第4話 さらばだ!

あの屈辱の敗北から数日が経った。

今日は所属する組織が休みのため、俺は街の中心部へ赴いた。

こんな街でも中心部にはダンジョンが立ち並んでいる。この辺りでは十層から二十層ほどのダンジョンが多いが、大きな街だと六十層のダンジョンもあるらしい。

俺はその中の一つ、二十層ほどのダンジョンへ入った。

階段で一層ずつ攻略してもいいのだが、上級者の俺には攻略の必要はない。

入ってすぐさま転送装置を使用する。十と書かれたボタンを押すと不思議な力が働き転送装置が動き出す。わずか数秒で十層まで転送された。

他の階層はわからないが、この階層はセーフティゾーンのため人間しかいない。


「お久しぶりです。今日は何かお捜しでしょうか?」


入るなり若い小太りのドワーフが話しかけてくる。現在の部屋を斡旋したのもこのドワーフだった。


「あぁ、実は拠点を変えようと思っているのだ」


「条件などはありますでしょうか?」


「できれば今の部屋から近いほうがいいな。それと一階以外で頼みたい」


「現在のお部屋は一階でしたね……。何か問題でもございましたでしょうか?」


こいつ……、知っていたのか!?

確かにおかしいとは思っていた。比較的新しい部屋で窓も二箇所あり、湯浴みと厠が別にしては安いと思っていた。


「ヤツらの数が多すぎる……」


俺は正直に答える。決してヤツらにびびっているわけではない。あまりにも多すぎるのだ。


「……」


「知っていたのか?」


「えぇ……、以前お住まいの方も同じ理由で退去されましたので……。その分家賃はお安く設定させていただいておりました」


そうだ、一つ目の窓の下には住人がゴミを入れる箱、もう一つの窓の下は魔法的な力で水やガスを吸い上げる全部屋の配管が集まっている。ヤツらの格好の住処であった。


「貴様、何も言わなかったではないか?」


「いえ、あ、はい。業者に駆除を依頼していましたので……。そのかわりといってはなんですが、お安く紹介しますよ!」


悪びれる様子もなく次の部屋を案内すると嘯くドワーフに唖然とする。

が、俺は寛大だ。安くなるのなら許してやろう。

その日の内に内見とやらを済まし、次の部屋を決めた。

転送装置のない四階ではあるが背に腹はかえられない。




荷物をまとめて二年住んだ部屋を後にする。


「あぁ、お前らの勝ちだ……。いい闘いだったよ」


これでヤツらとの闘いも終わるかもしれない……

そうは思ってはいるが、俺は手放すことができない……


この、“ゴキブリハンター”という武器を!


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侵略者 とっぴんぱらりのぷ〜 @toppinparari

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