【誕生日】- 終

―――ジェットコースターから下りた私はまだ胸がドキドキしていた。一番前ってほかの席とは違ってあんなに早くて気持ちいいものなんだ!


そのあともメリーゴーランドやコーヒーカップなどの色々なアトラクションに乗り私たちは遊園地を楽しんだ。

あらかた楽しんでいたが帰る前に私は少し首が痛くなっていた。皮が剥がれているようなヒリヒリした痛み。まぁでもこんなに外で陽に当たりながら遊んでいるんだ、日焼けでもしているのだろうと痛みを我慢しながら今のこの時間を楽しんだ。


×  ×  ×


―――夜。


遊園地からお父さんの車で家に帰ってきた。夕飯は車でお母さんが話していた通り、脂身がぎっしりのっている原始肉みたいに大きい骨のついたお肉だった。


中のお肉は火がしっかり通っているにも関わらず赤く、脂身は白く、味はとろとろとした美味しさだった。

他にも朝にも出てきた生ハムのサラダ。骨でダシをとった濃い味のスープ。ささみを使ったトマトチーズ焼き。お肉をつかった炊き込みご飯。ここまで手の凝った料理を食べるのは初めてだった。

私はしっかりと味を噛みしめながらそれでいて、すぐ食べ無くなった感覚がした。

こんなにおいしい料理ははじめてだ。やっぱりお母さんが作る料理はおいしい。


「お母さんありがとう、今日すっごく楽しかったし料理おいしかったよ。ご馳走様。」


私は廊下へと続く扉をあけると

「ナコ、おやすみなさい。」

「ナコおやすみ。」

二人にそう言われ私も、


「お母さん、お父さんおやすみなさい。」


そういい扉を閉めた。



階段を上がる途中で太ももや腕、お腹が痛く感じた、遊園地の時にもあった首の痛みもある。

もう見慣れた光景がただただ夕飯のお肉を思い出させる。大量の赤いペンキが階段に滴る。



彼女の両親以外の誰も知らない。

知っているのはあなたと私だけ。


あの食べたお肉は彼女ナコの人肉だということを。



ナコは知っている。


止まることのない大量の血液、赤と白の柄の中に骨が見えるこの体、焼かれ爛れた足や腕、薄くスライスされた首が大好きな両親に食べられているという事実も。




【誕生日】無子。

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ナコの誕生日 㐂咲七々 @kisaki-nanana

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