだね」
こんなに安らかな気持ちになったのは、いつぶりだろうかと考えて、いや、ひょっとして生まれて初めてだろうか? と、思う。なにしろ、安心できる場所であるべき自分の家の中に、笑っちゃうくらいに薄っぺらいステロタイプな暴力男が住んでいるのだ。生まれてこのかた、家にいて安心できたことなど一度もなかった。
せっかくの温泉宿なので、さっそく浴衣に着替えて温泉に入る。身体を綺麗に洗って飽きるほどお湯につかると、わたしも風音もますますぐにゃぐにゃになった。食事は受付してくれたのと同じおばあちゃんが持ってきてくれた。久しぶりの白いご飯が死ぬほどおいしかった。
ふとんの上げ下げは自分でやってくれという話だったので、ご飯が済んだらわたしたちは早々にふとんを敷いて電気を消して、横になった。
「いいところだね」と、風音が呟いて、わたしも「うん、いいところだね」と、返事をした。
「これから、どうするの?」と、わたしが訊くと、しばらく間があって。
「ここで働かせてもらうっていうのは、どうかな?」と、風音が言った。
「どうだろうね? お客さんも少なそうだし、人手は足りてるかも」
せっかくふとんを二枚敷いたのに、案の定、風音はごそごそとわたしの布団に潜り込んできたけれど、そのほうがあたたかいし、わたしも別に気にしなかった。
「じゃあ、ここじゃなくてもいいけど。どこか、働かせてくれそうな山奥の温泉宿を探して、そこで仲居さんをやるの」
「ああ、そういうのも悪くないかもしれないね」
そんな返事をしながら、わたしはスゥッと水に潜るみたいに深い眠りに落ちていった。
「まだ当分お金は無くならないと思うから、それまでに落ち着ける場所を見つければいいわ」
最後に、風音のそんな呟きを聞いたのを覚えている。そうなればいいなと、わたしも心の底から思った。
けれどもちろん、そんなことにはならなかった。
翌朝、わたしが目を覚ますとすでに部屋に風音の姿はなかった。朝風呂にでも行ったのかと思って、わたしも用意して部屋を出ると、フロントの前で大きなおじさんが浴衣姿の風音の腕を掴みあげていた。
「こんなに人に迷惑をかけて、恥ずかしい」
そう言って、おじさんが風音の顔をビンタした。その横で、受付のおばあちゃんがオロオロとしていた。
「お前はなにを考えているんだ、恥ずかしくないのか」
声を荒げて、おじさんがまた風音の顔をぶつ。風音は虚ろな目で視線を床に落としていて、完全に人形の顔に戻ってしまっていた。
捕まってしまっていた。物理的にだけじゃなく、精神的にも、すでに元の場所に連れ戻されていた。
おじさんが誰なのかなんて考えるまでもない。あのリストバンドにも、あの粘りつくようなねちっこい声にも、嫌というほど覚えがある。
「そのリストバンド! そのねちっこい声! お前は、コンダクター流水!!」
ドン☆
変幻自在の地獄の案内人、コンダクター流水。過去に全国大会二位の成績を残している実力派のデュエリスト。たしか大会の紹介でも、娘がひとりいるという話だったが、まさか風音の父親だったとは!
わたしが指を突きつけると、流水は片腕で風音を羽交い絞めにして、言った。
「ふふふ、風音を救いたければ……分かりますよねぇ、お嬢ちゃん。自分がいったい、どうすればいいのか。わたしはデュエリストで、そしてお嬢ちゃん、君もデュエリストだ。デュエリストがふたり出会ってしまったら、やることなんてひとつしかありませんよねぇ……!!」
「……デュエル……だな……!」
デュエリストとデュエリストは引かれ合う。風音を人質にとられては、もう戦いは避けようがない。いいだろう流水。お前の挑戦、受けてやる!! ドン☆
流水の顔が喜色に染まり、歪む。そうやって笑っていられるのも今のうちだぜ!
「あなたが勝ったら、風音は解放しましょう。クレジットカードは返してもらいますが、盗んだ金もくれてやる。どこへなりと好きなところへ行くがいい。ですが、わたしが勝ったら、あなたのデッキの中のカードを一枚、いただく。それでよろしいですか?」
「ああ、いいぜ! だけど、お前は後悔することになるだろう! 大人しくわたしと風音を行かせなかったことをね!!」 ドドン☆☆
「この過酷あふれる世界に救いを……」
わたしはデッキを額にあて、祈りを捧げる。
「わたしを楽しませてくださいねぇ~!」
流水がデッキをシャッフルする。
デッキから初手の三枚をドロー。悪くない手札だ。コストの重い一枚をデッキにもどし、引きなおす。流水はマリガンはなしだ。すでに良い手札を揃えているのか。
先行は……コンダクター流水!!
「さあ~、いきますよ~お嬢ちゃん!」
「返り討ちにしてやるぜ流水!」
「「デュエル!!」」 ドドン☆
~ENEMY TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「ではわたしの先行、まずは様子見。コスト1のハゲキノコを召喚!」
『あとはBEAMSさえあれば群馬は実質青山……』(ぼゎん)
「く、1ターン目からの1/2はわりと面倒だ!」
~YOUR TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「だが甘いぜ流水! わたしはアミュレット黄金の鐘を場に置く。リーダーを1ポイント回復。さらにカウントダウン3。ラストワードでカードを2枚ドロー」
「ふふふ、リーダーへの回復は完全に空振りですが、ここはカードドローを優先してきましたか」
~ENEMY TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「さあ! たたみかけていきますよ! ブラッドうさぎを召喚! 自分のリーダーに2ダメージを与え、疾走を持つ!」
『カクヨムはとにかく過疎ってるからダメ! PVがすべて!』
「ぐあっ!」
「わりと痛そうだけど大丈夫か!」
「ふふふ、お優しいですねお嬢ちゃん……しかし、その余裕もここまでだ! いけ、ハゲキノコとブラッドうさぎでフェイス攻撃だ!」
『わからんず……』(バコーンッ!)
『ツイッター創作論はクソ!』(バコーンッ!)
「ぐあ! 序盤からフェイスに3ダメージはなかなか痛いぜ!」
~YOUR TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「場のフォロワーは痛いが、ここは敢えて放置してアミュレット、猫の社を置く。リーダーが1ポイント回復するたびに、場にフォロワーがいればランダムなフォロワーに2ダメージ。場にフォロワーがいなければ相手のリーダーに2ダメージを与える!」
「く……! 永続的に効果のあるアミュレットはなかなかにやっかいですね。しかし、わたしの攻撃をしのぎきれますか!?」
~ENEMY TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「わたしのターン! ドローです! 悪鬼バンシィを召喚! 自分のファンファーレ効果で自分のリーダーに2ダメージを与えるかわりに、3/2の高スタッツです!」
『ワイはもうあかん……ワイはもうあかんのや!』
「ぐあ!」
「ばんばん自傷してるけど大丈夫か!」
「ふふふ……これも戦略のうちですよ……! いけ! ハゲキノコ! ブラッドうさぎ! 悪鬼バンシィ!」
『ああわからんず……』(バコーンッ!)
『なろうキングに俺はなる!』(バコーンッ!)
『ワイはもうあかん……!!』(バコーンッ!)
「ぐあ!」
~YOUR TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「く! よくもここまで好き勝手にフェイス攻撃をしてくれたな! しかし、お前の勝手もここまでだぜ流水!」
「なんですと!」
「わたしのターン! ドロー! レジェンドカード、界隈の姫を召喚!」
『いたいの~!』
「ファンファーレ効果により、リーダーはターンエンド時に自分のフォロワーすべてと自分のリーダーを1回復するを持つ!」
「く! 猫の社とのシナジー効果が痛いですねぇ!」
「さらに進化! まずはハゲキノコを攻撃!」
『今日はパンケーキを焼きまーす!』(バコーン!)
『あとは成城石井さえあれば……』(ボフーンッ!)
「さらに1コストカード、お嬢様の聖水でリーダーを1回復。猫の社の効果で悪鬼バンシィに2ダメージ!」
『ワイはもうあかん……』(ボフーンッ!)
「ターンエンド。界隈の姫の効果により、フォロワーすべてとリーダーを1回復。さらに猫の社の効果でブラッドうさぎに2ダメージ!」
『なろうで待っているぞ……』(ボフーンッ!)
「く……場のフォロワーはすべて除去されてしまいましたか……。しかし、勝負はここからです!」
~ENEMY TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「わたしのターン! ドロー! 堕落の漆黒 キンタマを召喚!」
『僕も作家として言わせてもらいますけどね』
「進化効果により、強制的に復讐に入るように自リーダーにダメージを与える代わりに、リーダーへの4以上のダメージは3になる永続効果を得る!」
『出るとこ出て話をつけましょう』(バコーンッ!)
「く! ハナから復讐に入るつもりなら、ここまでの自傷ダメージなんかあってもなくても同じだぜ!」
「キンタマで界隈の姫を攻撃!」
『メメントモリ~!』(ボフーンッ!)
『ここまで支えて下さったみなさんには本当に感謝ですね』(ボフーンッ!)
「ふふ、界隈の姫はとられたが、キンタマも相打ちだぜ!」
~YOUR TURN!~ (ブワ~ンッ!!)
「わたしのターン! ドロー! 流水! 自らライフを削り復讐状態に入ったことを後悔するがいいわぜ!」ドドン☆
「な、なんですって!?」
「まずは聖弓のヒロマルを2体召喚!」
『待ってください実は宇宙人のしわざってことはないですか?』
『待ってください実は宇宙人のしわざってことはないですか?』
「な! 本来は取るに足らない低コストカードも、シナジー効果で!?」
「さらに1コスト! お嬢様の聖水でリーダーを1回復! 聖弓のヒロマルはリーダーが1回復するたびに相手のリーダーに2ダメージを与える!」
『宇宙人でなければUMAかもしれません』
『宇宙人でなければUMAかもしれません』
「ぐあ!」
「さらに猫の社が発動! 場にフォロワーがいないため、相手のリーダーに2ダメージ!」
「ぐあ! そ、そんな!!」
「ターンエンド! 界隈の姫の永続効果により、フォロワーすべてとリーダーは1回復! 聖弓のヒロマルの効果!」 ドドドン☆
『宇宙人でなければUMAかもしれません』
『宇宙人でなければUMAかもしれません』
「ぐあああああ!!」(ドカーンッ!!)
ティロリティロリピーン!
流水、ライフ0。勝者、わたし!(テレーンッ!)
「見たか流水! わたしは100万人のポップソングなんかじゃ絶対に泣いてやらない!」
「あなたの実力を認めねばなりませんね……」(ボシューンッ!)
辛くもコンダクター流水を打ち破り風音を取り戻したわたし! しかし、安息の地を探し求めるわたしたちの旅はまだ続く……。
100万人のためのポップソングなんかじゃ絶対に泣いてやらない(Bエンド) 大澤めぐみ @kinky12x08
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