暗闇の中で
目覚めた場所は真っ暗闇で、何が起こったのか全く分からなかった。俺は確か学校から帰る途中で、家のすぐそこに居たはずだ。それ以降の記憶は全くないが…とにかく俺は1人が嫌いで、まずは人探しを始めた。
「…だだ、誰かいませんかぁ…?」
声が震えてうまく発音出来なかったが、返事は返ってきた。
「…う゛…うん」
1度咳払いをした後に聞こえた聞き慣れた低い声。…間違いない、牛沢だ。
「……牛沢か?あってる?」
「…誰。」
「…あ、ああ。海辺だよ。」
「…ああ海辺か。」
まあ誰であろうと人が居て良かった。1人ぼっちは寂しいもんな。
「…ん、灯り」
と言って牛沢は灯りを探しているのか、モゾモゾしだした。
「…あった」
ナイス牛沢!牛沢は懐中電灯の灯りをつけた。人がそこに居ると目で認識したことでさらに安心した。まずは今がどういう状況なのか整理しなくては…けど焦って思考が追い付かない。そんな中で牛沢は冷静さを保ちながら推理する。
「まあ俺の阿保な推理なんだけど。相原、秋岡、伊賀が行方不明になった事件、あっただろ。そして相原と秋岡が消えた次の日に伊賀が消えた。…そして俺らはそのまた次の日にここにいる…相原秋岡の共通点、それは頭文字の《あ》。そして伊賀は《い》。そして俺らは両方とも《う》。…これが五十音順に消えていってるとして、俺らはその消えてる対象なんだ。」
流石牛沢。成績は下の中くらいの低い方なクセに、こういう時は焦らずいつも冷静なのだ。ましてや牛沢が叫んだり困ったりしている所なんて1度も見たことが無い。こんな奴と頭文字が一致してるなんて、かなり運は良かったのかな?俺。
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