俺たちSENMAKO

小桜あゐ

俺達SENMAKO

【声劇台本】

人数 2:1

時間 約30分

利用規約はプロフィールをご覧下さい


当台本は役のモデルが居ますが、

モノマネなどはしなくて大丈夫ですので

自分が思うままのSENとまこを演じてください。マネージャーのレイは名前を変えて下さって構いません。※自分の名前にする等好みに合わせて楽しんでくださいませ。




【登場人物】

SEN

MAKO

レイ





以下コピー用↓


『俺達SENMAKO』

作者:小桜あゐ

SEN:

まこ:

レイ:




以下台本


--------------------


まこ:今日は来てくれてありがとう!天気も味方してくれたみたいだな!


SEN:今日という日を俺達は決して忘れない。


まこ:きっとまた会えるから!


SEN:これは終わりじゃない、次への始まりだ!ラストミュージック。「first point!」


レイ(M):高校卒業と同時にデビューし、今や国民的なアイドルユニットとなった2人組『SENMAKO』。

大人でクールなルックスと響くような低音ボイスがダイレクトにファンのハートを刺激する、通称ビターチョコレート系のSEN。お兄さんのような優しく甘いマスクで誰もが甘えたくなる通称ミルクチョコレート系のMAKO。

私はそんなふたりのマネージャーを務めている。




レイ:2人ともお疲れ様!


まこ:あぁ、マネージャー、お疲れ。


SEN:ありがとう、マネージャー。


レイ:今日も2人のコンサートすごく良かったよ!


SEN:ありがとう、でもマネージャーが今日の差し入れ、俺のためにお弁当手作りしてくれたからだよ


まこ:………。


レイ:今日はちょっと早起きして余裕あったから頑張ったんだ!


SEN:へぇ!ほんとマネージャーって料理上手いよな!


レイ:そ、そんなことないよ!サッと作っただけだし!


まこ:あーあ、今日の振り返りもしないでお気楽だなお前は。


SEN:……なんだよ。


まこ:………別に。弁当ごときで力出るってんならお前の実力はそこまでだってことだな。


SEN:…は?


まこ:そーだろ?今日のサビ前のハモリ、音程ミスったろ。練習足りないんじゃね?


SEN:んだよ急に。マネージャーは俺達のために弁当作ってくれたんだ、それは間違いねえだろ。


まこ:はっ、自惚れんなよ。俺達は弁当食うためにやってんじゃねーだろ。んなこと言う暇あったら音程合わせる練習しろよ。


SEN:…っ!お前だってファンレター貯めまくってるけどそれはどーなんだ?!


まこ:どうでもいいだろ


SEN:どうでもよくねぇよ。俺達はファンあってこその俺達だろ。それに楽屋にお前宛のレター溜まってると邪魔くせえんだよ。捨てるぞ。


まこ:わりぃな?お前と違ってモテるんで。


SEN:何言ってんだ?MAKOでエゴサしてみろ。アンチいっぱいいるぞ?実は女の子取っかえ引っ変えしてるんじゃないのかとか。先輩に挨拶しねえとか…。


まこ:は?そんなのお前だって…


レイ:もういい加減にして!


SEN:…ごめん


まこ:…………。


レイ:……今日はこの後15時からアイクック(アイドルクッキングの略)の打ち合わせあるから。昼は自由に食べて。場所は第2ビルの会議室。いい?


SEN:わかった。


まこ:個別で行くってことね、りょーかい


レイ:近いからいけるでしょ。歩いて。じゃ私もご飯食べてくるから。




   レイ怒ったように出ていく。




まこ:さて、俺も飯食ってくるか


SEN:………おい。さっきの。


まこ:…なんだよ。


SEN:弁当の件。見たか、あのレイの寂しそうな顔。言っていい事と悪いことあるんじゃねーの。


まこ:弁当はうまかったのは間違いねえけどちゃっかりあいつに気に入られようとしてんじゃねーよ。そんなことしてる暇あるんならもっと他にやることあんじゃねーのって思っただけだよ。


SEN:なに?焦ったってこと?俺がレイに気に入られるのが気に入らないのか?


まこ:違うって言ってんだろ!……ちっ、お前といるとほんとイライラしかしねぇよ、飯食ってくる。じゃーな。遅刻したら解散だからな。


SEN:そのセリフそっくりそのままお前に返すよ。


まこ:減らず口が。



  まこ、外に出ていく。



SEN:…はぁ。






場転






レイ:はぁ。ついおっきな声出しちゃったな。

なんでこう2人は仲悪いのかなぁ…。結成した時はあんなに仲良かったのに…。

2人が喧嘩ばっかりになったのはいつからだったっけ、、もう覚えてないな…。

はあ、ダメダメ!切り替えなきゃ。

私は2人のマネージャーなんだから、私がこんなんじゃ二人ともほんとにバラバラになっちゃう。よし、気合いいれて!

えと、、明日は「超アイドル!」の収録があって明後日はドラマ「綺麗な青」の読み合わせ。そう言えば今度ヒーローもののオーディションあるって誰かが言ってたっけ?あの二人ならどっちがいいかなー、どっちも子供に人気そうだし…



レイM:そんなふうに喧嘩しながらもSENMAKOは超人気アイドルとして。私はそのマネージャーとして時を過ごした。SENMAKOの人気は止まらずあちらこちらからオファーが来て多忙な日々。今日はそんな2人に取材したいという人が来るらしい。私達は待ち合わせ時間の10分前には楽屋に集合していた。…が、、15分を過ぎてもその取材班は来ない。


まこ:おせぇ。


レイ:電話は何度かしてるんだけど…。


SEN:大丈夫かな?俺、少し見てこようか?もしかしたら道に迷ってるかもしれないし…。この建物、入口分かりにくいし。


レイ:あ、それなら私が…


SEN:あ、いいよ。マネージャーは休んでて。いつも走り回ってるんだから。たまには俺が行くよ。


まこ:……。


レイ:ありがとう。




SEN、外へ出ていく




まこ:…………。


レイ:……うーん。(伸びをする)


まこ:なあ?


レイ:ん?


まこ:お前…寝てんの?


レイ:え?何急に。起きてるよ?


まこ:そーじゃねえ。夜。寝てんのかって。


レイ:うーん。…正直言うとあんまり寝てないかな。


まこ:お前クマすげえんだよ。見てる方が眠くなる。これでも使っとけ。(何かを渡す)


レイ:…ホットアイマスク…?


まこ:使い捨てだから。今10分くらい使ってろ。すぐは来ないだろ。あの分だと。


レイ:…ありがと。


まこ:俺達のマネージャーなんだから他のとこ顔出す時は身だしなみ整えろよ。


レイ:ごめん…、気をつける。


まこ:……ちっ。


レイ:………。(アイマスク付ける)


まこ:………。


レイ:………。


まこ:…………。


レイ:…ねぇ。


まこ:…ん?


レイ:SENくんのこと…嫌い?


まこ:あぁ、嫌いだな。


レイ:どうして?


まこ:さぁ?あっちが嫌ってるからじゃね?


レイ:嫌ってる…のかな


まこ:嫌ってるだろ何かっちゃ俺に突っかかってきて


レイ:それはまこくんもだと思うんだけどね。


まこ:………説教?


レイ:ううん。そんなんじゃないよ。


まこ:黙って寝てろよ。


レイ:…………。


まこ:なんでこんなんなっちまったんだろうな


レイ:…え?


まこ:なんでもねーよ!


レイ:………。



SEN(M):その後無事にスタッフは到着し、俺たちは取材を受けた。2人の馴れ初めやアイドルとして大事にしていること。プライベートのこと。将来のこと。色々なことを話しているうちにあっという間に時間が過ぎていった。



まこ:はぁー、疲れた。


レイ:今日もお疲れ様。


SEN:ありがとう、なんか懐かしかったな。


レイ:そうだね!色々思い出した!


まこ:まぁ、な。


レイ:2人がアイドルオーディション受かって顔合わせしてる時に私が部屋間違ってSENMAKOの部屋入っちゃったなんて…あははっ。


SEN:あの時のマネージャーの戸惑った顔!


レイ:緊張してたから間抜けな顔してたかも!


まこ:マネージャー


レイ:…ん?


まこ:この後は予定あんのか?


レイ:この後は…


まこ:もし予定無いなら歌の練習したいから付き合って欲しかったんだけど


レイ:あ、、ごめん。今日私がダメなんだ。2人はフリーだよ。あと30分は時間あるけど。


SEN:マネージャー、最近ずっと忙しそうだよね。休みないみたいだし…。大丈夫?


レイ:大丈夫だよ!2人が国民的アイドルになった今、私も頑張らないと!


SEN:あんま無理すんなよ


まこ:……飲み物かなんか買ってくる


レイ:うん




まこ、外へ出ていく




SEN:はぁ。


レイ:…大丈夫?


SEN:なんか…なんでこーなんだろーなって。


レイ:………。


SEN:俺達は今や国民的アイドル。ファンの間で同性愛を囁かれる程仲の良いSENとまこ。それが裏ではこんなん。


レイ:……仲直りしたら?


SEN:できたらしてるよ。


レイ:素直じゃない


SEN:いちいち癪に障るんだよな、


レイ:………。


SEN:ごめん、こんなん嫌だよな。マネージャーが1番困るよな。


レイ:私は……


SEN:……。


レイ:2人には仲良く居て欲しい


SEN:…そーだよな。


レイ:でも、それを決めるのは2人だから。

どんなSENMAKOでいたいのか、私はそれには口はださないよ。


SEN:マネージャー…。



まこ、帰ってくる



まこ:おらよ、適当に買ってきたから飲めよ。


SEN:………ありがとう


まこ:お前の分はねーよ。


SEN:………。


レイ:……………ありがとう、私はいいや、

あんまり時間無いしもう行くね


まこ:1本くらい持ってけよ


レイ:いらない。じゃあ。



レイ、外に出ていく



まこ:…………。


SEN:ほんとお前って………。


まこ:んだよ。


SEN:別に。





場転





レイ(M):廊下を歩きながら2人のやり取りを思い出す。2人はお互いにこのままでいいとは思ってないんだ。まこくんは嫌われていると思っていて、SENくんは仲直りできるならしてるって。どうにか2人を仲直りさせたいな。それが私の役目でもある。あ、そういえば結成5周年大規模ライブの詳細2人に言ってない!日にちはまだだけど…言っておくべきだったな。今日の打ち合わせも大規模ライブのことだし、打ち合わせ終わったらまとめて2人には言うことにしよう。なにをしたらいいんだろう?2人のために何が出来るだろう?そうやって私の中では仕事の傍ら、着々と2人の仲直りプロジェクトが練られていた。




場転 パーティ会場



レイ:ドラマ収録開始記念の打ち上げなんて初めてじゃない?しかもこんな立派なパーティ。…まるで披露宴みたい。


SEN:あぁ、珍しいこともあるんだな。


レイ:今回の『海底の海月(くらげ)』監督の小林監督が宴会好きみたいだから今後もちょくちょくあるかもね。主演の山谷 隆一(やまや りゅういち)もパーティ好きって聞くし。外には「星の展望台」っていうところもあるみたいだよ!


SEN:そうみたいだな。


レイ:ちょっと興味あるな〜。綺麗な星が見られるなんて…。あとでちょっと行ってみようかな!


SEN:あー。俺も行ってみるかな。(他の人から話しかけられ)あ、おめでとうございます、アイドル「SENMAKO」のSENです。


レイ:マネージャーのレイです。MAKOの方ですか?えと、ドラマのオファー来たのがSENだけだったんです。…そんな!違います。別々の仕事する時もあるんです。ドラマなんかは特に。


SEN:『ひだまり公園』なんかはMAKOがでてますよ。


レイ:あんまりネタバレはちょっと……。あははっ。あ、ありがとうございます!大丈夫です、お酒は…あの、、そんなに強くないので…。


SEN:ありがとうございます。


レイ:ありがとうございます。


SEN:………。


レイ:……行ったみたいだね。


SEN:無理して飲まなくてもいいんだぞ、


レイ:せっかく注いでくれたから…。


SEN:そーゆうとこ、律儀というか…。


レイ:え?


SEN:いいんだよ。なんでもない。


レイ:……(お酒を飲む)


SEN:そういえば結成5周年大規模ライブのことだけど、曲は決まったのか?


レイ:うーん、インタビューきいてて思ったんだけど、結成した時の曲と最新の曲、あと1番ヒットした曲がいいんじゃないかと思って。あとはまだ考え中。


SEN:…となると『白黒チョコレート』と『刹那(せつな)の夢』と…今練習中の『SUMMER ENGINE(サマーエンジン)』か。


レイ:うん。あと1曲迷ってるんだけどね…(ふと遠くの人を見つけ)あ、あの人…。ちょっとごめん挨拶しなきゃ行けない人いるから行ってくるね!回ってて!



レイ、駆け足で去っていく



SEN(M):去っていくマネージャーの背中を見つめながら俺は先程注がれたワインを口にする。


SEN:…?これ、結構…強いかもな。


SEN(M):ちらりとマネージャーをみると楽しそうに笑うレイの姿があり思わず笑みが溢れた。


SEN:あんな顔するの久しぶりに見たかも。


SEN(M):自然と口角が上がってしまった事に自分でも少し驚いたが、すぐに他のスタッフから声を掛けられ我にかえる。その後は過去に共演した事がある人にも会い、しばらくそれぞれの時間を過ごした。


SEN:あの時はありがとうございました!はい、また!…ふぅ、さて、やっと挨拶周りも終わったかな。これからなんか始まるのか、、。レイ…マネージャーはどこいったんだ?


SEN(M):俺は会場を見渡す。

何も言わずにいなくなるなんてらしくない。

そんな時、ふと目に入ったのは「星の展望台」の看板。


SEN:もしかして…


SEN(M):おれはゆっくり階段を登った。



場点 星のよく見える展望台



SEN:マネージャー。


レイ:…SENくん。


SEN:こんなとこにいたのか。


レイ:うん、ちょっと酔っちゃって。


SEN:だろうな、あのワイン、アルコール強めだったし。弱いのに飲むから。


レイ:マネージャーの同期に会って、つい話盛り上がっちゃってさ。


SEN:楽しそうだった


レイ:見てたの?


SEN:目に入っただけだよ


レイ:それを見てたって言うんだよ?


SEN:仕方ないだろ、、可愛いんだから


レイ:………?


SEN:はあ、、にしてもここ、綺麗なとこだな


レイ:ロマンチックだよねえ、貸切だし!


SEN:会場の方は今イベント中みたいだからな。


レイ:戻らなくていいの?


SEN:大丈夫、スタッフには伝えてあるから


レイ:嘘だぁ


SEN:…さすがに嘘だな。まぁ、でも共演者に聞いたんだけどイベントは俺らは見てるだけで小林監督が長々話するだけらしい。参加者1人いなくなってもわからないよ。


レイ:ふうん。


SEN:………なあ、、もし………。


レイ:………。


SEN:…………。


レイ:……もし?


SEN:…や、やっぱりなんでもない。忘れて。


レイ:えー?!なに?気になる!


SEN:ほんと、大したことない事だから。


レイ:ふぅん、変なの〜。

あ!こんな所に椅子あるんじゃん!


SEN:あははっ、ガキみたいだな


レイ:ガキって!


SEN:あははは、ごめんごめん


レイ:もう!…はぁ。


SEN:…マネージャー?


レイ:レイ。レイって言ってよ。


SEN:レイ。


レイ:SENくん、私、時々不安になるんだ。


SEN:…?


レイ:2人のマネージャーでいいのかなって。私なんて要領悪いし無駄にバタバタして、

空回ってばかりで…。


SEN:……そんなことない


レイ:私がもっと上手くできたら2人はもっと…………。


SEN:レイ…?


レイ:………(zzz)


SEN:…はぁ。こんなとこで…。


レイ:………(zzz)


SEN(M):俺はその場でタクシーを呼んだ。もし、俺がお前を好きだって言ったら…なんて言えなかった。それはレイもまこもファンの皆も、裏切ることになるから。それにレイを困らせることになると思ったから。監督には帰ることを告げ、そのままレイを抱えタクシーに乗り込み、家にレイを送り届けると真っ直ぐ家に帰った。




場転



レイ(M):そのまま家に届けられた私は深い眠りに落ちた。…朝。SENくんが目覚ましを掛けてくれたのであろう。昨日の記憶はうっすら覚えている。少し痛い頭を抑えながら起き上がる。ぼーっとする頭を起こすようにコップ一杯の水を飲む。そして朝の支度を済ませた私は外にでた。今日は寒いな。私はいつもより厚着をして楽屋に向かった。



場転 楽屋



まこ:おい!ふざけんじゃねーぞ!


SEN:だから何の話だよ!


まこ:とぼけんなよ!ここに証拠はあんだよ!


SEN:は?証拠?


SEN(M):見ると俺がレイを抱えレイの家に入る所だった。見かけた誰かがSNSに投稿したらしい。


まこ:どうゆうことだよ?


SEN:いや、昨日のパーティでレイが潰れたから家に送り届けただけだけど…


まこ:は?お前が飲ませたんだろ?家に入るために。


SEN:んなわけねーだろ。お前だって知ってるだろレイが疲れてんの。普段ならパーティの最中に寝たりしねぇよ。


まこ:は?なにレイとか言っちゃってんの。恋人気取り?そうゆうのが腹立つんだよ。


SEN:……っ!/////


まこ:言っとくけどお前がマネージャーのこと好きなことは知ってんだからな。


SEN:なっ、……お前に言われたくねえ。


まこ:…は?


SEN:お前だって!あいつのこと好きだろ!俺にいつも嫉妬して突っかかってきて1番アイツを傷つけてんじゃねーのか!?


まこ:嫉妬なんかしてねえよ!アイドルってのは恋愛禁止って決まってんだよ!それをお前がマネージャー口説くような真似してんじゃねーか!


SEN:口説くって…!お前、そうゆうのが嫉妬っていうんだよ!本当は好きなクセに、


まこ:あー好きだよ、何が悪いんだよ?お前みたいに好き丸出しなのがダメだっつってんだよ頭わりーな!


SEN:好き丸出しはお前だろ!だいたいお前は………あっ…。(扉に立っているレイに気づき)


レイ:……………。


SEN:レイ……。


まこ:ま、マネージャー…。


レイ:…っ……。



レイ、走り去る



SEN:……………。


まこ:……あーあ。


SEN:………聞かれた…な…。


まこ:……追いかけねぇの?


SEN:…………。


まこ:……………。




場転




レイ:はぁ、はぁ…。


レイ(M):……そんな…。2人が喧嘩してる原因は私…?確かに思えばいつだってそうだった。私がどちらかと親しくしていればどちらかが不機嫌になって…。

2人から逃げるように走って走って…気づくと私は楽屋から家の方に走っていた。


レイ:けほ、けほ、、


レイ(M):朝から感じていた頭痛が強くなっていることに気づく。悪寒も。足がガクガクして思わず近くの公園に駆け込む。みんなが学校や仕事に行くこの時間。公園には誰にもいなかったため休むのにはちょうど良かった。日差しが強い時に休めるようにと設置された屋根付きの小さな小屋。そこに入り、座り込む。


レイ:はぁ、はぁ、寒い…。


レイ(M):頭がグルグルし、思わず椅子に横たわる。止まらない悪寒に蹲る(うずくまる)ようにして目を閉じた。



まこ:……レイ。…レイ。


レイ:ん…………


まこ:大丈夫か…?


レイ:わたし…。


まこ:さっさと家帰るぞ。こんなとこいたら目立つだろ。


レイ:……


まこ:お前、そんな赤い顔して…。熱あんのに出てきたのか?


レイ:熱?


まこ:まあいいや。ほら、俺がおぶってやるから背中乗れよ。


レイ:いいよ、歩…(ける)(言い終わる前に目眩で倒れ込む)


まこ:ほら。そんなフラフラな状態で歩かせてたら俺が職質されるから。早く。


レイ:ごめん、、


まこ:…重。


レイ:…やっぱり降り…(る)


まこ:嘘に決まってんだろバカか。行くぞ。


レイ:……。


まこ:すぐ近くだったよな、家。


レイ:…うん、そこの角曲がって…緑の屋根のアパート。


まこ…あれか。


レイ:っ…けほっ、けほっ!ご、ごめ…。


まこ:謝んな。


レイ:……。


まこ:元はと言えば……俺達のせいだしな。

…悪かった。


レイ:うん。


まこ:…………。


レイ:………。


まこ:………。


レイ:…あの、いいよ、もう、歩ける。


まこ:ちょっとは甘えたらどーなんだ?


レイ:……。


まこ:それともSENのことが好きなのか?


レイ:……ちがうよ。私は2人のマネージャーで好きとか…。


まこ:言うと思った。


レイ:………。


まこ:誰よりも一生懸命で、誰よりも俺達のために動いて、誰よりも努力する。そんなレイが俺達は好きになった。でもレイは『SENMAKO』の一員。どちらかを選ぶなんてしないこと、二人とも分かってるんだよ。…分かってるんだけどな、、。


レイ:………。


まこ:ごめん。お前に、レイに甘えてたかもしれない。嫌な思いさせたよな。


レイ:…………。


まこ:けど俺は、俺のパートナーはSENしかいないと思ってる。SENがレイのこと好きってとこは嫌いだけど、このまま『SENMAKO』は変わらずあり続けると思う。大丈夫、お互いに心の底から嫌いとは思ってないよ。


レイ:……うん。


まこ:ほら着いたぞ。鍵よこせ。


レイ:はい(渡す)


まこ:…………。


レイ:ここでいいよ。


まこ:嫌だよ。SENだって入ったんだろ?家。俺も入った方が公平だからな。


レイ:…………。



鍵を開け、2人、中に入る



まこ:………………。


レイ:………………。


まこ:寝室入るぞ。


レイ:………………。


まこ:…おい起きてんのか?


レイ:起きてる


まこ:はぁ、ほら、降りろ、熱測れ。


レイ:…うん。


まこ:なんか作るから。寝てろ。


レイ:……うん。



レイ(M):そう言ってキッチンに消えていくまこくん。パジャマに着替えてぼーっと天井を見上げながら体温計を脇に挟む。私は最近の出来事を整理しようと上手く頭が回らず断念した。


まこ:………熱何度だった?


レイ(M):体温計が鳴った後すぐにまこくんがちょうどこちらに顔を出す。


レイ:37.2。


まこ:嘘。体温計見せろ。


レイ:……………。


まこ:38.4。


レイ:………………。


まこ:ごまかせると思った?お前のことおぶってんだから微熱じゃねえことくらいわかんだよ。舐めんな。


レイ:ごめん、、


まこ:卵雑炊と鮭雑炊どっちがいい?


レイ:卵


まこ:ん。できたら起こすから寝てろ。


レイ:ありがと


レイ(M):そう言ってまこくんは再びキッチンに消えた。私はまこくんの言葉に甘えベッドで目を閉じる。体は辛かったけどなんだか心が暖かくなるのを感じた。

まこくんは雑炊が出来たと言って私を起こした後、仕事があると言って楽屋に戻って行った。

SENくんもきっと今頃『海底の海月』の撮影をしているだろう。私は早く元気になって2人のサポートを頑張らないと。そう決意した。



場転 楽屋



レイ(M):数日後私の風邪はすっかり治った。思ったより長引いてしまった風邪を恨んだがなんとか2人とも活動を進めてくれていたらしい。問題事は何も私のところには流れ込んでこなかった。そして久しぶりに楽屋に顔を出すことになった今日。


レイ:ふう。…あの時は逃げちゃったし…

ちゃんと謝って今日から頑張るんだ。SNSの投稿も誤解解かなきゃいけないし…今日から大忙しだ。…よし。


レイ(M):ドアノブを掴み、軽く深呼吸した後勢い良く扉を開けて驚く。


レイ:…SENくん…?まこ…くん?


レイ:誰もいない、がらんとした楽屋。机には一通のメモ紙があった。


レイ:「第3スタジオに来て」


レイ(M):急に仕事が入ったのかと慌ててスタジオに向かう。そしてスタジオに入った。

真っ暗なスタジオ。私が扉を締めると同時にステージのスポットがついた。

そこにはいつものSENMAKOの姿ではなくタキシード姿の2人が立っていた。


レイ:…!…ど、どうしたの…?


SEN:レイ!結成5周年大規模ライブの曲、『白黒チョコレート』と『刹那(せつな)の夢』と『SUMMER ENGINE(サマーエンジン)』そしてもう1曲迷ってるって言ってたよな?


まこ:曲を作ったんだ!2人で。1番にレイに聞かせたくて。…だから…


SEN:今日はレイのためのコンサート。


まこ:貸切コンサートだぞ?衣装も手作り。


SEN:曲名は…


SENまこ:『愛size』


レイ(M):2人は歌った。それはSEN、MAKO、レイのことを歌う歌詞。

愛というものは大きさや形は様々だがどれも無駄なもの要らないものはない。ちっぽけな愛だってそれは愛に変わりはない。どっちが大きいかなんて関係ない。俺達の愛を受け取れ。2人の愛を受け取れよ。

そんな歌詞だった。

2人は今までみたどんな時よりも輝いて見えた。まるでお互いの全てを許し、お互いの全てを分かちあっているような、そんな一体感だった。



場転



レイ(M):そして数日後。

結成5周年大規模ライブ本番。


SEN:よし、いくか。


まこ:レイの弁当も食ったしな?


SEN:あぁ。相変わらず美味かった。


まこ:SEN、お前いつもそれ言うよな。


SEN:美味いからな。


レイ:ふふ、ありがとう


SEN:よし、レイ、そこで俺達の勇姿を見届けてくれよ!


まこ:瞬きしたら承知しねえから!


レイ:うん、行ってらっしゃい…!






ーーENDーー

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俺たちSENMAKO 小桜あゐ @kozakura_ai

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