黄金色の空へ

作者 ながる

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★★★ Excellent!!!

『俺』の前に、見知らぬ男が現れる。開口一番、「羽を選びませんか」と。
夢のあるファンタジーな作品。それとも夢そのものを描いたお話。
読み進めると、どれも少しずつ外れていることに気付かされる。

男がなぜ『俺』のもとに現れたか。男はなぜ、身分をそう名乗ったのか。読み終えてようやく、なんとなく、それが理解できる。

『俺』は希望する羽を選び、偽りなく飛び立つ。
どうしてそれを選んだのか。飛び立った先、どうなるのか。はっきりとはどこにも書かれていない。
けれど、分かる。

描かれているのは、郷愁と回顧。そして、現在(いま)。
それなのに読後に思わせられるのは、飛び立った先の、そのまた向こうにある未来。
きっと明るい、素晴らしいものだろうと。

驚きと物悲しさも、現実の『俺』の姿を見れば、ほんの一時のことと分かる。
なにもかもが行間に仕込まれた、語り過ぎない、素晴らしい短編でした。

★★★ Excellent!!!

読み進めるごとに、深みを帯びてくる、情感豊かな作品です。
少し不思議な作品かなと読み進めると、次第に郷愁を誘われ、そして語り手の現在の状態が明らかになると、飛ぶ、ということの世界の広がりと自由さが見事に立ち上がってきます。
ラストは少し悲しく、けれど晴れやかで美しい旅立ちで、朝焼けの中に飛び立っていく姿に心地よい余韻が感じられます。
短い中に、ぎゅっと豊かな心の詰まった作品です。

★★★ Excellent!!!

懐かしいような、切ないような……とにかく拝読後一番の印象は、「このお話、すっごく好き……!」でした。

突然やって来た黒スーツの男性が差し出したカタログ。そこにはさまざまな美しい「羽」の写真が。そこから自分の好きな羽を選べと言うのですが……
主人公がどんな羽を選んだかは、本編でご確認ください。
私はその羽を持つ生きものの描写の辺りで、「ああ、確かにそうやって飛ぶなぁ」と、懐かしさや切なさが胸に迫って涙ぐんでしまいました。

本当にあたたかで美しくて、優しい物語です。
ぜひぜひご覧になってみてください!