あえての未読スルー -高校からの腐れ縁-

@ryryry

第1話-年下の彼

ある日の深夜、高校からの腐れ縁Mよりチャットアプリの通知が鳴った。


『すまん、今すぐ電話に出てくれ』


チャットアプリのトップに不吉すぎるメッセージ。


私は黙ってスマホの電源を落とした。


翌朝、スマホの電源を入れると通知が45。


ヤツにしては、なかなか少ない方である。


通勤時間はもっぱら無料漫画アプリで暇つぶししているのだが、この時なぜか、高校時代のヤツの後ろ姿がちらついて、通知を開いてしまった。


10連電話マークをスルーしてからの本題である。


『10年下の大学生彼氏が出来たんだけど』

『どうしていいかわかんねぇ』

『10とか自分で書いてて引くわwやばw』

 <略>

『ってわけでー、近々飲みいこ!』


テンションのウザさはともかく、冷静に考えてから返しを打ち込む。


『え、ごめん。妄想じゃなく?』


スタンプを探している間にすぐに既読がついた。


どんだけ話したいんだよwとヤツの顔を想像してニヤついてしまった。


『マジ!真剣と書いてマジなんだよ!私も夢だと思って何度か確認したんだけど!!……やばくない?』


打つの早えな。


フリックができない私は、都度ぽちぽち"あかさたな"を打ち込んでいる。


だからこういう時によく、予測変換の頭の悪さに腹が立つ。


『へえ~夢じゃなかったんだ!? やるやん』

『てか、10下とか会話通じんの?』


『全然♡ 彼、大人っぽいから♡』


ハイ、キタ。


この時すでに、これは"アカンやつ"だと思った。


『冗談のテンション以外で♡とか使うなよw』


『えへへ』


返しも正直、キモい。


猪突猛進&恋は盲目モード♡のヤツは、たまにこんなテンションになる。


新卒社会人のとき、紹介したい彼氏がいる……と言われて一度だけ当時の彼氏と飲みに行ったことがあるが、腕を絡ませ机の下で終始恋人繋ぎ。


行動制限されて面倒ではないのか?


そんな疑問は愛の前には無用である。


『今度、紹介するから飲みに行こ♪』


親しい友人として認めてもらえていることは大変喜ばしいが、前回と同じテンションなら、正直願い下げだ。


気持ちはわからんでもないが、男の前では常にかわいい女の子になってしまう。


そんな彼女を少しだけ尊敬している。真剣マジで。


『はいはい、今度ねー!』




いつも思うが、!マークはテンションを上げてくれるとても便利な記号だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あえての未読スルー -高校からの腐れ縁- @ryryry

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る