第79話 ホテル
「ご利用ありがとうございました。どうでした? 楽しめました?」
「はいっ! 可愛かったし、一生の思い出になりました」
嵐山を堪能した俺たちは次の場所に行くために着物を返しにお店に戻ってきた。ちなみに俺の思い出は半分以上が最後のキスに持っていかれてしまった。蕩けさせられてしまいました。
私服に着替えたら次に行くところは四条河原町だ。次ばショッピング。そしてそのままホテルへ行く予定。
うん……? ちょっと待って欲しい。別に変な場所ではない。お金のない高校生。ビジネスホテルに決まっている。
最初は一人ずつ別の部屋に泊まる方針で予約とろうと思っていたのだが、予約確定ボタンをクリックする直前、瑞波にかけれた。
「何で大樹くんと一緒の部屋じゃないの!」
俺の部屋からリビングにいる母さんまで絶対聞こえただろう大きな声でそう言った。あの後、瑞波が帰った後の母さんのニヤニヤした顔は一生忘れることはないだろう。俺のトラウマだ。
「ほらほら、こっちのダブルで寝れる部屋にしようよ。本当は旅館とかがよかったけど流石に仕方ないないよね。だからこそこっちのダブル! 大樹くんがポチッとしないなら私がするよ?」
「ちょっと待て、ちょっと待て! これは流石にダメだろ? 年頃の男女が同じ部屋どころか同じベッドなんて」
こんなの誰かにバレたら1発アウトだぞ。瑞波そこのところ分かってるのか?
「良いじゃん。私、大樹くんと一緒のお部屋で楽しくその日のこととかお話ししたいし大樹くんの温もりに包まれて寝たいよ」
「瑞波もうやめてくれっ!」
恥ずかしすぎて死ぬ。ここまで愛されていることを実感して心臓がやばい。
「じゃあこっちのダブルの部屋にするね。料金もこっちの方がお安いからこっちにしない手はないってことで」
「もう好きにしてくれ……」
と、まぁこんなことかあったのだ。絶対に何もしないことは約束します。
「オシャレなお店とかたくさんあるんだろうね。服とか大樹くんと2人で良いの探したい」
「四条河原町とか三条とかはお店たくさんあるからお気に入りの場所もあると思うよ。ユニ⚪︎ロもあるしね」
「それは地元にもあるからね! 大樹くんそんなくだらないこと言うならホテル行ったらすごいことしちゃうから」
「ユニ⚪︎ロをくだらないとかいわないで!? てか、何!? めっちゃやばそうなこと言ってない?」
瑞波が肉食系の目をしてる。これは逃げた方が良さそうな感じ。サッと距離を取ろうとしたところをガッチリと瑞波に掴まれてしまう。
そして連行されるようにバスへ乗るのだった。
部活のマネージャーとバレないように付き合うには 九条 けい @GReeeeN1415
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