極悪魔女の選択

 どうする事も出来ないまま俺らがあちこちさ迷っていると、女の声が聞こえてきた。

「あら、私の期待通りの子達ね」

 見た目は30代前半…ほどだった。黒い髪に黒いマント。紫の服に紺色の長スカート。まるで漫画の中の“魔女”だった。

「だっ…誰ですか…」

「あらやだ知らないの?私はこの世界でかの有名な吸血美少女のアリカ様よ!」

「…美少女?どこが…」

 …優世はこう言う時に限って阿保な性格を晒すんだ。美少女だろうがなんだろうがこの人に逆らったらマズイなんて事誰でも分かる。そしてよりによって年齢を指摘しやがった…

「良いじゃない何でも!」

 何だか怒り始めてしまった。絶対マズイ状況だ…何してくれてんの……

「…まあ良いわ。私もそろそろこの体から出たい所だったし。こんなババァの体より貴方達の様な若くて動ける体が欲しいのよ」

 ……いやかなりヤバい状況じゃね?俺らまさか体乗っ取られそうになってる?いかまさかな…ていうかこのアリカ?とかいう人自分が今いる体の事を貶しやがった…

「さぁて、どっちの子にしようかしら♪」

 呆然としていた俺らの後ろから、謎の男達が首をロープで絞めてきた。息をするのもやっとで、会話すら出来なかった。すると、その男の声が聞こえてきた。

「…悪気は無いんだ、海辺…牛沢…すまない」

「!?」

 一瞬で気付いた。こいつらは相原と秋岡だ。しかし相原と秋岡が何をしているか理解する暇などない。とにかく気を抜いたら死ぬと思ったからだ。

「…そうね、こっちの子にしましょ♪」

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児童失踪事件 猫田 @kantory-nekota

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