凍結士 教師へと

「登録したいんですけど…」

ギルドに来ていた俺は冒険者登録を行おうとしていた。

「はい、ではここにお名前と少量の血をお願いします」

本名を記入すれば裏切った本人だとバレてしまうので偽名を使った。


「熱島 ねつじま こうさんですか。血液の鑑定まで少しお待ちください」

判定まで時間がかかるようで椅子に座って待っているよう促された。


数分待っていると背後から懐かしい雰囲気を感じた。

「久々だな、慧音」

「流石、零雰囲気でわかったか」

後ろを振り返ると懐かしの仲間がいた。


「凍結士が裏切りの一族になっているのだが、何か知らないか?」

今までの情報を慧音に話した。

「此処では少し都合がわるい、ギルドの応接室で話をしようじゃないか」

そういうと慧音はギルドの奥へと招いた。


「それで、凍結士についてだが…」

魔王が破断を放ったとき、俺が謎の言葉を発していたらしい。

気が付くと俺の姿はなく、凍った魔王がそこにたたずんでいたらしい。

破断を探したがそれも消えていたそうだ。

勇者は、自分が倒したものとし、俺を逃げた臆病者として凍結士を迫害したそうだ。


「なるほどな…」

俺が状況を飲み込んでいると廊下からバタバタと騒がしい音が近づいてきた。


「ギルド長大変です。熱島高という青年は凍結士の一族でした」

「そうだろうな。血までは誤魔化せまい」

そういって俺を見てきた。


「いや~ここまで騒がれるとなかなか照れるな」

「照れてないで…貴方仕事はどうするの」

確かに凍結士であると仕事はないな…


「どうしよう慧音」

「私がやってる学校で新米教師として雇ってあげるから。凍結以外にも多少はできるでしょ?」

「できます。おねがいしゃっす」

ぴしっと敬礼をかまし、学園の説明を受けた。

宿泊場所もないだろうからととりあえず慧音の家に泊めてもらえることになった。



「ギルド長あの人凍結士なのになんで優しくしてるんです?」

受付の子が不思議そうに聞いてきた。

「あの人はね、魔王を倒した本当の人なの。勇者が倒したってなってるけど魔王は本当は氷漬けにされてた」

「それに、私が困ってた時彼だけは助けてくれたから。たとえこの世界の誰もが彼を信じなくても私だけは信じることにしてるの」


「なるほど、ギルド長恋をしてるんですね」

「からかうのはよしなさい」

「はーい」



「えー、皆さんに一言このクラスが変わることになりました」

慧音が入ってきなさい。といい俺は扉を開けた。


「えー、熱島高って言います。新人なので温かい目でお願いします」

そういって一礼をする。

男子からは、死ねという視線がぶっ刺さっている訳なのだが…

まあ、そうだよね。このクラスの元の担任って結構可愛いかったし

妊活でちょうどよかったと感謝された。


「えー。授業をまず始めますが、前までどんな感じで行ってたんですか?」

「打てる魔法を増やそうってことで打ちまくってました」

マジで?そんなことしても基礎が無かったらダメでしょ…

慧音のほうを見るとどうやら本当らしい。

もしかして、今の時代の教育ってこんな偏ってんの?

だから数年前まで子供でも余裕だった場所で苦戦できるわけだ


「えー、皆さま基礎を学びましょう?土台を固めないとどんなに強い魔法も本来の威力を出せないから」

「ぱっとでの教師の言うことなんて信用できるか。今まで通りやらせてもらう」

そう言って男女半分ずつの生徒が消えてしまった。


「えー。どうしましょう慧音」

「理事長と呼びなさい。それと自分のクラスの生徒くらい自分でなんとかしなさい」

自分で何とかしろってことは放っておいてもいいのか


「では、ここに残ってくれた皆さんに今以上に強くなることを約束しましょう。いない奴は知らん。死のうが、退学しようが俺には関係ないってことで」

「そういう方針でいくのならご自由に」

慧音はどこかへ行ってしまった。


「では、まず基礎を学ぶため座学から行きましょう」

こうして俺の初々しい授業が始まった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

腐教師 黒猫 @Yazakai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ