新新宿
AREA ZERO
全話
新宿駅からの街。西口はいつもどおりなのだが東口にでてみるとどこかが微妙にちがう。どこか別の駅におりまちがえたかのような気分。おおきな道路をはさんで左右にビルがたちならぶ。ありふれた風景がある。でも車が一切とおっていない。おまけにやたら工事中で。地下や建物ばかりかいたる所に歩道橋のような高架の足場がそびえその足場の方へと迂回させられる。足場には急な階段がつけられのぼってはおりてをくりかえさせられる。なにか急遽軍事都市化への超巨大規模工事のようにもかんじられる。とにかく奇妙な光景だった。ふと気づく。あれ。もしかして自分まだ改札をとおっていなかったのでは。改札が消えてしまっている。街そのものが駅の構内と化している。いや駅そのものが街を侵食中。なのか。改札をとおらず東西を移動できない。いわゆる地下道というものが構内にない。だからまちがったのか。それがこの駅の特長だったはず。そういわれれば足場の下といわず車の一切とおらない道路といわずこの東口。街のすべてが鉄骨化しすけてみえいわゆる二重構造になってしまっているようだ。架設の足場のパイプの隙間から時折みえるもうひとつの街。の気配。あれが本来の東口だ。ではなぜエキナカがこうして東口全体にまで。こうしてギブスのようなカタチで。こうして不恰好に延長増殖しつつあり。とりつけられたように。なってしまったのだろう。そしてこうしてわたしのように駅にいつの間にか拉致されたかとりのこされたかして駅からでられなくなってしまった人々。どうして。なぜ。いつから。なぜ。どのくらい。東口はいつの間にか代々木駅にもつながっていた。いや代々木駅ではなかった。架設のy駅っぽいやはりs駅の延長で架設の鉄骨ホームに架設のトロッコ線路に架設の電車だった。のりこんでみるとなにやら護送車両のようになっていた。手錠こそされてはいないが皆。くらくふし目がちだ。ブルーシート越しの音からさっするに隣は山手線のようだがしっかりと目かくしされどこまでもこちら側は外から町側からみえないようになっている。どこへつれていかれるのだろう。坑内ふかくおりていかされる炭鉱夫のような気分だ。
新新宿 AREA ZERO @tosiniyama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます