優先すべきは、感情か、それとも倫理か?

 「十七歳は、死にたくなる」と、主人公の男子高校生は考えていた。そして、主人公が考えるこの論理と同じセリフを、主人公が憧れるクラスメイトが言った。
 主人公はなんとなく、自殺未遂をして、そのクラスメイトから助けられる。そして、「逆光の自分」に負けないように、という意味深な言葉をかけられ、夜中の神社で待ち合わせることになる。そこで主人公が憧れ、恋焦がれるクラスメイトが、人肉を貪り食らっていた。彼女は、枝分かれした別の世界からやってきたのだと言う。そして彼女の世界では、人肉を食らうことが、それほど衝撃的なことではならしい。もちろん、主人公は恐怖を覚える。
 そして高校を休もうとしていた主人公の家に、彼女が現れる。
 その道すがら、彼女が言うことには――。
 果たして、主人公が選ぶ答えは?

 「逆光の自分」、「枝分かれした世界」、「ドッペルゲンガー」。
 いくつかの理論。そしていくつもの感情と倫理。
 
 たった一万字だが、込み入った論理形成には、目を見張るものがある。作者様の思考と象徴化、そして確かな筆力のなせる業だ。

 是非、御一読下さい。