男子児童行方不明事件多発

「…真樹、どこいったの…」

 真樹を探して探して疲れきった早也香は、泣きながら1人で呟いた。結局真樹が1日経っても見つからなかったのだ。どうやら秋岡さんの所もらしい。その時、ある人から連絡が掛かってきた。

《…!相原さん!息子が…息子が帰ってこないんです!!》

 真樹のクラスメイトの伊賀雄太イガユウタの母親だった。どうやら今度は伊賀さんの所も息子がいなくなったらしい。

「…伊賀さんの所も…ですか…。私の所もなんです」

《ええ、知ってるわ…かなり遠くだったけれど、一緒に探したもの…でも、まさか雄太まで…》

 昨日から男子児童行方不明事件が多発している。だんだん誘拐事件の可能性が増えてきて、早也香は身震いをした。息子がさらわれていると思うと、恐ろしいどころのレベルでは無く、気が狂ってどうにかなりそうだった。

 次の日、PTAから連絡が掛かってきた。1組の海辺美快ウミベビカイと4組の牛沢優世ウシザワユウセまで消えたらしい。しかし、この2人が消えたとなると誘拐の可能性は少し薄れる。海辺美快は空手を習っていて、炎の魔法も幾つか持っているのでかなり有利なはず。そして牛沢優世はここらでも珍しい獣人の類で、爪を立てたり噛んだりして余裕に勝てるはずだ。だとすると、誘拐犯はかなり強い人物ではないと無理なはず。それに、海辺美快はこの近くで消えたらしいので、何か声が聞こえてもおかしくない。謎は深まるばかりで、結局その日も誰も男子児童は見付からなかった。母親たちは証拠も何もなく、ただ絶望するしか無かった。

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