第20話
「ねぇ........きて........起きてよ!」
お腹に何かが飛び込んできた。
「サラ、まだ傷は治ってないんだから、優しくしてあげた方がいいわ。」
「そうだな。」
なんでみんながいるんだ........僕達が倒れてたところを運んできてくれたのか?........ここどこだ?
「ねぇ、なんでみんなここにいるの?それに、ここどこ?」
「家に帰る前に、ちょっとギルドによろうと思ったのよ。そしたら騒ぎが起きてて、覗いてみればあなた達が倒れてたの。私達と別れてから、何があったの?」
僕らの問題にみんなを巻き込みたくないが、サラの鱗を奪われたからな........
「えっと、サラから鱗を貰って、換金しようとギルドに向かったんだけど、知らない筋肉隆々の巨大な男に絡まれて、奪われちゃった........」
「そうなの!あの男嫌い!」
「!」
急に大声出されると心臓に悪い。さっきまで意識なかったはずだが。
「める、もう大丈夫なの?」
「うん!なんかりょーたの近くにいるだけで、全回復した気がする!」
りょうって呼ぶのを辞めたらしい。記憶喪失とかじゃないといいが。
「何があったか覚えてる?」
「筋肉の塊にボコられたの!痛かったし、サラがくれた鱗まで持ってかれてイライラまっくす!」
頭から湯気が上がりそうなくらい、顔を真っ赤にして怒っている。
「君たちが言ってる筋肉の男ってどんな人だったの?」
言っている通り筋肉の塊だったが........首元に狼の刺青があった気がした。
「たしか、首元に狼の刺青があった気がするなぁ。ね、める?」
「私も見た!口をガオ!って開けてて、眼も紅く光ってて、生きてるみたいだった!」
僕は最後殴られる前に、刺青がこちらを睨んでいたように見えた。
「俺、心当たりあるんだけどよ。」
「あら、あなたも?」
ここらじゃ有名な男なのだろうか。
「えー?ボク、知らないなぁ〜教えて!友達を傷つけたやつは許せないよ!」
サラは意外と暴力的なのかもしれない。
「私より、たくさん冒険してる貴方の方が詳しそうだから、頼んだわよ。」
「おう。んで、その男なんだかよ。通称【幻狼フェンリル】って呼ばれてんだ。お前らが言ってる刺青は本物だ。あれからフェンリルが召喚される。それだけなら本体をぶっ倒せばいいんだかよ、本体自身もとてつもなくつぇぇから、軽くあしらわれてお陀仏だ。」
いきなりヤバいやつに絡まれてしまった........死ななかったのは、不幸中の幸いだろう。
「お前らが無理に抵抗してたら、今頃生きてなかっただろうよ。」
とりあえず観光は中止か........
俺TUEEEEになろう~電脳少女と元ニートの異世界冒険録~ 紗奈(ぷるぷる) @purupuruhasekai
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