第2話「衝撃のフォカヌポウ」

サイバーエンド・ウラシマ 第二話「衝撃のフォカヌポウ」




 迫り来る八機のフロート。時刻は午前十時。日光に照らされキラキラ輝く水面の直上を、フロートたちは飛行する。フライトユニット標準装備の高性能機である。鮮凪町の技術でもフライトタイプのマシンを製造できるが、それはそれとしてコストがかかる。汎用性に優れたヌルポガの量産を考慮すると、単独飛行能力はオミットせざるを得なかった。


 ……だがそれは、他のマシンに役割を委任すれば良いだけのこと——ライコウの発案によってそのマシンは開発された。


「海上から遠距離攻撃を仕掛けるつもりなのだろうが……甘い、甘すぎるぞ長海町民。具体的にいうとクリームパンぐらい甘い」


 部隊長ランチャー武梨は大変わかりやすい喩えでフロートたちの行動を読んだ。そして——


「フォカヌポウ部隊、行動開始!」


 ランチャー武梨の号令に呼応するかのように……というか呼応して五機のフォカヌポウが擬態迷彩を解除、姿を現した。フォカヌポウはフライトユニット『コポォ』を装備した空戦特化のマシンだ。その雄大なる姿を見たライコウは、「あーこれアレじゃん、エルフ・ブ——」と言いかけた直後、テナガザルのようでええやんかと言い直した。


「隊長! フォカヌポウ部隊、いつでも行けます!」

「よし、今すぐ『ブラサガー・リング』を出せ」

「了解であります!」


 直後、飛行を開始したフォカヌポウの下部より輪っかのついたワイヤーが垂れた。これこそがブラサガー・リング。これにぶら下がることでヌルポガは空中戦を行えるようになるのだ。これを見たライコウは「あー、そういう感じにするならもう普通にヌルポガ用のフライトユニット作っても良かったんじゃない?」と言ったため開発陣に「そういうの先に言え」だとか「だから俺ら最初にそう言ったじゃん」だとかボロクソに言われたのでその日は早退した。


 兎にも角にもこれでやっと状況説明が終わったので次回ついに戦いが始まるのだった。


 次回『鉄壁のフロート』に続く。

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サイバーエンド・ウラシマ 澄岡京樹 @TapiokanotC

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