第20話

 僕たちは海へ来ていた。真夏の湘南の海だ。


「けっこう混んでるねぇ~」


 夏の湘南は海水浴客やサーフィン客で賑わう。今日もまた例外なく混雑した海だ。


 夏の湘南といえば様々な歌手に寄って歌にされており、江ノ島を眺めながらの海水浴は何物にも替えがたい良さを持っている。


「それじゃ、海の家に行こっか!」


 上機嫌の千歳が僕たちを先導する。江ノ電江ノ島駅を降りた僕たちは片瀬海岸へと向かっていった。


 片瀬海岸に到着し、たくさんの海の家が見えてきた。僕たちは近くの海の家に行き使用料を払い、昨日買った水着に着替える。


「これで海に行くのやっぱ恥ずかしいよ……」


 布面積が少なく、露出の高いビキニを着た僕は、改めて自分が女の子用のビキニを着ているということに恥ずかしくなってくる。


「おっぱい大きいからもっと自身を持って!堂々と出ていけば大丈夫!」


 千歳が僕の背中を押すが、それがかえって恥ずかしさを加速させる。


「おっぱいが大きいって……、男たちに色目を使われるのはちょっと……」


 中身は男の僕が同じ男に色目を使われるのは困る。しかしここでごねていてもしょうがないので、千歳の後ろに隠れるように外に出る。


「海だーーーーー!」


 千歳が声を張り上げる。外では先に着替えた涼平が僕たちのことを待っていた。


「お二人さんともお似合いで」


 少し冷やかすような口調で涼平が言った。だが、たしかに千歳はビキニがよく似合っている。その豊満な双丘はビキニから溢れんばかりである。


「もう、冷やかすなよ。僕だって好きでこんな格好してるんじゃないんだぞ」


 僕は涼平をかわしながら、海の方へと向かっていく。


「つめたっ!」


 海に足を入れると、案外海が冷たいことに驚きを覚える。プールしか行ったことのない僕はプールのような生暖かい水温を想像していたが、実際の水温はかなり冷たかった。


「海は広いからねー、夏の海もけっこう冷たいんだよ」


 何度か海に行ったことのある千歳は僕に語って聞かせる。


 僕たちは海の冷たさや潮風を肌に感じながら海へ入っていく。僕たちは海で泳いだりビーチボールで遊んだりしながら、時間を過ごしていく。


「そっちにいったぞ!」


「やっぱ涼平はボールの扱いが上手いなぁ」


 僕たちはそんなことを喋りながら海での時間を過ごすのだった。

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僕と幼馴染とクラスメイトと カベワン @kabeone

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